第22話 大量ポイント獲得
「おい〜!そんなに落ちこむなよ〜」
マナブがヒデの肩を叩きながら慰めている。
ヒデはグッタリとテーブルに倒れている
「だってよ〜!なんでよりによってシュウが勇者なんだよ〜!」
「成り行きでなっちゃったんだよ。仕方がないだろ!」
「しかも魔王を倒しただって?俺はこれからどう生きて行けばいいんだ〜!」
ヒデは鼻水をすすりながら泣いている…
「大袈裟すぎるだろ!いいか?よく聞くんだ…」
「なんだよ…」
「この世界でオレは勇者になって魔王を倒した。3年間ギルドの依頼をこなしつつ、鍛えてレベルを上げてな…」
「だからなんだよ…」
「いいか?高レベルのオレがいるって事は、オレと一緒にパーティーを組むだけでパワーレベリングが可能な訳だ」
「うん…」
「下手したら1ヶ月…いや1週間でオレと同じ位の強さになれる!」
「だからって魔王がいない今となっちゃ強くなってもさ…」
「今頃魔国では次の魔王を選ぶ為の準備をしているだろうよ。それと勇者ってのは称号ではなくて、職種なんだよ。だから何人勇者がいたっていいんだ…」
「そ、そっか…」
少し元気になってきたな…
「別にこの世界で勇者にならなくてもいいんだよ。オレのスキルがあれば他の世界で勇者になれるさ…」
「確かに…よし!じゃあどこかの世界で勇者になって魔王を倒す!」
話のわかる奴でよかった…いや納得するの早すぎだろ!
「そう言えば昨日エフ●フに出て来そうなゴブリンがいる世界に行ったんだよ。そこには魔王もいるかもしれないな。今度みんなで行ってみるか!」
マナブの目の色が変わった
「なに!ゴブリン?今すぐ行こう!」
「マナブまで…落ち着けって!時間はいっぱいあるんだから!」
時間と言えば…
「あれ…そいえばマナブ。仕事は大丈夫なのか?」
「ん?ああ…俺の仕事はあって無いようなもんだから…」
「そうそう!こいつ今競馬で飯食ってるんだよ」
「マジかよ…それだけで食えるもんなのか?」
「競馬だけじゃなくて、競艇、競輪、オート…ギャンブルなら何でもだな!それなりの生活は出来てるよ」
「すごいな…なら問題ないな」
「ああ、でも折角転移のスキルがあるんだから日本での生活も疎かにしない方がいいかもな」
「確かにな…ビールも飲めるし」
「それそれ!」
すっかり元気になったヒデと異世界を楽しんでいるマナブを見ていると本当に嬉しくなるし、誘ってよかったと心から思った
「なぁ二人とも。完璧ではないかもしれないけどさ、異世界転移、この世界に…」
-満足したか?
「当たり前だろ!最高だ!」
「魔王がいないのは残念だけど…もちろん最高だよ!」
二人が答えた瞬間、オレの頭に電子音が鳴り響いた。
-徳ポイントを獲得しました。
-異世界を紹介した 1人目 5000pt
-異世界を紹介した 2人目 5100pt
「な、な、な、な、なんじゃこりゃ〜!!!」
オレはあまりの出来事に思わず叫んでしまった。
「お、おい!どうしたんだよ!?」
マナブとヒデは驚いているオレを見て心配していた。
オレは出来るだけ詳しく二人に説明をした。
「それって…かなりやばくない?」
「ああ…だってガストンさんを助けて10ポイントぽっきり…この世界を救った事は1000ポイントだったんだぞ!?それが…」
「俺達を連れてきただけで…」
「10100ポイントだよ…」
静かに聞いていたマナブが口を開いた
「シュウ…お前…始まったな!」
「始まった?何が?」
「快適チート生活に決まってるだろ!大体徳ポイントってのがチートだろ…それに交換出来る物やスキルはすごい物ばっかなんだろ?」
「確かにな…」
「あのコニャックで10ポイントなら、10000ポイントあったら何でも出来るんじゃないか!?」
「シュウ…すごい事だよ…」
オレは試しに徳ポイントの交換リストを確認した。
すると今までは???で隠されていたアイテムが多数開放されていた。
「色々と開放されてる…マナブの言う事はあながち間違っていないかも…」
「だろ?それでだ…俺達みたいに他の人に異世界を紹介したら…」
「…ポイントは貯まる一方か…」
マナブは頷いた。
すごい発見をしてしまったオレ達はしばらく言葉を失ってしまった。
暫しの沈黙。それを打ち破ったのはオレでもヒデでもマナブでもなく…
「シュウ!ここにいたか!」
使い込まれた鎧を着込んだ男が笑顔でこちらに近づいてきた。
「マイルス!戻ってきたのか!」
「ああ、伝令を聞いた!ありがとな!いま各拠点に連絡している所だ!」
「よかった。まだ魔王軍の残党が残ってるこもしれないからな…助けが必要だったら言ってくれ!」
「ありがとな!所で…彼らは…」
「ああ…彼らはオレの親友のマナブとヒデだ。二人とも彼は…」
「マイルスだ。よろしく!」
マイルスは二人と笑顔で握手をする
「ヒデです。よろしく!」
「マナブだ。よろしくな!」
「マイルスはこの国の防衛隊の隊長なんだ」
「そうなのか?いつもシュウがお世話になってるみたいで…」
「いやいや!毎回お世話になりっぱなしだよ!ところでシュウ…彼らも稀人だろ?」
「…ああ。オレの故郷の幼馴染だ」
マイルスは更に笑顔になった
「やっぱりな!俺が急いで戻った理由はそれだよ!シュウの古い友人で見慣れない風貌の二人と一緒と言う報告を受けた時にピン!ときてな!」
「そうか…近いうちに挨拶をしようと思ってたんだけどな」
ヒデとマナブは日本での普段着のままだからな…
そりゃあ目立つか…
「それでだ。兄貴が内密に会いたいと言っているんだ」
「フィリーミが?」
「おう…兄貴もオレと同じ報告を受けているからな。同じ事を考えてるんだろ」
ヒデが小さな声で尋ねてきた
「なぁシュウ…フィリーミって確か国名だよね?」
「ん?…ああ。マイルスの兄貴はこの国の国王なんだよ」
「「国王!?」」
「ははは、驚かせちまって悪いな!兄貴が二人に会いたいそうなんだ…」
「俺達に?」
「ああ。心配はしなくても大丈夫だ。ただ話を聞きたいだけだ。俺達は異国の話が大好きなんだよ」
「そうですか…と言う事は、シュウが稀人と言う事は…」
マナブがオレを見ている
「ああ…彼等は全部知ってるよ。オレが彼等に何十時間付き合わされたか…心配しなくていいぞ」
マナブとヒデはうつむき加減で考え込んでいる。そして
「わかりました。国のトップの方のお願いを断る訳にはいかないしね。それに俺達も王様に会って見たい。な?」
「おう!でも緊張するなあ〜」
マイルスは笑みを浮かべ二人を落ち着かせた。
「緊張する事はないよ。イメージしている王様とは全く違うから。な?」
「ああ、いい意味で全く違うな…んじゃあ早い所行きますか!」
オレ達は酒場を出て国王の待つ城へと向かうのだった
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