異世界コーディネーター〜貴方の理想の世界探します〜

第20話 酒場へ

ラインバール近くに転移したオレ達は、馬車を置き城門前に歩いて移動していた。

「なあシュウ。さっきガストンさんに何で本当の名前を名乗らなかったんだ？」

「色々とあってな…話すと長いんだが…まあ街に着けばわかると思うぞ」

「そうか…この世界ではジョンと名乗ってるのかと思ったわ…」

「流石にこの容姿でジョンを名乗る勇気はないw」

「全く似合わないな…」

「うん。全然似合ってない！」

「自分でもそう思うわ…とっさに出てしまったのよ…」

歩き始めて数分もしない内に、ラインバールの街の門に到着した。

「すげー！デカい門だな！」

「ああ…宿から見えたが、近くで見ると凄い迫力だな…」

「ああ。何回見ても圧巻されるわ…国の首都の入口だからな…それに厳重な警備のおかげで魔物も全く寄り付かないな」

3人で話している姿に気づいたのか、門番がこちらにやってきた。

「シュウ様！お戻りですか？」

「ただいま。すまないが急ぎ頼みたい事があって」

「は！何でしょうか！」

「この先に馬車が置いてあるのだけど、街まで移動させてくれないかい？馬車は運転した事がなくてね…」

「馬車ですか？わかりました！兵を向かわせます」

「よろしく！それと、その馬車なんだけど…魔王軍の残党が襲撃した馬車なんだ各地で略奪した宝が中に入っているから、国で管理して欲しい」

「なんと！！して魔物達は？」

「オレ達で片付けたから問題はないんだが、何匹かのゴブリンは逃げ出した。」

「…わかりました。ゴブリンならば我々でも何とか出来ます」

「ありがとう。まだ魔王軍の残党が各地にいるかもしれないので、警戒する様に、マイルスへ伝えてくれ！」

「わかりました！マイルス様は現在哨戒中ですので、急ぎ伝令を出します」

「よろしく頼む！それと彼らはオレの古い友人だ。街への入国を許可してくれ」

「シュウ様のご友人様でしたら問題ございません。どうぞお通り下さい」

「ありがとう！では諸々よろしく頼む！」

門番が人間用の門を開き、オレらを案内してくれた。

「おいシュウ。さっき魔王軍が何たらと言っていたが…」

「そう！魔王軍って事は、この世界には魔王がいるの？」

「まあ…いるって言うか…何というか…この世界は魔族と人間で争っているんだよ」

「魔王なんてまさにRPGじゃん！燃えるな！」

「…後で説明するわ」

城下町へ入るとお祭りムードは全く変わってなく、街中とても賑わっていた。

「すごい賑わいだな！」

「本当！お祭りでもやってるの？」

「ああ！歴史的な出来事が最近あってな。毎日お祭り騒ぎだよ」

それはもちろんオレが魔王を倒したからだが…

「お！あれが酒場かな？」

ヒデが前方に大樹とエールが描かれた看板のお店を見つけた。

「ここは大衆酒場だな。もっと高級な酒場もあるけど、ファンタジーの雰囲気を味わうにはもってこいだよ」

「よーし！ここにしよう！」

38歳のヒデはスキップをしながら店に入って行った。

マナブがゆっくりと後を追う

「まったく…あいつはいつまでも14歳のままだな」

「お前もだよ！」

マナブは呆れた顔をしていたが、どことなく嬉しそうだった。

「ほら！早く！」

ヒデに急かされて店内に入ると大きなフロアに50人は座れるであろう、長いテーブルが4つ

奥にはシンボルとなる大樹の根っこを使用した巨大な丸テーブルがあった。

店はとても繁盛していて、ほぼ満席の状態だ。

しかし客がオレらを見た途端、賑わっていた室内が一瞬静寂に包まれた。

オレ達は特に構わずに、空いていた丸テーブルの席に着いた。