第8話 転移スキルの実験をしてみた

日本からフィリーミの宿屋に戻ったオレは、早速異世界転移のスキルで出来る事、出来ない事を調べる事にした。


まずはわかっている事を紙に書き出した


過去に来た世界へは転移出来る

メニュー機能は使える

ステータス、スキルは引き継がれる

スキルは使用可能

レベルはその世界ごとに変動する

持ち物は持ち出し可能


こんな所かな。


改めて書き出すと、このスキルの凄まじさがわかるな…


日本で暮らす分には人生イージーモード確定だ。


自然と笑みを浮かべてしまう。


「さて…何から試すかなぁ…」


オレがまず気になったのは、新しい異世界へ転移可能なのか。


今まで転移したのは、この宿屋と地球の森、そして3年前に転移したフィリーミの森の3つ。


ただし、全て過去に転移した事がある世界だけだ。


「新しい世界へは行けるのだろうか…」


ステータス概念がない日本でも、問題なくスキルが使えた事から、新しい異世界への転移の懸念もなくなっていた。


オレは、何も考えずに異世界転移のスキルを使用してみた。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「うわ!眩しい!」



陽の光で視界が一瞬で真っ白くなってしまった。


超回復スキルのおかげで直ぐに治ったので、周りを見渡すと、草原の中に一直線に引かれている道の上に立っていた。


日本もフィリーミも夜だから、恐らくは新しい世界だろう。


メニューからステータスを確認した所、



黒岩シュウ

無職 Lv.1



地球の時と変わらないな…こんな所地球上にあるだろうか…


辺りをキョロキョロしながら歩いていると、予想が確信に変わる物体が動いていた。


「あれは…ゴブリン!?」


緑色の肌に上半身裸、腰ミノを着け手にはこん棒を持っている。まさにファンタジー物に登場する正統派ゴブリンだ!


ちなみにフィリーミのゴブリンは橙色の顔にジーパンに似たズボン。上半身は軽量の鎧を着ていて、遠くから見ると、ただの山賊にしか見えない残念な物だった。


The異世界と言うべきモンスターと遭遇してめちゃくちゃテンションが上がった。


念の為オレは取得しているスキル『鑑定』を使用した。


これはアイテムの鑑定や対象のステータスが確認出来るなかなか便利なスキルだ。


ゴブリン

戦士 Lv.3

HP 20/20

MP 0/0


予想通りのゴブリンで、想像通り弱い。

ゲームで言うスライムの次に弱いザコキャラ並みだ。


ゴブリンはオレに気づくと、奇声を発して襲いかかってきた。


「ミス! シュウは ダメージを うけない!」


気分はRPG状態だ。


たまたま歩いていたであろうに、可哀想な気がするが……相手から襲ってきたのだから、仕方ないよね?


オレは攻撃が通じずに戸惑うゴブリンを脚蹴り一撃で倒した。


その後周りのゴブリンもついでに何匹か倒した際…


-レベルが上昇しました


お!レベルが上がった


オレは早速ステータスを確認した。


黒岩シュウ

無職 Lv.2


HP 

504 → 507


MP

402/402


STR

295 → 298


DEX

280 → 284


INT

240


MND

240


よし!ステータスが上がってる!


これでレベルカンストしても別の世界でステータスを上げる事が出来る事が確定した。


ゴブリン退治に飽きたオレは、異世界転移スキルの実験を再開した。


「この世界の探索は今度じっくりとするかな」


そうつぶやき、他の世界に転移する為にスキルを使用した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る