第7話 行って戻って
どれくらいの時間が経っただろう。
地球に転移してから、オレは感慨に浸り、目の前に広がる摩天楼をずっと見つめていた。
実際は片田舎の街だが…
まるで長い夢でも見ていた様だ。
だがフィリーミに転移し、魔王を倒した事は確かな事だと、身につけている服と魔王の王冠が物語っていた。
しばらくして落ち着いたオレは、現状を確認するための作業に入った。
『メニュー』
心の中で念じると、目の前に見慣れたホログラムが出現した。
「よし!メニューは開けた!」
メニューが使える事を確認したオレはすぐさまステータスを確認した。
黒岩シュウ
無職 Lv.1
「うーん…流石にステータス引き続きは無理だったか……ん?…待てよ」
オレは表示されているステータスの項目に違和感を感じた。
HP
504/504
MP
402/402
STR
295
DEX
280
INT
240
MND
240
属性
無属性
「レベルと職業以外はフィリーミのステータスのままだぞ…」
これは嬉しい誤算だった。ものすごい恩恵だ。
レベル以外はステータス引き継ぎと言う事は、他の異世界でレベル1からはじまり、レベルを上げると、今のステータスに上積みされるのではないか
カンストのないステータスを手に入れたものだ。
「こりゃあ…いつかは人間じゃなくなるな……」
何にせよステータスが引き継がれる事がわかったオレは安堵していた。そしてスキルはと言うと…
「よし!全部引き継がれてる!」
過去取得した全てのスキルが引き継がれている事を確認した。
結果レベルと職業以外は全て引き継がれる仕組みである事がわかった。
「あとは実際に使えるかだな…」
オレは背後にある木を標的に手をかざし、スキルを使用した。
『ファイアボール!』
心の中で呟くと、手の先からバスケットボール大の炎の塊が出現し、高速で木に向かって放たれた。
ゴオオオオオオオォォォ
木に当たった瞬間、炎の塊は何十倍にも膨れ上がり、大爆発を起こした。
命中した木は跡形も無くなり、周りの木は延焼で赤く染まっていた…
「よし!スキルも使えるな!威力もそのままだ!」
満足したオレはウォータのスキルを使い、消火を始めた。
程なくして、サイレンの音が鳴り響き、ライトをつけた複数の人間が坂を登ってくるのが見えた。
「やば!派手にやりすぎた!」
オレは特大のウォータを放ち、炎が消えた事を確認して、すぐさまメニューを開き、異世界転移スキルを使用した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ひい〜。危なかった……」
オレはラインバールの宿屋に戻っていた。
あのまま捕まっていたら、確実に刑務所送りだった。
その時はまた異世界転移すれば問題ないが、脱獄で指名手配でもされたら、日本での活動に支障が出てしまうので、それだけは避けたい。
何にせよこれで過去に来た世界へは転移出来る事がわかった。
しかもステータス、スキル引き継ぎで使用可能
そして異世界転移は回数制限はなさそうだ。
先程までの懸念の全てが解消されたってわけだ。
よし!異世界転移スキルを更に掘り下げて調べてみよう
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