第6話 二度目の転移
宿屋に戻り、女将さんに数日部屋を借りたい事を伝えると、快く了解してくれた。
「あんたもせっかちだねぇ!もう少しゆっくりしていけばいいのにさ」
「色々あるんだ。それに祭り上げられるのは苦手でね」
「そりゃあこの国の英雄になっちまったんだからしょうがないさね」
「うん。出来れば目立つことなく、ひっそりと生きていきたい…」
「そんなもんかねぇ。あたしゃ一生チヤホヤされたいわ」
その後、二言三言話をして、女将さんにお願いをした。
「今日は誰が来ても、部屋には通さないで欲しい」
「あいよ!似合わない事して疲れたろうに。ゆっくり休みな!国王だって通さないよ!」
それはまずい気がしたが、オレは苦笑いを浮かべ、手を挙げて部屋へと向かった。
部屋に着きはじめに確認した事は徳ポイントについて。
オレはメニューから徳ポイントを選択を選択した。
保有ポイント 1000pt
アイテム交換 ←
スキル取得
使い魔契約
戻る
今まで全ての項目がグレーアウトされていたのだが、フィリーミ王国を救い、ポイントを手に入れたおかげか、アイテム交換が選択出来るようになっていた。
リストを確認すると、普通では他に入らない超ユニークな品がリストアップされていた。例えば…
-翻訳コニャック 10pt
飲むとどんな言語でも通じるようになる酒
フランス産 アルコール度数40%
-変身キャンディ 10pt
仮の姿に変身出来るキャンディ 12時間持続
味はイチゴ、ぶどう、レモンの3種類
-ステルス迷彩 500pt
対象を透明化する布 使い捨て
この様な見たことないレアアイテムが多数リストアップされていた…。翻訳コニャックなどツッコミどころ満載だ。ドラ●もんか!…しかもフランス産!?
わけがわからない…
さらに、ポイントが明らかに足りないものは、まだ???で隠されているみたいだ。
高ポイントのアイテムの事を考えると末恐ろしい…
でも国を救う以上の徳は考えられないから、一生お目にかかる事はないかも…
「とりあえず変身キャンディーは今のオレにピッタリのアイテムだな。」
オレは変身キャンディの項目をタッチし、交換ボタンを押してみた。
すると目の前に紙に包まれたキャンディが浮かび上がり、ポトンと地面に転がった。
「これが変身キャンディか…」
紙を開けると、ピンク色のキャンディが包まれていた、甘い匂いが漂ってくる。
「これはイチゴ味だな…」
オレは恐る恐る口に入れると、口中にイチゴの甘い味が広がった。
「これは本格的!美味い!」
イチゴ味なんて何年ぶりに味わっただろうか。
不覚にも涙が出てしまった…
「あ〜!美味い!ってあれ!?」
口に出した言葉に違和感を感じた。声色が明らかに違うのだ。
オレは急いで鏡を見ると、そこには金髪の美少年が立っていた…
「変身してる!すごいな……ってか気持ちわる!」
欠点があるとすれば、首から上だけ変身していることだ。顔はイケメン、身体はオッサンというアンバランスさが気持ち悪い!
「まぁ…身体は隠せるからなんとかなるかな…」
早速オレはとある準備の為に街へと繰り出したのだ…
◇◇◇◇◇◇◇◇
夜になりオレは準備を終え、一つの決断をした所だ。
そう。魔王を倒した時に獲得したスキル、異世界転移を使う事だ。
変身キャンディのおかげで、誰にも声をかけられずスムーズに買い物ができた。
取得した際に懸念していた事へのリスクを減らすべく準備をしていた。
1 好きな世界に自由に転移出来る保証はない
2 一度しか使えないスキルの可能性
3 レベル1からスタート
4 ステータスの概念がない世界へ転移
などなど…考えるときりがないが、最低限次の世界で生きていけるように、装備を適度な耐久度の軽装備と装飾が凝った武器を購入した。
重装備だと、レベル1からスタートした場合、装備出来ないだろうし、重くて持ち運べないだろう。
ステータスが継続するなら、装飾たっぷりの武具を売って金に変える事が出来るはず。
アイテムは安いポーションを大量、スキル増強系アイテムを複数用意した。
高価なポーションは必要はない。ステータスが継続するならば超回復スキルがあるからだ。
本当に最低限の用意だが、これ以上は無駄だろう。
何か起こるかわからないのだから。
何も持ち込めず、全裸で転移された場合はジ・エンド
シュウ先生の次回作にご期待ください…
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オレは目を瞑り大きく息を吸い込み、気合いを入れた。
ステータスを開き、スキルから異世界転移を選択した。
-スキルを使用しますか?
使用する ←
戻る
「全ての懸念が発生しても安全な世界…願わくば…」
オレは心の中で、その世界を想像しながら、ディスプレイをタップした……
◇◇◇◇◇◇◇◇
一瞬の出来事だった。
身体が一瞬浮く感覚があったかと思えば、すぐに視界が宿屋から真っ暗な斜行のある森の中へと変わっていた。
「転移した!?」
周囲を見回すも草木しか見えない。
頭上から降り注ぐ柔らかな光を感じ、空を見上げると、大きく丸い月があった。
「やったか!?」
オレは全速力で坂をかけあがった
途中気がつくと、ツンときつい刺激臭が鼻を襲った
「ははは!臭え!!」
成功だ!オレは成功した事を確信した!
心の中で想像した世界だ!
開けた場所までたどり着いたオレは後ろを振り向く
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そこには無数の家の光が輝き、不規則な大きさの光るビルが点在し、絶え間なく光を放つ車が動いていた……
「帰ってきた………地球に!」
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