第9話 自宅へ帰ろう
先程の草原とは打って変わり、岩だらけの場所に立っていた。
空気が重く、気温も高い。周りを見渡すと、所々赤く光っていて、どうやら溶岩地帯のようだ。
遠くに溶岩とは違う、赤く光り不規則に動いている物体を見つけた。
「あれは…赤いスライム?」
オレは鑑定スキルを使用して、スライムのステータスを調べてみると、一瞬で血の気が引いてしまった…
スライム
無職 Lv.1
HP 1500/1500
MP 500/500
「やば!…スライムでこのステータスって…」
最弱の魔物がとんでもないステータスの世界…
下手したらフィリーミの魔王より強いぞ…
この世界の最上位の魔物のステータスを想像も出来ない…
この様な世界が他にも数多くある事は間違いないだろう。むやみやたらに転移する事は避けないといけないな。
スライムに気づかれないように、ゆっくりと後退した。
新しい異世界への転移が出来る事が確定したし、この世界に長くいるのは危険すぎる。
オレは次の実験へ移る為、フィリーミの宿屋へ転移した。
「次は…転移地点を変えれるか試してみるか…」
今までの転移は新しい異世界を除くと、フィリーミの宿屋と地球の森。
そして3年前に転移した時のフィリーミの森のみだ。
転移したい世界の具体的な景色を思い浮かべれば、その場所へ転移出来るのではないかと考えた。
地球に戻ってもあまり違和感がない様な服装に着替え、早速実験を開始した。
行ってみたい場所は…オレはエジプトを思い浮かべた。
理由は正直ないのだが、何故かエジプトを思い浮かべてしまった。一度は行ってみたい場所ではある。
スキルを使用すると、身体が一瞬浮く感覚を感じた。
「お!…ってあれ?」
景色は変わらず、宿屋のままだった。
失敗だ。可能性として、転移地点が固定されているか、一度も行った事がない場所は指定できないかだな。
「うーん…駄目だったか…となると…」
オレは再び頭の中で、ある景色を浮かべ、スキルを使用した。
再び身体が一瞬浮く感覚を感じ、その瞬間に景色が変わる。
視線の前には巨大な仏像が鎮座していた。
「よし!成功だ!懐かしいなぁ…鎌倉の大仏!」
転移は無事成功。一度行った事のある場所へは転移が出来るようだ。
先程転移した森も、家の近くにある森なはずだ。
いきなりライトアップされた仏像が目の前に出てくるのは怖いな。一瞬モンスターかと思ったわ…
それに夜だから良かったが、人がいそうな場所への転移は辞めた方がいいな。
ちなみに小学校の遠足で、この奈良の大仏を見に来たて以来なので、数十年ぶりだ…。
「あれ?そういえば…」
すっかり忘れていたのだが、ここはオレの知っている日本なのだろうか?
正確には今って西暦何年だ?
ライトアップされた大仏があるのだから、大昔ではない事は確かだ。
下手に歩き回るより、手っ取り早い方法を考えた。
「他世界を経由しなくても移動出来るだろうか…試しに一度家に帰ってみるか…」
オレは自宅の家を思い浮かべて転移スキルを使用した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
実験は成功したみたいだ。これでテレポートとして活用が出来る様になった。それにしても異世界転移スキル万能すぎやしないか?
景色が変わり、オレは自宅の庭に立っていた。
庭は雑草が生え放題のミニジャングルだったが、自宅である一軒家は何も変わらずに存在していた。
築30年 8歳の頃に親父が建てた自慢の家だ。
20代後半には父母どちらも死んじまった、それからはずっと一人で住んでいた。
「3年ぶりか…」
懐かしいと言うよりも、本当に日本へ帰って来れたんだなと言う、嬉しい気持ちが込み上げてきた。
家の中は明かりがついてなく、人の気配もなさそうだ。
電気メーターを見ると、動いているので電気は通っているようだ。
誰がの人手に渡っていなければいいのだが…
夜なので寝ている可能性も考えて、インターホンを鳴らしてみたが、反応がない。
「…部屋に移動するか…」
意を決したオレは自室へと転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます