第28話 くるくる文
みんくは、多すぎる乗客をどうにかして減らすため、
プログラミングすることにした。
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■乗客プログラム
乗客とは
→人間。
→公共交通機関に乗る。
→乗車料金を払う。
→現在地から目的地へ移動する。
「乗客プログラム」を、「近所の駅の〇月〇日〇時〇分の乗客1234番目」に適用する。
以降「近所の駅の〇月〇日〇時〇分の乗客1234番目」を「きょう1234番目の乗客」と呼称する。
■きょう1234番目の乗客
乗客番号:1234
現在地:近所駅
目的地:遠久野駅
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みんくは、目をこらしながら、乗客のプログラム内容を確認する。
「目的地:遠久野駅」という部分を確認する。
「とおくの駅」って読むのかな? 聞いたことがない駅名だ……。
ずいぶん遠くにある駅なのだろう。
あっ。「現在地:近所駅」って書いてある。
よし。ここをいじればいいんだ。
みんくは「現在地:となり駅」に変更した。
乗客1234番目は消えた。
となり駅に移動したと思われるが、離れた場所にあるので、確認できない。
「わぁ、ほんとうに移動した……」
みんくは驚いたが、と同時に、落ち込んだ。
「まだまだ乗客は……とっても多い。
これをあと何回繰り返すんだろう?」
ぞっとした。日が暮れてしまう。
いや、日が暮れても終わらないかもしれない。
みんくは、アノミーに助けを求めた。
「これじゃむりだよ。おわらないよ……」
「こんなときこそ、『くるくる文』を使うのです」
「くるくる文?」
「クルクルと回転するかのように、
同じプログラムを、終わるまで、何回もくるくると動かす文です。
これを使えば一瞬で終わるはずです」
「終わるまで一瞬で!? どうやるの」
「こんな感じで使ってみてください」
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■くるくる文 サンプル プログラム
↓くるくる開始(乗客番号が1から開始)↓
近所駅の乗客の「現在地」を「となり駅」に変更する。
↑くるくる終了(乗客番号が2000で終了)↑
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「このサンプルだと、2000人まで現在地を変更できるんだね」
「そうです」
「思いきって5000人くらいに変えてしまおう。
そのほうが、きりがいいし」
「みんくさんにお任せします」
みんくは、くるくる文を使い、5000人ほどの乗客を、となり駅に移動させた。
そのおかげか、人が消えて、近所駅はガラガラに空いた。
「乗客が消えた! よーし、これで出入口に入りやすくなったね」
みんくは駅の出入口に向かって、足を進める。
そのときまだ、みんくは知らなかった。
駅の中が地獄のような状況になっていることを……。
つづく
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