第26話 川の水をなくす
みんくは、川の水をさわった。
この世界は、すべてがプログラムで構成されている。
川の水も、例外ではない。
みんくはプログラミングというスキルをもっており、
この世界の「もの」に触れると、その「もの」のバグを修正することができる。
みんくは、今、川のプログラムを修正することになった。
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■川プログラム
川とは
→細長い水の流れである。
→山から海に流れていく。
→川の中には生物が住む。
→そのまま飲むとお腹をこわす。
「川プログラム」を、「近所の公園の川」に適用する。
■近所の公園の川
幅:平均3メートル(場所によっては5メートル)
長さ:公園内だけで200m程度
にごり度:比較的透明
水温:10度(現時点)
深さ:平均1メートル(場所によっては2メートル)
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「近所の公園の川」の「深さ」。
これを「ゼロメートル」にする。
そうすれば、水を抜いた状態になり、
大きなコイの動きを止めることもできる。
橋を安全に渡れる。さくりも助けられるかもしれない。
みんくは、川の深さを0メートルに修正する。
川の水はあっという間に消え失せ、
大小さまざまな生物が、川だった場所にあらわれる。
そのなかには、大きなコイの姿もあった。
水を失った今となっては、
息苦しそうな様子でぜぇぜぇとしていて、泳ぎ回ることもできない。
「さくり! 今たすけるよ!」
まずはさくりの救出からだ。
みんくは、大きなコイの前に立ち、もし足が飛び出ていれば
口から引っぱるつもりでいた。
だがその心配は無用だった。
大きなコイは息苦しそうな状態で、過呼吸におちいり、
「ぺっ」という勢いとともに、さくりが吐き出された。
大きなコイの口から突然吐き出されたさくりは、
なにがなんだかわからない様子で、ぼうぜんとしている。
「さくり!」
「みんく……ボクはいったい」
「あの大きなコイに飲み込まれたんだよ。
助かってよかった……」
「なんということだ……そんなことになってたのか。
ごめん、みんく。心配させたみたいで」
「さくりが無事ならいいんだよ」
「みんく……」
「うふふ、さくり」
ふたりは、じっと見つめあった。
幼馴染の関係で、いろいろ心が通じ合うようだった。
「こほん。……おふたりさん。
そろそろ案内板を見に行きましょう」
蚊帳の外になっていたアノミーが、みんくとさくりに呼びかける。
「そうだったね……早く見にいこう」
みんくたちは、安全になった橋を渡り、小島へ。
そして、その小島の上の案内板を見た。
そこには、駅までの道のりがしっかり描いてあった。
どうやらこの公園を越えれば、すぐ駅にたどりつくらしい。
「だいたい駅の位置はわかったよ。
あと、この案内板、公園の前に移動させよう。
このまま奥にあると、また橋を越えなきゃだし……」
みんくは、案内板をタッチし、プログラミングにて位置を修正し、
案内板を公園の前に移動させるのだった。
次の目的地は、駅!
つづく
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