第23話 消えた案内板
「公園に到着した……のはいいけど」
駅へむかうため、近所の公園までやってきた、みんくたち。
公園には、駅までの道のりをしめす案内板がある。
それを確認して、駅までむかうはずだったが……。
「案内板が……ないよ!?
いつもは、ここに置いてあるはずなのに」
みんくは、五年生になってから、公園に向かうことは少なくなったものの、
週になんどかは通りかかる公園なので、
案内板がないことに、すぐに気づいた。
「ボクも、あまりこの公園には来ないけど……。
たしかに案内板がこのあたりにあった気がするね」
さくりも、うろおぼえながら、案内板がここにあったことをおぼえているようだ。
ここにあった案内板は撤去されたのか? それとも勘違い?
「公園の案内板なら、奥の方にあるぞい」
突然、そんな声が聞こえた。うしろから。
「え?」
うしろには、掃除用具を持ったおじいさんが立っていた。
たぶん公園掃除のおじいさんだろう。みんくはそう判断した。
「どういうことですか、おじいさん」
「理由はよくわからんのじゃが、つい最近、ここの案内板は
公園の一番奥の、川の向こうの小島の上に移動されてしまったのじゃ」
「えぇ……??」
みんくたちは、いっせいに首をかしげた。
町内の案内板は、公園の前にあってこそ役立つものなのに、なぜ奥に?
「みんくさん。
これも……この世界のバグなのでしょう。
理由のない案内板の移動ですから」
「えー、もう。バグ多すぎ……」
みんくは、げんなりとして、肩を落とした。
「とにかく、奥に進むしかないようだね」
みんくたちは、公園の中へ足を踏み入れていった。
この公園は広く、奥にたどりつくまでは15分以上かかる。
「入って大丈夫かな? なんか……公園内も変なことになってそう」
公園内にもバグがひそんでいて、たいへんな目にあうのでは。
みんくは不安を感じる。
「ボクがいるから大丈夫だよ、ほら早くいこう」
さくりは、みんくの手をにぎって、スタスタと歩き出した。
「ああ、さくり……ちょっと待って、待ってってば」
みんくは、引っぱられるかたちで、よろよろと歩き出す。
「あっ、ふたりとも、待ってくださいっ……」
アノミーも、一番最後に歩き出す。
こうして、みんくたち全員が公園に足を踏み入れていった。
つづく
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