第7話 ゲームの世界へ

「ゲームを作っていいの!?」


「ええ。でも……ゲームを1から作るのは大変なのです。

 私があらかじめ用意したゲームがあるので、

 それをいじってみてはどうでしょうか」


「えー」


「えー じゃありません。

 ゲームを1から作るのって大変なんですよ。

 プログラムだけじゃなくて絵や音楽まで用意しないといけないのですから。

 まどかさんは、絵や音楽を作ることはできますか?」


「うっ……。それは」


みんくは、自分の図工の成績を思い出し、苦笑いを浮かべた。


「だめみたいですね」


「う、うるさいっ」


みんくは、顔を真っ赤にして怒る。


「まどかさん。それでは、私の作ったゲームの世界で楽しみませんか」


パソコン君の言葉に、みんくは少し警戒した。

いったいどんなゲームなのだろうか?

怖いゲームだったら嫌だな……。


最近、VRホラーっていうのを動画サイトで見たことあるけど

信じられないほど怖くて、夜中トイレに行けなくなってしまった。


「怖いゲームじゃ……ないよね?

 どういうゲームか説明してくれる?」


「ホラーゲームではありません。

 ちょっと広い世界を冒険していただきます。

 ただし、その世界では、プログラミングの能力を試すことになります」


「広い世界? それってどういう……」


「いきますよ」


パソコン君は有無を言わさず、何かのデータをリロードし始めた。

みんくが「あっ」という間もなく、目の前が真っ白になった。


……。





……。





……。





……。





……。



みんくは、目が覚めた。ベッドの上で。

起きて、あたりを見回す。いつもの自分の部屋だ。

あれは、夢だったのだろうか?

よく考えると、パソコンがしゃべりだすなんて、おかしいし。


夢に違いない。


みんくは、ベッドから出ると、細い脚で、部屋中を歩き回った。

いたって普通の、今までずっと住んでいた、変わりない自分の部屋だ。

あのパソコン君が存在しないこと以外は。



おや? おかしいぞ……。

パソコン君はどこへ行った。


みんくはこのとき知らなかった。

自分がおかしな世界に迷い込んでいることに。



つづく

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