第8話 バグの修正
パソコン君にゲームの世界へ連れてこられたことも知らず、
みんくは、日常生活を送り始めようとしていた。
「そういえば、そろそろ夕食の時間のはず。下に降りよう」
みんくは、部屋を出ようとした。
「あれ? ここにドアがあるはずなんだけど」
ドアがない。この部屋、なぜかドアがない。
「ええっ!? なにこれ! ドアが無いんだけど!」
もしかして、私、一生ここから出られない!?
夕食も食べられない!?
みんくは目の前が真っ暗になった。
が、絶望している場合ではない。
なんとか部屋から出なくてはならない。
背後を見る。
「窓は残ってるんだね……」
みんくは、窓の外を見る。ここは二階だ。
庭の地面には雑草が生えているし、そんなにやわらかくない。
軽いケガでは済まないだろう。
「うわ、高い……。庭に飛び降りたら、痛い目にあいそう」
「でもここからしか出られない。
っていうか、ドアが無い部屋なんておかしい。
目覚める前は、ドアがちゃんとあったし、そこから出入りしてたはずなのに」
みんくは、そのとき、ふと、夢だと思っていた出来事を思い出した。
パソコン君から、プログラミングの基礎のようなものを習って、
飽きた自分が「ゲームを作りたい」と言い出した夢のことだ。
あれは夢ではなかったのかもしれない。
夢じゃなければ、ドアがあったかもしれない。
だけど、ドアは無い。あきらかにおかしい。
「壁を調べてみよう」
みんくは、あきらめず、壁を調べ始めた。
どこか切れ目があって、出口になっているかもしれない。
壁に手を触れたそのときだった。
ぴこん。
なにやら電子音のようなものが部屋中に響いた。
びっくりして、みんくは、手をひっこめた。
「え? 何? 何?」
戸惑いながら、辺りを見回す。
「プログラム ヲ 入力 シテクダサイ」
無機質な音声が聞こえてくる。
そして、何もない空中に、パソコン画面のようなものが開く。
「なんなの……?」
意味不明。
みんくは混乱したまま、パソコン画面のようなものを見続ける。
そこには「壁のプログラム」と表示されている。
「壁のプログラム?
もしかして、このプログラムをいじれば、
壁にドアが作れるとかそういうことなの?」
みんくは、だんだんと仕組みを理解していった。
ただ、どうやればドアが作れるのか、見当もつかなかった。
「……とりあえず、画面をタッチしてみよう」
このまま悩んでいてもしょうがないので、
画面をタッチしてみる。
すると、画面が切り替わり、壁のプログラムの内容が表示された。
「うわ! なにこれ! 文字だらけで意味わかんない!」
そのプログラムは日本語で記述されていたが、文字の多さに驚いてしまう。
こんないっぱいの文字なんて読み切れないよ……。
みんくは、やる気をなくしそうになる。
はたして、みんくは、部屋から出られるのだろうか。
つづく
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