第5話 じほー

「まずは時報プログラムでも作りましょうか」


「じほープログラム?」


「はい。ある時間になったら『いま〇時です』と表示するプログラムです」


「へー」


みんくは「ゲームが作りたいんだけど……」と思いつつも、

パソコンの指示に従うことにした。

なんか言っても聞いてくれなさそうだし……。


「このとおりに入力してみてください」


パソコン君の指示した内容は、次のとおりだった。


------------------------------

"いまの時間は" 現在の時刻 "です"

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何これ意味わかんないんだけど。とくに真ん中の『現在の時刻』って」


「そのプログラムを実行してみればわかりますよ」


パソコン君はそれしか言わないので、みんくは、黙ってプログラムを実行した。

すると


「いまの時間は 16時28分 です」


とパソコン画面に表示される。


「わっ! 時間が表示された!」


みんくは少しだけ驚く。

パソコン君は、驚いたみんくを見て、解説を始める。


「"いまの時間は" 現在の時刻 "です" の『現在の時刻』の部分は、

 本当に現在の時間をもってきているんですよ。

 もう1回実行してみてください」


「うん」


みんくは、もう一度、プログラムを実行した。


「いまの時間は 16時29分 です」


時間が変わっている。部屋の時計を見ると、たしかに16時29分になっている。


「あっ、1分うごいた」


「そうです。現在の時間をもってきているので、

 実行するたびに、結果が変わってきます」


「そうなんだ……」


「これを少し豪華にしてみましょう」


「豪華に?」


「ただ時間を表示するだけだと、味気がないですよね」


「まあ、そうかもだけど」


「たとえば、17時になったら、『夕食の時間ですよ』ということを教えてあげるようにしましょう」


「へぇ。そんなこともできるの?」


「はい」


「もし文を使います」


「もし文……?」


「もし〇〇の場合、という意味の文ですね。

 実際に見てみたほうが早いでしょう」


------------------------------

"いまの時間は" 現在の時刻 "です"


もし現在の時刻が17時~18時の間の場合

 → "夕食の時間です。きょうの夕食は何かな?"

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「下の二行がもし文?」


「はい。

 17時~18時の間に、このプログラムを実行すると、

 現在の時間と同時に『夕食の時間です。きょうの夕食は何かな?』が表示されます」


「そうなんだ……。

 でもあと30分くらい待たないといけないね」


みんくのお腹が、ぐぅと鳴った。


「お腹すいた。ちょっと間食していい?」


パソコン君は何も答えない。

おそらくプログラミングのこと以外は教えてくれないのだろう。



つづく

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