第4話 ひみつの自己紹介

みんくは、恐る恐る、パソコンのあやしい画面をクリックした。


画面が切り替わる。


どんな画面が出てくるのだろう? あまり怪しい画面じゃないといいな。

みんくは、かなり警戒していた。


すると意外にも、マジメな感じの画面が表示されるのだった。


「ようこそ プログラミングの世界へ」


みんくを歓迎するかのような画面が表示されている。


「まずは 自己紹介のプログラムを作ってみよう」


自己紹介のプログラム?

どんなふうに自己紹介をすればいいのだろう?


みんくは、クリックを続け、画面を進める。


「あなたのことを教えてください」


えー。なんだか「個人情報」を入力させられそうで嫌。

学校の授業で習ったもん。勝手に住所とか教えちゃいけないって。

気をつけなきゃ。みんくは少し警戒した。


「まずはあなたの名前を、プログラムで表示させましょう」


「名前から?」


「やり方は簡単です」


「本当?」


パソコンの一方的なメッセージに、疑問を投げかけるみんく。

さっきまで読んだ本は、超むずかしかったので、どうしても疑問がわく。


「とりあえず、この画面に、あなたの名前を入力してください」


「……」


なんだか怪しい感じがするので、みんくは、偽の名前を書いてみることにした。

「まどか」と入力する。(※円花みんくの苗字からとった偽名)


「エラーです」


パソコンは「エラーです」とだけ表示した。

みんくは、エラーに納得がいかず、画面に向かって抗議する。


「は? なんでエラー?」


「この場合は”まどか”と入力します」


「なにその名前の横にある『”』は?」


「これがないと、画面には表示できません」


「なにそれ……」


みんくは、あまり納得のいかない様子だったが、

入力しないと何も始まらないので、

パソコンに言われるがまま「”まどか”」と入力した


すると、画面には「まどか」とだけ表示された。


自分の名前(仮名)が表示されている。

……とはいっても、ただ、それだけ。

みんくにとっては、それほどおもしろいものではなかった。


「うまく表示できましたね。

 名前以外に、年齢とか、趣味とかいろいろ入力してみましょう」


「"名前:まどか" "年齢:秘密" "趣味;秘密"」


みんくは、秘密主義者であるかのように、仮名や秘密を入力しまくった。

女の子には、秘密が多いので仕方がない。


画面には、みんくの入力した情報が、そのまま表示された。


「名前;まどか年齢:秘密趣味:秘密」


「あれ? なんか見づらい……。文字くっつきすぎ」


「改行コードを入れてみましょう」


パソコンは、音声で普通に話しかけてくる。

みんくは、違和感をもったが、もう自然に聞き流すことにした。


「かいぎょうコード?」


「改行は、国語で習いましたね。文章をそのままつなげると読みにくいので、

 適当なところで、文章を区切っていきます」


「うーん。改行だよね。エンターキー押せばいいんだね?」


みんくは、エンターキーを押して、改行を実施した。


画面には、

「名前:まどか

 年齢:秘密

 趣味;秘密」

と表示された。


「さっきより見やすくなった!」


みんくは、問題を少しだけ解決できたので、ちょっとだけうれしくなった。

とはいえ、飛び上がるほどの感動ではないのだけど……。

ただ文字を表示させただけだし。しかも秘密だらけ。


「でも、こんな文字を出すことより、ゲームが作りたいんだけど……」


「まずは基礎が重要です」


「そうなの……」


自分より頭が良さそうなパソコンくんから言われてしまっては、返す言葉もない。


「それでは、次の練習をしましょう」


今度はいったい、何をするというのだろう?

期待と不安が入り混じった顔で、みんくは、画面を見続ける。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る