第3話 あやしい画面
みんくは、自分の部屋に戻ってきて、ひどく落ち込み、机にもたれかかる。
「プログラミングは難しすぎる……」
お母さんの本棚の中に、簡単そうなプログラミングの本は無かった。
今、目の前にあるのは、大量の教科書と、役立たずなパソコンだけ。
みんくは、だんだん悲しくなってきた。
ゲームは禁止され、勉強に集中できず、プログラミングの本もやたら難しい。
きょうは何もできていない。なんてさんざんな日だろう。
シャーペンをぎりぎりとにぎってしまう。
くるしい。つらい。ストレスがたまる。自己嫌悪。
みんくはヤケになり、思わず叫んでしまう。
「あー! もっと簡単にプログラミングがしたーい!」
しまった。お母さんに聞こえてしまったかもしれない。
みんくは、思わず口をおさえる。
「き、聞こえちゃった……?」
みんくは、口を抑えたまま、モゴモゴとする。
イライラして大声なんて、はしたない。
ああ、わたしって、なんて醜いんだろう……。
みんくは、さらに自己嫌悪におちいっていった。
気持ちを落ち着けようと、パソコンの画面をじっと見る。
パソコンの画面くんも、みんくの前で、何もすることなく、ただじっとしている。
……ん? 何か、動いてる。じっとしていない!
みんくは、パソコンの画面の様子がさっきと違うことに気づいた。
画面の真ん中を、虫眼鏡のようなアイコンがぐるぐる回ってる。
わたし、何かしただろうか?
それともパソコンが勝手に動いたのだろうか?
みんくが不思議がるのをよそに、目の前のパソコンが、急に声を出し始めた。
「簡単なプログラミングですね。かしこまりました。
このパソコンから1件の検索結果をひろいました」
「う、うわぁ!?」
みんくの心臓が飛び跳ねる。
声を出せるはずのないパソコンから、急に声が出たからだ。
最近見たどんなホラー映画よりも怖かった。
「え? なに? なに……?」
いったい、何を「ひろった」というのだろう。
パソコンの声の意味が、みんくにはわかっていなかった。
目の前のパソコンには、何やら文字が表示されていた。
みんくは、不思議そうな顔で、パソコン画面を覗き込む。
「子供のための かんたんプログラミング 『つみき』」
つみき? 「積み木」だろうか。
みんくは、突然表示された「つみき」という文字に反応する。
いったいこれは何なのだろう。急にあらわれた。
頭が「はてな」だらけになったみんくは、じっと画面を見つめる。
うーん。
……。
考えても考えてもわからない。
とにかく今、目の前に、「自称」簡単なプログラミング方法がある。
みんくは、恐る恐る、クリックした。
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