真実の終幕


 ルナの下に戻って移動を再開すると改めて何を目的にしてたかを再確認する。


 「えーっと確か戦争の終結?和睦の条約を結ぶとかで良いんだっけか、ルナの目的ってのは」


 うろ覚えで疑問系で話すとどうやらあっていた様でルナが頷く。


 「はい、凡そはそんな感じです。その為にはまずは国王である叔父様を探さなければならないです」


 「すっかり忘れてた、けど最初に会った時には居なかったな。死んだのか?何か手掛かりとかはあるのか?」


 「勝手に殺さないで下さいよ、でも手掛かりは無いんですよね。私が14歳の頃にいきなり姿を眩まして居なくなってしまいました」


 去年の出来事にある確信を覚えたが、一先ずは目の前の事に対応する。


 「成程、取り敢えずはそのおっさんに会わせるまでが俺の協力って事で」


 「よろしくお願いします」


 頭を下げるルナに対してジェスチャーで任せろとだけ反応を見せるが文化の違いか疑問符を浮かべられてしまう。


 「でも、場所がわかんねぇんだよなぁ。怪しい所はあるんだけど」


 「怪しいところ?それは一体」


 おおよその検討が付いている俺に対して興味を持って少し離れていたノーランもこちらに近付く。


 「島、って言ってもこっちじゃ言わないしな。あの海の向こうだ、そこに大地がある」


 指を差す方向に二人は驚く。この世界は大陸があまりにも整地されている為、島という概念が無く、この大陸だけが世界だと考えられている。しかし実際には少数ではあるが島も確認できて、そこで生活している者も存在している。


 「行ってみる価値はあるんじゃないか?」


 二人は静かに頷いて同意の意思をして見せた。


 家を船に改変して自動で目的地まで運転をさせると部屋に入ってここから先の事を考える。


 恐らくはルーカスというルナと一緒に居た男は出てくるだろう。そこからあの覇王と呼ばれる存在、恐らくは検討が付いているがどうしたものか。


 前に戦った武人の感じからするとルーカスとは違ってまともな奴だ。そんな奴が計画も無くルーカスなどの部下を暴れされる筈がない。狙いがあるのは間違いないのだが。


 到着するまでの間に考えをまとめたがまだ推測の域を出ない為二人には話さない事にした。


 目的の島に上陸するいきなり惨さが露わになる。死体が転がっていたのだ、臓器が飛び出した者から骨に変わってしまった者までと様々だ。


 「酷い、なんて事を」


 まず初めにその反応をして辛そうな感情を見せたルナは思わずその光景から目を背けてしまう。


 「貴様!そこで何をしている!?」


 正義感から死体が転がる先より少し離れた入り口で何かをしている男に声を荒げる。


 近くで捕虜の虐殺を行なっている彼、ルーカスはとても笑顔だった。


 「快楽で殺人をする屑か。こいつは絶好の敵だな。好む敵じゃねぇからな、躊躇いなく命の交わりを絶てる相手だ」


 「何だ?魔王様がいるじゃないか!わざわざ戻ってきてくれたのかなぁ?」


 猟奇的な反応見せるルーカスに対してルナは目の合わせずにノーランの後ろに隠れる。


 「正直、今の俺で勝てる気がしないけど敵対するなら戦うしかない」


 「普通は話し合いで解決するべきだが、これは悪意によって向き合わさせられているからな、同意だ。良かったよ、最初に出会ったのがお前みたいな典型的な屑で」


 しかしあの典型的な屑はこの世界の今まで出会ってきた中で一番強かった。もしかするとアイツにもなんらかの秘密があるのかもしれない。


 「さあ、早速そのねじ曲がった思考をぶっ壊してやるよ」


 俺に気付いたルーカスは少し苛立ちを露わにしたがすぐに冷静になって話し掛ける。


 「お前、ついこの間もあったが一体何者なんだ?常識外れの身体能力、数多の英雄を超える魔法適正。どこを見ても異端としか言えないが何故俺の前に立ちはだかる?」


 「そりゃあお前が悪い事してるからに決まってるよな。問題ない奴だったら放置してるよ」


 納得のいく答えでは無かったのか首を傾げていたがそのまま次に進める。


 「まあいい、邪魔されるのは想定内だ。あの時は私も本気を出して居なかったし、更に強い力を手に入れた。そう易々と止められると思わない事だな」


 その言葉と同時に彼の周りからオーラの様なものが溢れ出す。


 「馬鹿な、なんて強さだ。肌の感覚がビリビリする。これはあまり攻撃を受けたくない気がします」


 「試してみるか」


 直後話したノーランの目の前に凄い勢いで移動してその攻撃を俺が剣で防ぐ。


 「な、に!?」


 「俺を相手にするんじゃないのかよ。対戦相手は間違えるなよ」


 「この!グラビディアス・フレイム!」


 距離を取る為か技を撃ちながら後方に下がるがこちらからは何もしないでただ攻撃を剣で弾く。


 「何かで防いだか、仕切り直しだ。今のは手が滑ったって奴だ。そう焦るなって」


 「ああ、コイツお前ほど強いないから傷負わせちゃうかもと思ったから焦っち」


 話している途中でルーカスも剣でこちらを斬ろうしてきたので剣で受け止める。


 「人の話は最後まで聞け、やり直しだ」


 攻撃してきているルーカスの現在位置を元の彼が居た場所に配置する。


 「なっ!?今のはなん、だ?」


 いきなりの出来事に衝撃を隠せないルーカスは思わず後ろに後退りする。


 「説明するつもりはない。技名も特にないしな」


 「なら、この技を食らいな。ディメンション・アビス・スパネイト!」


 技名と共に鎖の様な物で身体を拘束されるが既に体に水色の膜のような防御膜を張っていたので形だけ拘束されている様になる。


 「よし!これならば貴様にも通用すると思っていたのだ!このまま空間に引きずり込んで封印する!」


 「悪いな、それは断る」


 完全に体に絡み付いていたと思われていた鎖を弾いてルーカスの下に歩き始める。


 「本気を出すというのは構わないが俺はそれに残念ながら答える事は出来ない」


 「何故この技が効かない!この技が通用しないなんて事は無い!如何に相手が強かろうとこの技はそれを無視する。しかし何故それが通用しない!」


 声を荒げて事実を中々受け入れないルーカスに対して仕方なく今し方の現象を解説していく。


 「簡単だ、その技を無視してるからだ。当たってないって事だ。物理的に当てる事が出来ない、技が俺を認識出来ない。あらゆる事の常識が俺に当てはまらない。それがこの技が当たらない真実だ」


 彼が分かる範囲で説明するとまたかなり絶望的な面持ちになる。


 「なんだそれ、力の差だけじゃない。生物としての種類が違う。お前は何か別の化け物だ」


 「まあどう思われても構わない。じゃあそろそろ終わらせるが、いいか?」


 「まだだ!化け物には化け物をぶつけるまでよ!食らえ!ノグライz」


 「もういい」


 ルーカスが何かを唱える前に全身を斬り伏せる。斬られた事に少し遅れて気付くと切り口を見てから即座に発狂する。


 「四肢を切り落とした。数分で死ぬかもしれないから止血はしたが痛みでしばらくは動けないだろう。そこでおとなしくして、と言っても動けないだろうがな」


 無理矢理動けなくしたルーカスを放置して階段を登って覇王の下に辿り着くとようやく黒幕と顔を合わせる。


 「ようやく、顔を拝見する事が出来たわけだが知り合いか?」


 覇王と名乗る者と話をしようとした時に隣にいるルナの反応が明らかに大きく動揺している姿を見て聞く相手を帰る。


 「嘘………叔父様?」


 「その通りだ、会うつもりは無かったが隠していた事は謝ろう。済まなかった」


 頭を下げる覇王に連鎖的に彼の部下の者達を思い返す。


 「ついに出会えたな、覇王。部下には悪い事をしてしまったな。すまん」


 「いや構わない。この計画に彼らは必要な犠牲だった」


 ここを守る者を突破する為だけであるから気絶で収めて置いたから勘違いでもしているのだろう。


 覇王の言い方が似合わなくて自分の少し顔が綻ぶ。


 「飾りみたいだな、それ。やっぱアンタには似合わないな」


 「君は、何の為にここに来た?」


 訝しげな顔をしながら質問する覇王だがその問いに対する回答をこちらは持ち合わせていない。


 「目的はもう無いな、でもこの状況が気に食わなかったから動いたまでだ」


 ルーカスのこれまでにして来た言動は許される事ではない。故にその親玉である彼をおいそれと返す事はありえないのだが、覇王はその様子を感じ取ってか自らの意志を示す。


 「しかし如何に部下が人道的な事をしようとも意志を変えるつもりはない。元の敵国は平等に事を終わらせようとしてはくれない。ならば新たなる勢力を用意するまでだ。ならば部下は恨まれるような行動を取れる者がちょうど良いまであるだろう。責任は全て私が受ける」


 覚悟の上、悩み挙げた末での結論がそう言う事なのだろう。こればかりは話してどうなるものではない。それに目的はどうであれ解決方法は今理解した。


 「そうか、アンタはそういう目的でここに居たのか。そりゃ部下も慕う訳だな」


 二人だけで話していたので周りは置いてけぼりの状況なので声を少し張って説明する。


 「コイツは自身が絶対悪になる事で明確な敵として二つの国に意識させ、協力して倒させる事が目的だったんだ。元々は些細な事が原因で戦争が起きたからな」


 振り向いて覇王の方向に戻ると静かにある魔法を発動させる。


 「分かった。ならアンタはもう寝てろ」


 「嫌っ!待って!」


 ルナの拒絶を待たずして覇王を消すと、彼女の絶叫が響き渡る。


 唖然とするノーランを無視して四肢を斬られたルーカスの元に近寄る。


 「あんな一瞬で一体何をしたというんだ」


 ルーカスは身体を震わせながら敵対の意志を示すが疑問も同時にあって感情がごちゃ混ぜになってしまってる。


 「さて、後はお前だけだな。何か言い遺す言葉はあるか?」


 「どうしてお前みたいな化け物がこの世界に居るのだ」


 至極当然の疑問だが当の本人である自分自身も記憶を一部失っているので分かっていないので言える事だけを伝える。


 「そうだな。何も分からずに居させるのも可哀想だから答えるよ。それはこの世界に問題があると上が判断したからだ」


 「お前より上の存在がいるというのか?」


 「立場上は上司って事だからそうだな」


 青褪めた表情をするルーカスは己のして来た事を振り返っていく。


 「なんて事だ……これでは最初から何をしたところで無駄だったのではないか」


 「違う、お前は道を間違えたんだ。例え自身が不幸になったとしても、後に支配をするべきではなかった」


 「何を言う!こうでもしなければ俺の人生はずっと報われないだけじゃないか!」


 苦難と後悔の人生だった。このルーカスという男は最初から悪人というわけではない。


 「幸せと不幸が比例するとは限らない」


 「しかしそれではあの状況から脱出する事も出来ないではないか!」


 あの状況。自分の過去の事を言っているのだから普通の人は分からないから自分自身に問い掛けているのだと思われる。


 けれどこの者の生涯の記憶は既に観た。ルーカスは過去に家族を賊に殺されている。その時に心の底から家族を守ろうと思っていたのだが実際に取った行動は身代わりにして自分だけ逃げたのだ。


 「報われない事もある」


 「お前は!あの時の私にまま死んどけば良かった言うのか!」


 分かっている、理不尽な事であったから生存本能から取った行動である事は。しかし事そういう場面に陥った時に進んで自らを犠牲に動ける者は意外に少ない。我が身大事には皆が思っていることだ。


 「良かったとまでは言わない。ただそういう運命もある」


 「おかしいだろうが!!何故!何故俺だけが耐えなければならないんだ!そんなの間違ってるに決まってる!」


 「ああ、そうだな。だから俺はお前の全ては否定しない。生きる為に足掻いた事は寧ろ良くやったとまで思っている」


 初めて自身のした事を認められ、奴の顔が少し崩れる。後悔、なのかもしれない。


 「だがな。だからと言ってこれまでの事を許す訳にもいかない。覚悟しろ、ここでお前は終いだ」


 最後は自らの頭を下げて首を垂れ死を受け入れた。魔法を使い姿を残さずに彼を消す。


 「お別れだ。正直言ってな、俺は野心ある者はそこまで悪いとまでは思わないんだ。ただ、大体そいつらってのはお前みたいな屑になるからそこがダメなんだ。せいぜい次があるなら同じにはなるなよ」


 「コーヤさん、何故叔父様を殺したのですか?」


 「ああ、別にそれなら」


 「誤魔化したりしないでちゃんと答えてくださいよ!」


 こちらに来てからの初めての彼女の激怒に思わず沈黙してしまった。近付きながら怒りが伝わってくる様子にタイミングを逃してしまう。


 「貴方は!覇王をお父様だと分かってわざと殺したのですね!」


 「いや」


 言葉を話す前に泣きそうな顔をした彼女からの平手打ちが飛んで来るがそれを避けずに受け止める。


 「最低です、貴方は許しません。今すぐ私の元から立ち去って下さい」


 精神的な痛さと肉体的な痛さが重なり、俺は少しだけ意地悪になる。


 「そりゃ無理だ。確信を得て行動を起こした者がまさかそのままでいるとでも思っているのか?」


 悪意のあるその言葉に彼女は恐怖し、こちらから少し距離を取る。


 「姫様は私が守ります!」


 すかさず前に出てこちらに剣を向けるノーランに対して訂正を行うルナ。


 「違う、あの人は多分向こうの王も殺そうとしている。もしかしたらその後に私も」


 壮大な勘違いをされていて説明するのが途中で面倒になったので諦めてこの後の準備を整えて溜め息を吐きながらお別れの挨拶をする。


 「運が良ければまた会う事もあるかもな」


 二人がこちらの溜め息に疑問を残している間に二人と共に転移を行い、彼女達を王国近くの草原に送り出し、自身は敵対国の王室に移動する。


 「王様、当然の無礼を失礼致します。それを承知で緊急のお話があるのですが」


 事の経緯とルナの叔父の目的を果たす為に計画を完遂する為に俺は動き始めた。



 実はルーカスの事は殺してはいない。肉体をさせて四肢を元に戻して遠方の地へと転移させた。


 しかし彼の思考能力と価値観を一部改変したので元人格と生きているかは不明だ。けれども記憶や考え方は変えてないので悔い改めてこれからの残りの人生を見知らぬ地で生きる事になるだろう。


 結局、この惑星に接触した者の正体は分からなかった。しかし分かった事がある。それはそいつには悪意がなかったという事だ。


 今までずっと悪意の路線で考えていたが答えは出なかった。ならば答えは簡単だ。目的が無くこの世界変えようとし、痕跡をバレないように消した。きっとこれは善意だったのだろう。


 この者はこの世界が好きだからこそこんな事をしたのだと思う。問題や争いが起こらないように。


 問題が解決し、転移して地球へ帰ろうと準備をした時に後ろに気配を感じたので、振り向かずにそいつ語り掛ける。


 「俺の役目は終わった。もう俺は帰るが、今回の立役者はあくまでも王様だ。精々王様の娘と結婚でもして親孝行でもするんだな」


 追ってきた者はノーランであった。あの草原から走って来たとなるとペース的にはかなりギリギリでルナは間に合わないので置いて来たというのが伺える。本人も息切れがかなり激しい。


 「待て、お前を逃す訳には行かない。例え実力が絶望的に違っても俺はお前を命に変えても倒さなければならない」


 状況が理解出来てない彼はそのまま俺を止めらようとするが振り向きながら首を傾げて転移し始める。


 「はて、そりゃ何の事かね?じゃあな」


 「待てっ!」


 捕まえる為に走り始めて来るがもう既に間に合わず、粒子となって霧のように消えて行く。



 ––––悪くない星だった。少なくとも俺はそう思ったよ。




 数日後。自らの命の危機を心配しながらルナが実家にある宮廷に帰ると、そこには父親である王が玉座に座っていた。


 「おお、ルナ。帰ったのか、なんだ遅かったじゃないか」


 「叔父……様?何で?」


 状況が読み込めなかった、何故なら叔父はあの時に彼に殺されたのだから。今この目の前に生きて座っているなんて事が有り得ない。そもそも目の前の人物が自分の父親かどうかも定かではない可能性がある。


 困惑しながらも疑心暗鬼になっているとその様子を正しく理解したお父さんが分かるように説明を施す。


 「実はあの時、気絶さられたまま移動してて目覚めたら王室のベットに居たのだよ。おかけで彼には一泡吹かせられてしまったな。まあ物理的にもなんだがな」


 驚いた。これは素直に驚くしかなかった。彼は結局何がしたかったのか?どうして自分達を助けたのか?何故私に勘違いをさせたままいなくなったのか?分からない事ばかりで言葉が出てこなかった。


 「外交も上手く行っててな、停戦協定を結びに行こうとしたら既に終戦協定を結んでいるから早く判子押せなどど言われてな。その後普通に向こうの王と会食までしたのだ」


 彼は最後まで自分の正体を明かそうとはしなかった。それどころか私達の問題を余す事無く解決してくれた。それが何を意味するかは分からないし、そこから私が何かを出来るわけでもない。


 「さて、これからは忙しくなるから娘とは言えど、ちゃんと手伝ってもらうぞ?」


 この世界で彼にしてもらった事は多く、彼には何もしてあげられなかった。寧ろ傷付けてしまったと思う。


 「……うん、任せて叔父様」


 でも、それでも––––––伝えられる言葉は確かにある。


 『ありがとう』


 その日、彼女の居る宮廷からそんな言葉がとても小さく聞こえたらしい。



 「もっと手っ取り早い手があった筈なんだけど、初手でミスっちまったわ。やっぱりちゃんと順番通りに行けば良かったな」


家に戻ると彼はソファーに座りながら反省点を分析しながら次の場所の資料を読み込んでいるので後ろから近付いて声を掛けてみる。


 「凄いね、やっぱり凄いよ幸也は」


 「さあ?それは一体何の事かな?」


 確信犯の顔をしながら首を傾げる彼ではあったが、バレてるのかと気付くと少しだけ落ち込む姿に愛嬌を感じる。


 「今回の件の事だよ。やっぱり想像以上だった、すごいよ。本当に」


 そう、彼は本当に最初から分かっていた。


 今回の原因はあの星に暮らす者達の事などではなく、あの星の自体の不安定さだった。

このまま放置しておけば、あの星は壊れて滅ぶ運命にあった。


 けれど彼はそれを一瞬で直した。違和感が無いように、さもそれが当たり前かのように。他の者に勘付かれない為にあの一仕草で終わらせた。


 本当に凄い、故に本当に恐ろしい。これも彼が異常である理由の一つなのだろう。


 私はそんな彼に近付けない。近くに寄り添うことが出来ない。でも、それでも––––––


 「次はもっと面白みのあるところがいいな。あんま堅苦しいのは得意じゃないんだ」


 なんとも言えない軽い笑顔で小恥ずかしく苦笑いする彼にまた少しだけ私の心が溶かされた気がした。

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