第3話

 ピロリン♪


 携帯の通知着信音に目を向けると、サイト通知が来ているのを確認する。


 ―――――


 志の輔の友

 ★★★★★


 織姫さん。最高に楽しかったです。資金出来たら、またリピートさせて貰います。


 ―――――


「評価星5か」


 恋人代行業のサイトから評価通知がきて、まあ3年間もやっていればこんなものかと納得しつつ、学校に行く準備をする。


 高校卒業まで後3ヶ月。


 大学の推薦も取れたし、資金もコネも結構得られた。

 そろそろ本格的に姉さんの事、事故の事に深入りしようと考えているけど、何ともしがたい。


 本当に情報がない。

 私しか覚えていないのだから、仕方がないけれど兎に角、卒業までの自由登校日と大学在籍中に調べるだけ調べる。


 恐らくヒントは無かったことにされた事故の現場と、あの日から使える様になった、この能力がきっと姉さんに繋がっている筈。


 ピロリン♪


 また通知がきた。


 ――――


 天宮 織姫さんに指名依頼がはいりました。


 12月13日(日)10:00~16:00


 小倉 宗谷(20)大学生 (男)


 紺と白のジャケット、青ジーンズ、白黒マフラー


 場所:○○市駅、乙女の像前


〔yes〕 〔no〕


 ㈲バーチャルラバー事務局

 ―――――


 依頼通知だった。


「うーん、日曜かぁ。まあいいか」


 yesボタンを押すとサイトに飛び〈受理しました〉の表記。

 因みに名字は母親の旧姓を使っている。

 身バレ防止は世の常です。

 年齢設定も22歳。


 15歳で登録した時も18歳で記入。

 年齢制限あったもので。


 幸い例のお風呂事件で大分子供っぽさは無くなっていたし、演技指導のスクールで培ったノウハウで何とかバレずにすんだ。


 因みに会社は最寄り駅から4つ程、隣の街。

 なので、デートもその範囲に収まり、結果この三年間知り合いにアルバイトを見られた事はない。

 

 ないハズ。ないよね?


 噂になってないから多分大丈夫。うん。



 大学は姉さんが通っていた大学。推薦で受かってよかった。

 時間に余裕ができたし、在学中に少しでも姉さんの情報が掴めればいいのだけど。



 ただ、その通う大学が若干その街に近いのが辛い。

 身バレの危険度が上がるのは否めない。

 でも、大学は地味子デビューするつもりなので、多分大丈夫と思いたい。



 ただ、早く姉さん探しださないと思いつつも、隠れて、このアルバイトをしているのが楽しくなってきている自分もいる訳で。


 姉さん見つけたら、このアルバイト辞めるつもりだった。

 絶対に姉さん、このアルバイト知ったら怒るに決まっている。


 まだ、見つからなくてもいいなんて考えたら駄目なのに。

 姉さんが皆に忘れられたままなんて辛すぎるのに。


 私、酷い子だ。


 私が忘れたら、姉さんがこの世界から完全に抹消されてしまう。


 姉さん。

 今どこにいるの?



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