第13話 タイトルよ…
レーダーが壁の中で溺れるという貴重な経験をしている、その頃…
オニィとJCの戦いは激しさを増していた。
「…仮にだよ、ソレがパワーアップアイテムだとしてだよ、どうやってJCに渡すんだブッシ?」
ドライブがブッシに尋ねる。
「それは、オマエ…俺の仕事の範疇じゃねぇなぁ…」
階下の激戦を無責任に眺めているブッシとドライブ、責めてはいけない。
あんな攻防に巻き込まれたが最後、瞬殺必死の激戦なのだ。
「レーダー…どうしているかな~?」
ブッシが指で『ロード・クロサイト』を覗き込んで呟いた。
「…なんか…こんなに赤かったっけ?」
ブッシがドライブに尋ねた。
「さてなぁ?」
ドライブが指で宝石をチョンッと触るとドクンッ…と脈打ったように宝石が震えだした。
「のわっ?」
思わずブッシが宝石を指から滑り落とし…運悪く? JCとオニィの真ん中にカランと転がった。
「……いやいや…違うから、手助けだから、アレでJCがパワーアップするから」
ブッシがミスではないと釈明している間に、宝石の輝きは赤く増していく…。
「ヤバイんじゃないか?」
ドライブが階下を指さす。
JCが細く長い足でオニィの金属バットを押し返そうとして膠着状態である。
その真ん中でカタカタと震え輝きだす宝石『ロード・クロサイト』
「我は…番人…赫の守り人にして創世の理を知る者…世界を知りたくば我を欲せ…血と肉を望む者よ、無限から抜け出そうとする者よ、さぁ恐れを知らぬ無知なる者よ、我を受け入れるか?」
宝石が語り掛ける…誰に?
「がぁぁあ」
JCがオニィの金属バットを足で裁いて、宝石に手を伸ばす。
「ん?」
身体ごと弾かれたオニィが振り返るとJCは宝石を指で摘まんで口に含んだ。
「バカが…」
オニィが握っていた金属バットを離してカランと床に転がした。
ゴクンッ…
飲み込んだJCがフラッと床に倒れる。
「血と肉…僅か数十年で朽ちる腐敗に憧れるとは…創造主にでもなるつもりか?」
倒れたJCを見下す様に傍に立ち、小声で呟いてオニィは入り口から出ていった。
「終わったのか…な?」
ブッシがドライブに尋ねる。
「そのようだ…が、JCが動かないな」
「そりゃ、オマエ、宝石、丸のみしたんだぞ、ちょっと具合が悪くなっても致し方ないと思うよ」
「あぁ…喋る宝石を…飲み込んだんだからな」
「幻聴なら良かったのに…」
「まずは回収だ」
ドライブが階下へ走った。
「気をつけろよドライブ‼」
同時刻…
奥の通路に一枚の絵が浮かび上がった。
『後悔の航海』
ボロボロの帆船が夜の海へ出航している絵画。
(タイトルよ…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます