第24話 ゴール

カーテンから漏れる朝日と、のどの渇きに促されベッドから体を起こした。

のどの渇きを満たすため、リビングに向かうと静かな空間がそこにあった。


冷蔵庫を開けるとひんやりとした空気と、ブゥーンと静かな低い音が聞こえた。

お茶をコップに注ぎ一気に飲み干したが、体はまだまだ足りないと求め、

続けて2杯飲み干した。

潤いを得た身体をリビングの椅子に預けると昨日のことを思い出していた。


試合を終え帰宅すると、試合を見に来ていた家族は、

まだ家には帰っていなかった。

洗濯物を出してシャワーを浴びて出てきたところで家族は帰ってきた。

母は「ケーキとプリン買ってきたよ」とリビングへ入っていった。

父は「お疲れ様」と言うと母にコーヒーを入れてくれと続いていった。

そのあとに続き3人でテーブルを囲み、ショートケーキ、チーズケーキ、プリンを

それぞれ口に運んでいた。


これまで家族が目立たないように試合や学校行事に来ていたことは知っていた。

だがその場で話すことはなく、自宅でも話題になることはなかった。

ましてや、こうやってケーキなどを食べることも初めてだった。

「部活お疲れ様。今日はゆっくり休みなさい。」母がそう言うと、

「これからは受験にむけて頑張れ。」と父が続けた。

この場は労いと同時に、今後の進路について話し合えるように母が仕向けた場なのだろう。

兄の進路を決める時は「勉強しろ!」「どこを受験するんだ?」など受験に対して親身というよりも、押しつけがましくなっていたが、その反省もあったのだろうか。


「ありがとう。勉強はこれまで以上にやっていくよ。だけど志望校とか夢とかってのはまだないんだ。」そう言って勉強をする環境を自分で見つけたいと親に伝えた。両親はすでにいくつかの塾をリサーチしており、それらの名前を上げながら、友達の通っている塾やインターネットなどで自分でも調べて決めるべきだと言い、

7月中にどうするのか決めることになった。話が落ち着いたところで部屋で休むことを告げると、「夕食は?」と母が聞いてきた。起きたら食べることを伝えて部屋に戻り、そのままベッドに腰かけた。


好きなものであればゴールや目的がなくても勝手に楽しめる。

でも興味も薄く、ゴールや目的が見えないものについて、何かを決めることは難しい。

4月に進路希望用紙を渡されて、母と三者面談を行った時から、何も新しい情報を得ていなかった。1年後と思っていたものは、あっという間に半年後のことになっていた。


とりあえず勉強する環境を整えようと、机の整理を始めるとスマホの通知ランプが光っているのが目に入った。

届いていたメッセージを読んでみると、意外な人物からメッセージがあった。

家にいても仕方ないと思い、明日のその誘いを受けることにした。







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