あとがき

 戦国時代の名将、武田信玄。

その信玄率いる武田軍が戦国最強と言われる理由、

それは家臣の扱い方にあると思う。

 信玄は人の上に立つ者として家臣や領民などをとにかく大切にした。

領民に対しては治水工事などで国を発展させ、家臣に対しては

適材適所な役目を与えてその能力を存分に発揮させた。


 当然、どれも領民や家臣のためになるものだが、自らのためになることも

信玄は知っていた。


 配下の者に恩を与えることで恩で返してもらう。

中には恩を仇で返す者もいたが、信玄のその信念は崩れなかった。

結果として軍団には結束力が生まれて戦国最強と言われるようになった。


 ただし、信玄は全ての敵を戦だけで倒すような武将ではない。

味方に対しては恩を送り合うのだが、敵に対してはその逆だ。

 敵対行為という名の仇を送り、それに敵は仇で返そうと息巻いてやってくる。

そこを罠にはめて勝利を収める・・・実に巧妙なやり方だ。


 そう、信玄は味方には情けを送り、敵には仇を送る。

これは信玄の名言、“人は石垣、人は城、人は堀、情けは味方、仇は敵なり”

この言葉につながっていくのだと私は思う。


 敵味方問わず人の扱い方を熟知していた信玄は

その知識と最強の家臣団を率いて上洛を果たすことで

天下統一に近づこうとしたが、持病が重くなったため武田軍は撤退を始める。

 それでも信玄に良い報告をしたいと思う家臣たちが嘘をついてまで

信玄に夢を追いかけさせた。

 そして信玄は上洛を果たしたという一報を受けてこの世を悔いなく去った。


 信玄の魅力とは、一言で語るのは難しいが、

負けても立ち直り勝ってもおごらず、という隙の無い強さと

何をしてでも勝利を目指し、そして家臣を大切にする信念・・・。

 古代より自分を守ってくれる強い人に憧れる我々、

人間が武田信玄に魅かれるのも無理はないと私は思うのである。



 武田信玄の歩み、皆さまのご愛読のおかげで完結に至ることができました。

本当にありがとうございました。

 そして、今後も新作が書けましたら、どうぞよろしくお願いいたします。


武田伸玄より

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