第3話 艶然な赤毛の生徒会長、登場
「あっ、そうそうおっぱい君ちょっといい?」
俺と
「……なんですか渚ちゃん」
俺は反抗的な態度で渚先生に返事をした。
当然再び、“渚ちゃん”と呼ばれた先生は
「渚ちゃんはやめろって言ってるわよね?しつこい男は女に嫌われるわよ?分かったらやめろやコラ」
始めは穏やな口調だったが、徐々に険しくなっていき、最終的には怒りを隠すことすら出来ていなかった。
「素が出てますよ?」
「おっと失礼。…………ふぅ。とにかく渚ちゃんはやめようね?」
俺が注意すると、深く深呼吸をし怒りを
けれど俺にも言い分があった。
「それじゃあ、先生もそのおっぱい君って言うのやめてくださいよ」
おっぱい星人はかろうじて許しているがおっぱい君はどうも俺の中ではダメだった。
なので、せめてものの抵抗を示した。
しかし、渚先生は首を傾げる。
「ピッタリのあだ名だと思うんだけど?だって女の子のおっぱい、好きなんでしょ?」
どうやら、渚先生的にはしっくり来ているらしい。
けれど俺的には納得いかなかった。何よりも俺への理解度が。
「理想の!大きさ・形・柔らかさの3つが理想的なおっぱいが好きなんです!全てのおっぱいが好きなわけじゃありません」
俺は理解度を深めてもらうべく、俺のおっぱいへの想いを語った。
が、しかし、渚先生には上手く響かなかったようで
「あぁ、はいはい。これは失礼しました」
と上手く流されてしまった。
「はぁ……。それで何か用があったんですよね?」
俺は呼び名の件を諦めることにし、当初の俺が声をかけられた理由を聞くことにした。
すると渚先生はご機嫌そうに俺にこう告げた。
「そうそう。ちょっと頼まれて欲しいことがあってね」
と。
*********************
文也とのこと含めて今日だけで渚先生を2回も怒らせてしまっている俺には、先生の頼み事に対する拒否権なんてものはなく
「しつれいしまぁ…す」
雑用を押し付けられていたのであった。
必要なものを確保し、授業準備室から出ようとした時だった。
「あら、松木くんじゃない。こんな所で何してるの?もうすぐ授業始まるって言うのに」
後ろからやや大人びた、色気のある声が聞こえた。
振り向くと俺と身長がそんなに変わらない、赤髪三つ編みの胸の形が美しい女の子が、黒い帳簿のようなものを前に
その姿を確認すると俺は
「あ、生徒会長。ちょっと渚ちゃんに準備室からスクリーン持ってきてと頼まれてしまいまして」
礼儀正しく挨拶をした。
「そんな呼び方してるのお姉ちゃんにバレたら大変なことになるわよ〜?お姉ちゃん怒りっぽいんだから」
生徒会長はクスッと笑いながら、ポロッと
ツンっと、胸の辺りを人差し指でつつかれ少しこそばゆかった。
「身に染みてわかっています」
俺はついさっき大変なことを体験している俺は苦笑いしか出来なかった。
そんな苦笑いな俺に生徒会長は赤髪の揺らめかせて、指さしながらこう言った。
「それと、名前!ランちゃんって呼んでもいいってこの間言ったわよね?」
と。
この人の名前は
先程からの言動でわかる通り、現生徒会長であり、俺のクラスの担任である渚先生の妹だ。赤毛の三つ編みということもあり、愛称として“赤毛のランちゃん”と呼ばれていることもしばしばあるとか。もちろん本人非公認だが。
そして何よりも、彼女独特の色気のある声が学校中の男子の中で人気であり、卑猥な文章を読ませて録音しようとした輩がいたとか。
おっぱい星人として生徒会に目をつけられてる俺だが、流石に今の事例はドン引きである。
そんな生徒会長なラン先輩に“ランちゃん”と呼べと言われたが、そんなこと出来るわけなく
「流石にちゃん付けでなんて呼べませんよ!先輩でしかも生徒会長なんですから!!」
頑なに拒否した。
何度も“ランちゃん”と呼べないと断っているのに、それでもめげずに強要してきた先輩に毎度困っていた。
今回も、諦めてくれるのだろうと思っていると、
「それじゃあラン先輩でいいわよ?さん、はい!」
譲歩した呼び方を提案してきた。
「ラ、ラン先輩……?」
いつもと違ったパターンで来た為、俺は思わず応じてしまった。
するとラン先輩は
「よく出来ました〜。褒めて差し上げましょう」
「ちょ、頭ガシガシしないでくださいよ」
とても嬉しそうに満面の笑みを浮かべて頭を撫でてきた。
両手で授業教材を持っているため、頭を振りラン先輩の手を振り払った。
すると、
「……おっぱいパフパフの方が良かった?」
胸を両手で寄せ、胸の大きさを主張させながら質問してくるラン先輩。
「先輩の胸の柔さかなら申し分ないのですが…………」
色々ありラン先輩の胸の柔らかさを知ってしまっている俺だったが、どうしてもその誘いは乗れなかった。
「大きさ?」
ラン先輩はそう聞いてきた。
俺は首を横に振った。
「別に大きいのが嫌いってわけじゃないですよ?……でも、ごめんなさい」
我ながら最低である。最低であるのは分かっているが、超えてはいけないラインは分かっているつもりだ。
たとえ、本人が口ではいいっと言っても。
すると、俺の葛藤を知ってか知らずか、クスッと色気のある笑みを浮かべるラン先輩。
「ふふっ、君も大変だね。そんだけこだわりが強いんじゃ性欲処理も大変だろうね。まぁ、困ったことがあったら頼ってくれていいんだからね」
そう言って、教務準備室の前から去っていった。
ポツンと1人扉の前に残されたが今回は好都合だった。
「…………そんなの本当は頼みたいに決まってるじゃないですか」
俺の独り言が聞かれてしまうかもしれなかったから。
間もなくして、昼休みが明け5時間目の始まりを告げるチャイムが学校中に鳴り響いた。
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