第2話 自分に正直な者はだいたい痛い目に合う
余命が今日の漫研の活動までと宣告を受けた後、3階にある自分の教室に戻ろうと俺は
因みに さっきまで一緒にいた
……女の子に告白されてたところと、その女の子にフラれた腹いせにビンタされ罵られたところを撮られたのだろうなぁ。
「はぁ……」
痴態をフィルムに保存されているだろうことを憂鬱に感じながら、階段を登り続けていた。
「葵ちゃんのこと?」
俺がため息をついた事で気になったのだろう、先程から黙っていた愛咲が後ろから心配そうな声で話しかけてきた。
「まぁ、ね。というか、愛咲が葵ちゃんを煽らなければ心配する事無かったんだけどなぁ」
振り返りざまに俺は愛咲に対して不満そうな顔でそう言った。
だが、愛咲は得意げに笑っていた。
どういうことだろうと、疑問に思うと、答えがすぐにわかった。
「あら、私の下着をさっき見ておいて俊はいったい何言ってるの?」
どうやら見てしまったのをバレていたようだった。
「……愛咲のオレンジ色の下着なんて見てない」
せめてもの抵抗で否定しようとしたが
「色までは私言ってないわよ?」
「あっ……」
どうやら自分で墓穴を掘ってしまったようだった。
確かに下着の色は言ってなかった。
……というか、オレンジの下着って結構派手な色の下着つけてたんだな、愛咲って。
と、こんな風に俺が愛咲の下着を思い出して悶々としていると、
「ま、そういうことで。恨むなら見ちゃった過去の自分を恨む事ね〜。こんな可愛い幼馴染の下着を見れたことに感謝しながら」
と話を続ける愛咲。
しかし、俺は1つの言葉に敏感に反応した。
「ちょっと待て、俺は別に愛咲の見慣れた下着を見たところで感謝なんかしないぞ!?俺が見たいのは理想のおっぱいなんだから!」
俺の悪い癖が出てしまったのだ。
当然、自分の下着を見たことを今ので許そうとしていた愛咲には今の俺の言葉にカチンときたようで
「あんたってば……!失礼にも程があるわよ!!!」
愛咲はブチ切れていた。
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「なるほどな。それで、お腹を抑えてるわけだ」
ヨロヨロと教室について、倒れるかのように窓際前方の自分の席についた俺を心配した
因みに愛咲は2年2組で俺と文也は2年3組で別のクラスである。
「くっそぉ、愛咲のやつ思いっきり腹パンしやがって……!おぉ…いってぇ……」
よって愛咲のグチを言っても気にする必要は無いのだ。
一向にお腹の痛みが引く気配がなく、ただただ蹲って痛みの犯人に対して俺は嘆いていた。
「いやまぁ、話聞く限り俊が悪いんだからな?」
「……それは分かっている」
そう、俺が失言したということは分かっているのだ。けれど、このズンッズンッと断続的にお腹に響く鈍い痛みには嘆かないわけにはいかなかった。
「分かってるならいいけどね。……それで?どうだったんだ?」
食い気味に文也が聞いてきた。
「……うん?だからオレンジだったって」
下着のことかと思い、俺はついさっき思い出した愛咲の下着の色を告げた。
しかし、文也は顔を
もしかしてパンツの形状の話だったのかと思っていると、文也は勢いよく口を開いた。
「そっちじゃなくて!櫛名田さんの太もも具合だよ!!」
なるほど、興味があったのは愛咲の下着ではなく愛咲の太ももだったか。
愛咲が同じクラスじゃないことをいいことに、ここぞとばかり聞いてきたのだろう。
というか、文也はそういう奴だった。
なので俺は
「あー、はいはい。んー……まぁむっちりしてそうだったよ?あれがおっぱいの質感に反映されれば、完璧なんだけどなぁ……」
自分の想いを含め素直に感想を述べた。
だが文也にとってはおっぱいに興味は無いようで、
「おっぱいのことなんかどうでもいい!いいか?俊よ。女の子の魅力は太ももが全てだ!俺は理想の太ももに挟まれたまま死ぬならそれはそれでいいと思っている!!」
太もものことしか頭にないようだった。
「病気だな」
おっぱいのことなんか、と言われたことにイラッとしたが、表に出さないよう怒りの感情を殺しながら、俺は端的に自分の気持ちを言葉にした。
すると
「お前もだよ、おっぱい星人。それと太もも魔人も座れ」
いつの間にか教室に来ていた、俺と文也のいるクラスの担当教師である金髪団子ヘアの仲木戸 渚先生が凄んだ声を出しながら俺たちを後ろから睨みつけていた。
振り向きざまに、俺と文也の2人は
「「げっ、渚ちゃ……」」
と、密かに隠れて呼んでいる呼び名をポロッと出してしまった。
「あぁん!?なんか言ったか?おっぱい星人に太もも魔人よぉ?」
渚先生はこの“渚ちゃん”と呼ばれることを嫌っており、ただでさえややキツイ言い方が更にキツくなる。なんなら口調がヤンキー風になる。
実は渚先生は元ヤンなんじゃないかという噂もあったりする。
金髪ということも相まって、割とみんなその噂を信じていたりする。
そんなこともあって
「「なんでもありません、麗しき渚先生」」
俺と文也は潔く2人仲良く土下座をしたのだった。
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