第18話 不本意ながら潜入です ①

 「こ、侯爵家に潜入ってどういうことです!?」


 「潜入というのは中に潜り込むという意味だ」 


 俺の問いにアリーシャは淡々と答える。いや、言葉の意味を訊いてるんじゃないんですけど。


 「さっき話した侯爵家に出入りしている商人に話をつけた。侯爵家に御用聞きに行って清掃で困っていることはないかと尋ねてくれるようにな」


 「清掃?」


 「そうしたらうまい具合に喰いついてきた。屋敷の壁のレンガ部分が白くなって見栄えが悪いというんだ。洗っても取れなくて侯爵夫人が特に気にしているらしい」


 ははあ、エフロか。エフロは正式にはエフロレッセンス、または白華現象といい、コンクリートやモルタル、レンガで頻繁に起きる現象だ。大理石などの石材でも化粧仕上げの段階で発生することがある。モルタルやレンガの内部の水酸化カルシウムが雨水などによって溶け出し、それが空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなって固まったものだ。コンクリートやブロック塀に白い筋のようなものが浮き出ているのを見たことがある人も多いだろう。


 「その商人に公国から輸入した洗剤があると言わせておいた。お前ならその汚れを落とす洗剤を作れるだろう?」


 確かにエフロ除去の経験はある。酸性の専用洗剤を使ったので、それをイメージすれば効果のあるものが作れるだろう。


 「つまりその壁のエフロを落とすという名目で侯爵家に?でもそれじゃ中には入れないんじゃ……」


 「そこからがその商人とお前の腕の見せ所だ。その壁の汚れを綺麗に落とせばおそらく侯爵夫人の覚えがめでたくなる。そこで家の中にも気になる汚れがないか見させてくれと頼め。今後贔屓にしていただきたいから、今回はサービスで清掃させてもらうと言えば、家のあちこちを見て回ることが出来るだろう」


 「そ、そんな……」


 それではまるで営業ではないか。俺が最も不得意とする分野だ。この世界に来てから大分マシになった気はするが、基本的に俺は人づきあいが上手くない人間なのだ。


 「屋敷の中を見て回らんことには潜入の意味がないだろう。頑張ってこい」


 気楽に言ってくれる。しかしこれもメイビスとカノンのためだ。苦手などと言って逃げるわけにもいかない。


 「商人を裏口に待たせてある。イアンたちが見張ってはいるが、敵の目がどこにあるかもわからんからな。公国の隊商キャラバンが着ている服を用意してもらったからそれに着替えて二人で侯爵家へ向かえ。商人の話では件の新しいメイドの特徴からそいつが昨夜のシェレーネとやらではないのはほぼ間違いない。お前の面が割れている可能性はないだろう」


 「はあ」


 一抹の不安を抱えながらも、俺は指示通り隣の小部屋で用意された服に着替え、裏口に向かった。しかしはた、とあることに気付き、そのまま庶務課に寄ることにした。


 「空き瓶、ですか?」


 庶務課にいたパタラを捕まえ、手ごろな大きさの空き瓶がないか尋ねる。いくら<スキル>で洗剤は出せると言っても、人が見ている前で錬成するのはまずいだろう。公国で手に入れた洗剤という触れ込みなのだ。最初から瓶に入れておいた方がいい。さっきの練習のおかげで特性を生かしたまま保存することが出来そうなので丁度良い。


 「これでいいですか?」


 部屋を出てしばらくしてから戻ってきたパタラが、思っていたのとぴったりな瓶を持ってきてくれた。俺はパタラに礼を言い、人目のつかないところに移動してエフロ除去をイメージした酸性洗剤を錬成し、瓶に入れる。


 「これでよし」


 俺はその瓶を持って裏口に急いだ。そこで待っていたのは小太りで口ひげを生やした中年男性だった。ポルトと名乗ったその男は俺と握手し、大体の事情はアリーシャから聞いているので任せてくれと言った。商人だけあって口は上手そうだ。セールストークは彼に任せよう。


 「ほなら行きまっか。くれぐれもあんさんが転生者、てことは秘密でっせ。あそこの侯爵はんは転生者がお嫌いでっからな」


 俺は頷き、自分は公国から行商にやってきた隊商キャラバンの一員、という設定であることを確認する。屋敷に着いてからの段取りを打ち合わせ、俺たちは裏口から目立たぬよう侯爵家へ向かった。しかし商売人が関西弁とはこれまたベタなことだ。


 


「どうも、ポルトでおます。いつも御贔屓にしてもろうてありがとう存じます」

 

 侯爵の屋敷に着くなり、腰を低くして門番に媚を売るポルト。う~む、ああいう所は俺には真似できないな。


 ポルトさんはすでに顔らしく、門番は何も言わずに中に通してくれた。


 「おお」


 通用門から敷地内に入った俺は思わず声を上げた。高い壁に囲まれていたので外からではよくわからなかったが、中は広大な敷地に立派な屋敷が建っていた。広々とした庭には木々が茂り、池や小山まである。3階建ての屋敷は荘厳な作りで、流石侯爵家の住まいだと思わせた。


 「ちょっと待ってておくれやす」


 長い道を進んで玄関に着くと、ポルトさんがそう言って装飾の施された立派な扉のノッカーを叩く。すると扉が開いてメガネをかけたメイド服の女性が現れた。彼女が例の新しく入ったメイドだろうか。俺は緊張して息を呑む。しかし彼女はすぐに奥に下がり、しばらく待っていると今度は綺麗に手入れされた白ひげを蓄えたスーツ姿の男性が現れる。ポルトさんが俺を指差して何事か話すと、彼は頷き、俺のそばに歩いて来た。


 「ようこそいらっしゃいました。私は当屋敷の執事を務めておりますフロイネンと申します。早速ではございますが壁の汚れを見ていただきたいのですがよろしいですか?」


 フロイネン氏はそう言って胸に手を当て、軽く頭を下げる。俺は了解し、ポルトさんと三人でレンガの壁のエフロを見に行った。


 「長年風雨に晒されておるうちに徐々にこのような白い塊が浮き出てまいりまして。折を見て削り取ったりしているのですが、どうしてもレンガ自体を傷つけてしまうことが多く、その度に左官工を呼んで修復しているのです」


 この世界には俺がいた世界からの転生者が多いからエフロのことを知っている人間もいるだろうが、それが酸性洗剤で落ちるということまでは知らない人が大部分だろう。ましてや侯爵は転生者嫌いだ。知っている人がいるとしても屋敷に呼ばないだろうし、そもそも酸性洗剤を作ることが困難だろう。


 「わかりました。公国で発明された洗剤があります。取扱いに注意が必要なので私が作業いたしますから、終わるまでお待ちください」


 我ながら流暢に嘘を吐き(酸性洗剤の取り扱いに注意が必要なのは本当だ)、俺は用意してきた瓶を取り出す。ポルトさんは太鼓持ちよろしくフロイネン氏に世辞を並べ、打ち合わせ通り侯爵夫人のご機嫌を取りに屋敷に戻る。


 「さて、やるか」


 ポルトさんに借りた刷毛に先ほど錬成した洗剤をかけ、レンガのエフロ部分に塗る。炭酸が反応し、シュワシュワと表面に泡が立つ。それからブラシでその部分を擦る。あまり力を入れるとレンガに傷がつくので注意だ。あらかた落とせたら水を錬成して洗剤を洗い流す。幸い壁の下は草がなかったので養生の手間が省けた。酸性洗剤は当然草木には良くない。


 「まあこんなものか」


 施工した部分は綺麗にエフロが落ちた。俺は同じことを何度も繰り返し、壁のエフロをどんどん落としていった。小一時間であらかたの作業が終わり、俺はふう、と息を吐いた。この仕上がりなら問題ないだろう。


 「おお、これは!」


 そこにフロイネン氏がポルトさんと一緒に戻ってきた。エフロが除去されたレンガを見て感嘆の声を上げる。


 「素晴らしい!傷一つなく白い汚れが見事に落ちている!いや、ありがとうございます。奥方様もさぞお喜びでしょう」


 「な、言うた通りでっしゃろフロイネンはん。こいつは若いながらなかなかの腕の持ち主でんねん。今度とも贔屓にしてもらえまへんか」


 「勿論です。こちらからお願いしたいですよ」


 「ほなら今日はお近づきのサービスや。お屋敷で気になる汚れとかありまへんか?何か所かロハで作業させてもらいまっせ」


 「本当ですか?それはありがたいが、さて、急に言われるとどこが汚れていたかすぐには出てきませんな」


 「それでしたら俺……私にお屋敷の中を見させていただけませんか?見えにくいところに隠れている汚れもあるものです。特にこちらのように立派なお屋敷ともなると、普段目にしない場所もあるかと思います」


 自分でも驚くほどすらすらとこんなセリフが出てきた。必死になれば人間出来るもんだな。


 「そうですな。奥方様にお伺いしてまいります。少々お待ちを」


 フロイネン氏が去っていき、俺は緊張から解き放たれてほっとした。上手くいったがやはり俺は営業向きではない。


 「ははん、やるやないですか、トーマはん。中々のセールストークでっせ」


 「疲れました。やはりこういうのは専門家にお任せしますよ」


 しばらくしてフロイネン氏が戻ってきた。後ろに綺麗なドレスを身に着けた女性が付いてきている。


 「おっ!侯爵夫人や!」


 ポルトさんの言葉に俺は思わず目を見開いて立ちすくんだ。夫人自ら来るとは思わなかった。するとポルトさんがさっと片膝を付いてしゃがみこむ。俺も慌ててそれに倣った。


 「まあ!綺麗になったこと。見事なものね」


 エフロが除去された壁を見て、侯爵夫人が声を上げる。


 「お気に召していただけて何よりです」


 ポルトさんが恭しく頭を下げて言う。


 「これほどの腕なら他の場所も是非見ていただきたいわ。フロイネン、誰かにこの方を案内させなさい」


 「御意」


 「よろしく頼みますよ」


 「ははっ!」


 俺は思わず時代がかった返事をして頭を下げた。第一関門はクリア。ここからが本番だ。それにしてもポルトさんが行っていた通り、侯爵夫人からは奇妙な雰囲気を感じる。俺は顔を上げ、屋敷に戻っていく夫人に意識を集中する。


 「これは……」


 夫人から負のオーラは立ち上っていない。だが全身が薄く黒いもやに包まれているように感じられた。色として見えるというより感覚的に訴えてくる気持ちの悪さがある。何なんだ、これは。


 「ではこちらへ。玄関で少しお待ちください。屋敷の中を案内する者を連れてまいります」


 フロイネン氏はそう言って屋敷の奥に消える。後は打ち合わせ通りポルトさんが案内係の気を引き、俺が侯爵家の人間を観察することになっている。フロイネン氏には侯爵夫人のような黒い靄は感じられなかった。その辺りも気にかけた方がよさそうだ。


 「お待たせしました」


 しばらくしてフロイネン氏が一人のメイドを連れて戻ってきた。そのメイドを見た途端、ポルトさんが相手に気付かれぬよう俺を肘でつつき、ほんの僅か頷く。それではこれが新しく入ったという例のメイドか。


 「メイドのカテリーナです。この者に案内させますので」


 フロイネン氏の言葉に、カテリーナが会釈をする。


 「やあ、カテリーナはん。もうお屋敷には慣れましたかいな?」


 笑顔を見せながらポルトさんが挨拶する。やはりそうか。


 「はい、お陰様で。そちらが公国の方ですね?」


 「は、はい。オカーベと申します、よろしく」


  念のためここでは偽名を使うことにしていた。偽名と言ってもこっちが元々の本名なのだが。


 「ではご案内いたします、どうぞ」


 カテリーナが淡々とした口調で言う。その途端、俺は全身が総毛立つような気分になった。意識を集中するまでもない。この女はおかしい。悪意とかそういう言葉では言い表せない気持ち悪さがある。念のためオーラを確認するが、夫人に感じた靄のようなものがより強く感じられ、負の感情は見えなかった。


 「どちらからご覧になりますか?」


 「え、ええと……それじゃ水回りから見ましょうか。湿気で汚れが付きやすい場所ですし……」


 背中に冷や汗を掻きながら、俺は冷静を装って言う。ポルトさんも表面上は笑っているが、どこか落ち着かない様子だ。人を相手の商売をしているからこういうおかしな雰囲気には敏感なのだろう。


 「こちらがバスルームです。洗面台の蛇口が黒くなっているのを奥様などは気にしておられます」


 バスルームを覗くと、確かに洗面台の銀色の蛇口が一部黒くなっている。この世界にステンレス鋼があるかは不明だが、他の科学技術の度合いから見て、無いと思った方がいいだろう。となると銀製か真鍮に銀メッキを施したものか。銀は錆に強く、腐食しない金属だ。銀が黒くなるのは硫化といって硫黄成分と反応したもので、錆と違い銀本体を腐食しない。つまり磨けば落ちるのだ。


 とはいっても純銀ではなくメッキとなるとごしごし擦るのも問題だ。文字通りメッキが剥がれて地の真鍮がむき出しになる。真鍮は錆びて緑青などが発生するので水回りではNGだ。さてどうするか。さすがにシルバーダスターやシルバークリーナーは創れないし。


 「ポルトさん、歯磨き粉はありますか?」


 「歯磨き粉?ああ、あるで」


 ポルトさんは背負った鞄から袋に入った歯磨き粉を取り出す。ちなみにこの世界の歯磨き粉は文字通り「粉」である。チューブに入ったペースト状の物はない。塩に貝殻の粉末などを混ぜたもので、俺がいた世界でも昔使われていたものだ。


 「さて」


 完全に水に溶かしてしまうと研磨力が落ちるし、そのまま擦っては傷が付くかもしれない。俺は雑巾を取り出し、それを水で濡らすとそこに歯磨き粉を落とし、軽く揉む。それから徐々に力を入れながらゆっくりと擦る。慎重に擦っていくうちに少しずつ黒ずみが落ちてきた。


 「こんなものかな」


 「お見事ですね。これは助かります」


 相変わらず抑揚のない声でカテリーナが言う。悪寒が背中を走った。


 「どうでっか、カテリーナはん。こいつの腕は。もう少しサービスしますさかい、汚れがありそうなところをこいつに探させてやってくれまへんか?」


 「あまり勝手に動き回られるのは困りますが、ちなみにどんなところがご希望ですか?」


 「そ、そうですね。カーペットのシミとか、カビが生えていそうなところとかですかね」


 「そういうことでしたら応接室のカーペットにお茶のシミがございます。あとは地下倉庫はカビが出ているかもしれませんね」


 「はあ、では案内していただけますか?」


 「わかりました」


 俺とポルトさんはカテリーナさんに付いて応接室に向かう。と、廊下で一人の若い男が向かい側から歩いてくるのが見えた。カテリーナとポルトさんが立ち止まって会釈をするので、俺も慌ててそれに倣う。


 「うん?カテリーナ、何だ、そいつらは」


 「はい、坊ちゃま。こちらは……」


 坊ちゃま?まさか……


 「これはこれはユーティリス様。お忘れですか?商人のポルトでございます」


 ポルトさんが標準語で挨拶をする。やっぱりこいつがユーティリスか!


 「ああ、商人のオヤジか。で、こいつは?」


 「はい、私が懇意にしておりますマーカライト公国の隊商キャラバンの者で。珍しい洗剤が手に入った者でございますから」


 「奥様が気にしておられた外壁の汚れを綺麗にしていただいたのです。それで屋敷の中の汚れも見ていただこうと」


 「ふん、掃除などお前たちが普段真面目にしていれば余計な出費をしないで済むだろうが。怠慢だぞ、カテリーナ」


 「申し訳ございません」


 うわー。聞いていた通りの嫌な奴だなー。意識を手中すると、蔑みと傲慢のオーラが出まくっている。しかしそれ以上に気になったのは侯爵夫人に感じた黒い靄がずっと強く感じられることだ。もうほとんど色として認識できる程に。


 「明日は忙しいんだ。よそ者にうろうろされると気が散る。追い返せ」


 相手が侯爵の息子じゃなかったらぶん殴ってやりたいところだが、ここは我慢だ。


 「しかしこれは奥様のご希望ですので」


 「くどい!俺の言うことが……」


 ユーティリスが怒鳴りかけたその時、今まで以上の強烈な悪寒が全身を駆け抜けた。吐き気を催し、それをぐっと耐える。気を強く持っていないと倒れこんでしまいそうなほどだ。


 「奥様のご希望ですので……」 


 カテリーナが発したその声は地獄の底から響いて来たのではないかと思えるほど不気味だった。横を見ると、ポルトさんも顔を真っ青にして震えている。この人も感受性が強いようだ。


 「……わかった。しかしあまりうろちょろするなよ」


 今しがた激昂しかけたユーティリスがいきなり毒気を抜かれたようにそう言い、踵を返して去っていく。これは何なのだ?カテリーナが何かしたのか?まさか<スキル>?しかし転生者嫌いの侯爵が転生者のメイドを雇うだろうか?


 「失礼しました。こちらです」


 カテリーナが淡々と言い、俺とポルトさんは気分を落ち着かせその後に続いて歩く。しばらくして応接室に着くとカテリーナが軽くノックをしてからドアを開いた。


 そこはまさに豪華絢爛な意匠の部屋だった。きらびやかなシャンデリアに高級感あふれるソファ。脚に精緻な彫刻が施されたテーブル等々。うーん、貴族の生活ってやっぱすごいな。


 「あそこです」


 カテリーナが床の威嚇を指差す。そこには確かに茶色いシミが出来ていた。


 「では作業にかかります。しばらくかかりますから、どちらかでお休みしてください」


 「ですが……」


 「ほな、他に汚れの気になるところを先にわてに見せてくれまへんか。後でこいつを連れて行きますんで」


 ポルトさん、ナイスフォロー。カテリーナさんは渋々と言った感じで了承し、二人は応接室を出て行った。よし、これで少し時間が作れた。俺は即効でアルカリイオン水を錬成し、シミの除去をする。ものの数分でシミは取れた。……妙だな。この程度のシミなら屋敷のメイドたちでも簡単に落とせそうだが。


 俺は辺りを窺いながら応接室を出て、そろりそろりと廊下を進んだ。妙と言えばこれだけのお屋敷なのに人の気配をあまり感じない。実際、侯爵夫人とユーティリス以外は門番と執事のフロイネン氏とメイド二人しか見ていない。後はカテリーナの子供がいるはずだが、それだけしかいないというのは考えづらい。この広さの屋敷を使用人三人で切り盛りするのは大変だろう。


 部屋はたくさんあり、ほとんどに鍵はかかっていなかった。慎重にドアを開け、中を窺うが、どの部屋も無人だった。あまりにも静かで不気味だ。


 「何者か!?」


 幾つ目かの部屋を覗いたとき、いきなり後ろから声がして俺は飛び上がった。恐る恐る振り返ると、いつの間にか一人の少女がそこに立っていた。

 

 

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