第5話 私の愛した料理たち 其の三
スペイン バルセロナと言えばやはり、サグラダ・ファミリア 聖家族贖罪教会街のシンボルであり ガウディの未完の最高傑作である 未完、故に世界遺産には登録されていないが、その何とも不思議で興味を引く巨大な蟻塚のような建築物観たさに世界中から観光客が訪れる。ガウディは特別、設計図等を物を持たなかった様で現場で作業する人々に直接指示をしていたらしい 最期はミサに行く途中で路面電車に轢かれてしまう。しかし服装を気にしていなかったガウディは浮浪者と思われ町の粗末な診療所へ運ばれてしまう その後、彼があの有名なアントニ・ガウディと分かると人々は直ぐに立派な病院に移そうとするのだが
彼は自分はいつも民衆に中に居たい、特別な計らいは無用と断ったそうである 立派な話である 私もかくも有りたきもと感じ入るが、お前は民衆以外の何者でも無いだろとつっこみを入れるのである。
スペインは本当に魅力的な街である 熱量が高い感じがする それ故か泥棒も多い ホテルの部屋とて油断は出来ない 昔バルセロナのロケ中に照明スタッフの部屋が荒らされる事件があった デジタルカメラや何やらを盗まれたのだ 其ればかりか一寸気を抜いて食事を取っている間にロケ車から機材まで盗まれてしまうと言う失態を犯してしまった。基本、盗まれる奴が間抜けだと言う事だそうだ
が、其れを鑑みれば日本は本当に安全な国であるとつくづく思う。
今ではすっかり有名になったタパス 日本でも美味しいタパスを出すスペインバルがかなり増えてきた タパスって何種類くらい有るのだろうか
これまでかなり色々なタパスを食べた気がする。特にアヒージョを初めて食べた時にえらく感動したのを覚えている。小皿でいろいろ食べられるのがタパスの良いところ、セルベッサ(ビール)もグビグビ飲んで日本人には居酒屋のようで大いに楽しめる それにラテンな人々の中で食べるタパスは一層旨い 是非とも室内では無くオープンで味わって頂きたい 毎晩夜遅く迄お祭りのような賑わいはスペインならではである
そんなタパスの中でも私のお気に入りはボケロネス 小イワシの酢漬けである
こいつは外せない 実は光り物の魚もお酢も余り得意では無かった が何故だろう バルセロナでボケロネスと出会ってから食のイノベーションが口内で起きてしまった。ボケロネスの魅力に首ったけになってしまったのである。
いわしの身から滲み出る酸味が噛んでいくとにその身と交わり旨み成分となる、そこへニンニクの香りが後から追いかける。一つ一つの素材が渾然一体となり 別物とまでは言わないが、かなり違う顔になっているのだ 驚くべきはこの様な魚介に赤ワインを合わせると何とも生臭く感じてしまうものであるが、ボケロネスは其れを感じさせない、どころか赤ワインを引き立てる。いやボケロネスが引き立ってくるのかも知れない。
どちらでも良い 結局旨いのである 大好きなのである。放っておくと呆れるほど食べ制御不能となるので一度に食すのは5・6尾と決めている 自主規制也
と言うことで今は家で作っている。幸い近所に鮮魚市場があるのでそこでシコイワシを買ってくる。どうやらシコイワシとカタクチイワシは同じ物らしい
作り方は、頭を取り指で腹裂きして背骨を抜く。水できれいに洗いゴミを取る
タッパーに一尾一尾、塩を振りながらワインビネガーとオリーブオイルを掛けて重ねていく 重ねながらニンニクの薄切りと輪切りの唐辛子も挟んでいく最後はイワシが浸るまでワインビネガーを入れる
私は酸味が強い方が好きなので水で薄めたりはしないが そこは好みらしい
冷蔵庫で2・3日置くと酢が程よく身にしみ込み酸味も丸くなる、イワシの身が適度に締まって食感もよくなる そして楽しい晩酌が数日続くという訳である
偉そうに書いているが仕込むのは全て妻がしてくれている 美味しく頂くのが私の役目となっているので 作業の大変さは記すことが出来ない 申し訳ない
ただし余り日にちが経つと赤ワインとの相性が悪くなってくるのでそこは注意が必要である。
医食同源と言うが余り健康に気を付けて日々の食事を取っている方ではないが
これはきっと体に良い気がしている 血液サラサラ 細胞生き生き
ボケロネスでボケ封じである。
と日々これ口実として
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