シュークリーム
むぐむぐと隣人が懸命にシュークリームを口と腹に収めている。子供っぽい輪郭を残した頬には溢れ出たクリームが少しついている。
キッカケは、コンビニに寄ったリンドウがつまみコーナーの隣に売られていたスイーツを見かけた事だった。甘味は別に好きでもないが強いて嫌いでもないという程度のリンドウは、日頃何かとお裾分けしてくる隣人ための土産にする事に決めた。実際、ハムスターが餌を頬張る様を連想させて面白いと、リンドウにしては珍しく穏やかな心情で眺めていた。
「ちょっと、頬にまでついてるじゃない」
「ぅむ、」
頬を指で拭うと、柔らかい感触が指先に伝わる。むずがるような仕草をする隣人に、更にリンドウが目を細めて面白そうに笑う。衝動的にそのまま華奢な體を抱き寄せると、きょとんとした大きな瞳がリンドウを見上げる。顔のすぐ前までドロップを持ってきたリンドウは、赤い舌先でぺろりと頬を舐めた。みやっと奇妙な声をあげて、小さな手から未消化のシュークリームが落ちる。
「甘すぎ」
本当に飼ってやろうか。
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