サム・ヴェルディ
Loyauté me lie
Wrong hath but wrong, and blame the due of blame.
——Richard III, Act 5, Scene 1
八月の平野は緑。
あちらの樫の森から、こちらの牧草地まで。
髪を肩の上で揺らして若者が駆けてくる。
首をそっと包むスカーフのなんという赤さ!
我々は王国を持っていないので、
馬と引き換えることができなかった。
反逆者は私ではない。
それなら、どうしてこの雨の中を俯いて足早に行くのでしょう。
頭上に太陽が輝くことは最早ない。
悲しいこと、私は絶望しても死にはしない。
あなたは忘れたのですか、
白薔薇と
互いの髪に載せあった日のことを。
ポケットの中の石と手にした枯れ枝より
他のものを持っていなかった、
それでも星の世界がもたらした印が
王の王なる君主の召命である以上
我々は彼の聖なる地の王だった!
忠誠は我々を縛らない。
亡霊は夢から立ち去った。
馬も王国も無いままに戴冠する私に、
誰が万歳と叫ぶのです?
この黄色いのは何の光でしょうか?
天よりの風にさらされてなびく、
誓い破りの娘の髪にきらめく日の光。
そしてなんと赤いのでしょう
あの子の首を包むスカーフは!
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