第14話 ホームビデオ/その頃……②
「子孫のみんな!元気にしてるかい?!」
くっ……妹の方が先に新しいスマホわかってもらえて羨ましいな。
僕のも早く壊れれば良いのに、そういう時に限って壊れない。
というわけで妹のスマホの高性能なカメラちゃんで録画中。
「私が皆さんのご先祖様である!!
控えよー!!!」
とか言ってみる。
きっとこの動画は受け継がれていくのだろうか。
この前、おじいちゃんが心臓に患っていた病で生死の境を彷徨った。
そんな時にふと思いついたのが。
今の僕の家族のビデオを撮って、子孫累々受け継いでいけば面白いんじゃない?
なんてナイスアイデアなんだ。
そういうわけでオープニングを撮ってる。
言い出しっぺだし、将来僕は成功してるかもしれないから、子孫たちに僕の姿を植え付けようかな?
そんな企みもありつつ。
「今日は20××年の3月20日!僕は今度高校三年生になるんだ!!」
そう言って続ける。
「このビデオは子孫のみんなにどんどん自己紹介とか何かを追加していってもらって、
ビデオ家系図?ビデオリレーみたいなのを作りたいなと思ってやってるんだ!!」
「データの規格とか変わるかもしれないからその時はその子孫の誰かがうまく変換してね!
さて、僕の自己紹介はまた大人になってからするとして。僕のおじいちゃん、おばあちゃん世代から紹介するね!」
ここで録画をストップする。
さあ、次はおじいちゃん、おばあちゃんにインタビュー(?)だ!!
▼▼▼▼▼▼▼▼
20○○年8月25日と書かれた電子カレンダーが置かれている。
学生たちの夏休みももう終わるな?もうすぐ秋か。
私は手元にある父親と母親の遺影を見ながら、ぼんやりと外を眺める。
私は父親の顔を知らない。いや言い方がおかしいな。父親の記憶がない。
というのも私が生まれる前に事故で亡くなったそうだ。それには母も巻き込まれていた。
若き母は私が幼い頃、しばしば思い出話をしてくれたのだがよく覚えていない。
覚えてるとしたら父は孤高の天才だったということと
母の目元にはホクロがあったということだ。
母もまた早逝した。
病気だったのだが、死に際はよく覚えていない。
私は怖いおばあちゃんの下に預けられ育てられた。
辛い思いもしたけれど、頑張った。
おばあちゃんは成績がいいと褒めてくれる。
勉強は得意な方だったから、おばあちゃんに褒めてもらうために頑張った。
そして、医学と科学を学び、科学者兼医学者となった。
お母さんは若き科学者だったらしい。
その夢を継ぎたいという思いもあったし、実はもうひとつ考えがあったのだ。
「私が皆さんのご先祖様である!!
控えよー!!!」
おばあちゃんから貰った動画を再生する。
なんだかバカみたい。
くすり、と笑って椅子から立ち上がった。
▼▼▼▼▼▼▼▼
天界でエリスは絶賛お昼寝中。
女神であり、そう、美少女でもあるエリスはお昼寝をしていた。
仕事はサボっています。
でも地球の神様はそんなことを知る由もありません。
今地球は、残念な生命体、ホモ・サピエンスたちが闊歩し、昼夜問わずいざこざを起こしている。
忙しいったらありゃしない。
え?エリスの箱庭世界にもホモサピちゃんいるじゃん!だって?
そうだよ。
だからエリスも面倒な仕事がたまって忙しかったの!!
何故こうも争いたがるんでしょうか?
何故こうも争いになってしまうんでしょうか?
おやおや?
あそこに1つ小さな影がありますね??
誰でしょうか……
次の瞬間。
その影は消えた。
雲の下に吸い込まれたのやら落ちたのやら。
そして、エリスは起きたみたいね!
では、私はここら辺で。
またね〜!!
(謎の語り手)
▼▼▼▼▼▼▼▼
僕とミーシャさんは家全体と、特に使う部屋の掃除を始めた。
うーん!!
やっぱり、大きい家っていいねぇ!
掃除は大変だけどね。
ミーシャさんはめちゃくちゃ手際が良くて、あっという間に終わりそうだった。
本当にありがたい。
さーてと。次のプランにでも取り掛かるかな?
「ミーシャさん!」
大きな声でミーシャさんを呼んだ。
生徒会選挙の時にめっちゃ叫んでたので必然的に大きい声も出せるようになった。
「はぁい!!少々待ってくださいー!!」
元気な返事がしてしばらくしてミーシャさんが部屋に入ってきた。
この部屋は僕の部屋にしようと思うんだ。
寝室兼書斎みたいな……??
マンション暮らしだったのでこんなに広い部屋はなかったから……これは嬉しいな?
と思って、異世界暮らしに順応してきてるじゃん、まだ来て少ししか経ってないぞ……
とか思ってニヤニヤしてるとミーシャさんに怪訝な顔をされた。
「何か御用ですか?フラート様」
「あっ、ごめんなさい!!
ミーシャさんの雇用の件なんですけど、どんな感じがいいですか?
お給料とか待遇とか……この世界……(おっと)この辺りの相場がわかんなくて……」
「そうですね……住み込みで、メイドみたいな感じで働かせていただけるなら、私に余分な生活費はかからないので……」
こんな感じでコントラクト……契約の方は決まっていった。
自分で雇用条件を決めてもらうというのは1つの手だ。
雇用相場とかは実はこっそり道中の店で聞いていたりするので、予め感覚と、上限は持っている。
自分で大枠を決めて働けるというのは、雇い主からの信用の証にも見えるし何より被雇用者自身の責任にできる。
モチベーションアップも期待できるだろう。
そんなことを考えていた。
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