第10話 新生活っ!!っとその前に……
店に入るとミーシャさん?が出迎えてくれた。
店主が彼女に声をかけると、彼女はスっと書類を渡した。
「では、契約書にサイン頂きます」
さっきよりなんか部屋の温度上がってるな?
例の扇子で仰いでみる。うん、本当に普通の扇子だ。本当に何も特別な効果がない。まあ悪くは無い。
「では、白金貨30枚でよろしいでっか?」
ふむ、もっと値切れぬことも無いだろうが、ちょっと可哀想だな。この店主も。
この辺で許してやろう。
30枚でも十分安い。
「ええ、名前を書けばいいですか?」
「はい、契約内容を読んでいただいてよろしければ、こちらに」
こういう時悪徳業者はよく契約書で騙してくる。
よく読んどかないと後で痛い目見るからな。
経験済みだ。
特に怪しい点もなく、この契約書の内容なら問題ないと判断したので『フラート』とサインした。
「はい、確かに契約していただきました
私が代理で住居関係のことは一任されておりますので、
役所とかは行かれなくて結構です
これで全て完了致しましたので、本日よりお住み頂けます
支払いはどうされますか?
分割と一括とございますが」
「一括で」
そう言って袋から白金貨を30枚出した。
店主はほぉ……と感嘆したような声を上げて
「やはり、お金持ちでいらっしゃいますな」
とかなんとか言っていた。
「ありがとうございましたーまたのお越しをー!」
店主とミーシャさんが送り出してくれた。
今日は暑いからだろうか、通りに人はあまりいない。
さて、早速家に行って色々住む環境を整えるか。
そう思案していると、すれ違い様に騎士のような男が2人、住居斡旋所に入っていった。
きゃー!!!!!
ミーシャさんのものと思われる大きな悲鳴が響き渡った。
なんだ?!?!
後ろをくるっと向き、扉を開けて店の中に入る。
目に飛び込んできたのは胴体と首が離れ、無惨にも血を流して死んでいる店主。
そして、壁際にミーシャさんを追い詰めようとしている男2人。
「なにやってるんだ?!お前たち?!」
男らはこちらを向く。
「あ?
おー!お前はこのクソ店主が魔女狩りの話をしてた奴じゃねえか」
「お前も処分しないといけねえな
お前から殺ってやろう」
うーん?やばそうだね。
ミーシャさんも剣が掠ったのか、かなり大きな傷を負って血を流している。
男らは店主の死体を踏み越えてこちらに距離を詰めてくる。
外を見ても人はいないので助けを呼ぶのも期待出来ないだろう。
女神の剣を握った。僕に剣術の心得はない。
スキルにあった剣術を信じるしかない。
「「おらぁぁぁぁ!!!!!」」
2人同時に切りかかってきた。
▼▼▼▼▼▼▼▼
クソ店主の始末をせねばならぬな。
そうだよな、兄貴!
「ああ、そうだな」
俺たちは店主の見張りを任されていた、王国騎士団の諜報部隊だ。
邸宅へと客の坊主を案内するらしく、後をつけていった。
そしたらなんと、あいつ、王家の秘密を話してやがったんだ。
あれほど言ったら処分してやると言ってたのにも関わらず、だ。
「これは消さねば」
そうして、店に入り即座に処刑した。
豚人はよく切れるけど油が着くから後始末が面倒だな?
そして、かわい子ちゃんがいるじゃないか。
こいつ、俺達のものにするか?
そうして、怯える猫人女にジリジリと距離を詰めていた。
そこに、あの客の坊主が乱入してきた。
こいつも始末しようと思ってたんだ。
殺ってやれ。
「「おらぁぁぁぁ!!!!!」」
あれ?腕が軽いな?そして、いたあああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!
「うるさいなぁ……」
うるさいなぁじゃない、何とかしろ!!!
兄貴!!うおっ!!
そこには兄貴だったはずの肉片があった。
「さて、トドメをさそうか」
にっこりと笑った坊主。
▼▼▼▼▼▼▼▼
ドサッ
うるさいのを処理して。めでたしめでたし。
じゃないな……これはいずれ王家の知るところになるだろうな、面倒だ。
腰が抜けて座り込み震えるミーシャさんに近寄り、しゃがんで話しかける。
「恐ろしいものを見せてしまいごめんなさい
大丈夫ですか??」
「え、えぇ……ありがとうございました……」
少し落ち着きを取り戻した彼女の姿を見て思案する。目の前には肉片と血の海。
さてどう後始末しようか……
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