第3話 仲間を呼ぶ

「やっぱりかぁ。オンラインイベントはパーティ参加だよね。一回戻ろ」


イベント会場である闘技場の前まで行って、まもなく商店に帰ってきたタロー。

「一人じゃキツいですよ。残念ながら諦めます」

「大丈夫だよ!君のオフラインで集めた武器はとっても強い。ましてやイベント特攻まで付いているんだから」

「オフライン武器に特攻は付かないじゃ?」

「いいや、付くさ!それより、こっちへ来るんだ」

マシンガントークの店主に圧倒されてしまい、タローはそそくさと店主の後を追った。


店主についていった先には、二人の冒険者の姿が。

「君に仲間を紹介しよう」

店主はそう言ったものの、二人は決して何も話さない。

(勧誘厨の次は地蔵プレイヤーかよ)

「彼らはと同じなんだ」

「それってどういうことですか?」

店主はポケットからカンペのようなものを取り出し、

「“『オンラインモードをやりたいけど、他ユーザーとやるのはちょっと、』というあなた!そんな願いを叶える画期的システムの紹介だ‼”」

「簡潔に言うとどういうことですか?」

「そうだな。NPCがパーティに加わってくれるってことだ」

「なるほど」


タローは二人のステータスを見ることにした。

まずは、男性のキャラ。名前は『ドンドン』で、職業は『戦士』。基本的には一般的なキャラという印象だった。とはいえ、モヒカン頭にパンク装備で固めるなど見た目のインパクトはすさまじい。

次に、女性のキャラ。こちらの名前は『ダイジニ』で、職業は『賢者』。タローの職業と同じだが、こっちは回復魔法に重点を置いている、いわゆる回復型だった。

(俺は攻撃型だから、戦い方にバリエーションが出てよさそう。けど、ずいぶん刺激的な装備してるなぁ。VRで見たらヤバそう)

ダイジニの装備はハート形に胸元が大きく開いたローブに、大きなスレッドが入ったロングスカートのコーディネートとなっていた。


「三人パーティていうのも新鮮ですね」

「まぁな。加わるかもしれないしな」

少し店主の顔が怖くうつった。

「色々と準備ありがとうございます」

「頑張ってこいよ」

「それでは」

タローが二人を連れて出ようとすると、店主が急いで駆け寄ってきた。

「命令コマンドがあるが、決して使うんじゃないぞ!」

タローにはその言葉の意味が良く分からなかった。しかし、ユーザーとやるならどうせ命令とかできないからいいやと割り切ることにしたのだった。

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