第2話 通知が来ています

神父さまに助けられたタローは、その日以来オンラインモードに入っていなかった。というのも、このゲームにはオンラインモードと『サラクエ3』ドットを用いて忠実に再現されたオフラインモードがあったからだ。オフラインで得たアイテムはオンラインでも使えるので、やりたくなったらオンラインでもと割り切っていた。


一週間が経ったころ。コツコツ進めていたオフラインモードはもう中盤を過ぎ、上級職に転職出来るようにもなっていた。

<通知が一件あります>

「なんだ?」

<ユーザー様にオンラインモードでプレゼントが届いています>

「また、襲われてもなぁ」

少し悩みはしたが、タローはログインすることにした。今ログインをしないと、今後ログインすることがないようにも思えたからだ。


<ログインしています>

「プレゼントは…武器チケット⁉︎」

タローは交換できるという武器屋に向かう。そこには小太りの店主が元気よく迎えてくれた。

「いらっしゃい。何を買いにきたんだ?それとも売りに来たのか?」

「いや、このチケットを」

「これは“武器チケット”だな。裏の武器庫に招待しよう」

(こんなイベントあるんだな。攻略サイトで見たことないけど)

店主が招いたのはクモの巣が張っていそうな古そうな武器庫。剣や杖、槍をはじめとして色々な武器が置いてある。

「さて、好きなのを選んでくれ」

(これで十分なんだよなぁ)

オフラインをやり込んだために、装備やアイテムは結構揃っている。タローの職業“賢者”が使う杖に関しては持っているモノばかりだった。

「特にない」

「え?ないの?困ったなぁ」

店主の人間味ありすぎる反応にタローは思わず、微笑んだ。


「じゃあ、オンラインイベントのボス倒してくれば、オフラインで使える衣装あげよう」

その一言はタローを俄然やる気にさせた。現在のモチベーションとしては、オフラインアイテムほど心を高ぶらせるものはない。すぐにオンラインイベントの参加を決めた。



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