第13話 10月2日 ①
10月2日
ピンポーンとインターホンの音がして、横の部屋にある画面をに写っていたのは原口さんだった。
「どうしたんですかこんな朝から?」
「なに寝ぼけてんだ、もう1時だぞ、とっとと開けろ。」
「今開けます。」と言ってボタンを押して外の鍵を開けるといつものパソコンの前へ行き電源をいれてからキッチンに向かい二つのグラスに氷とアイスコーヒーを注いでパソコンがある部屋に戻ると原口さんにコーヒーを渡した。
「おうサンキュー。」
「あれ、原口さん今日来るって言ってましたっけ。」
「いや、昨日の夜こっちに帰ってきてな。ほれ。」とお土産の紙袋を渡された。
「あざっす。」
「で、皆んながどんな感じか見に来たんだ。ほら、緒方が忍び込んだんだろ。」
「ああ、ちゃんと成功しましたよ。」
「で、どうだ?」と言われながらパソコン前の椅子に座った。
「緒方さんが撮った写真には5人の子供は写っていました。」
「5人か、二人多いな、もう事件が起こってたのか。」と言われて昨日徹夜で警察のサーバーをから探し出した報告書のコピーをディスプレイに出した。
「いえ、最初の3件以外は事件になってなかったです。」
「どういう事だ?」
「1人は、町中でなぜか道路に倒れていたのを病院に運び込まれたみたいです、もう1人も同じように町中で倒れてたんですけど、近くに何かが燃えたような痕跡があったようなんです。ただ子供と痕跡に何の接点も見つからなくって事件にはなってません。」
「その2人はリストに載ってたのか?」
「はい。」
「やっぱり石井会が人能研の跡を継いだって事か。」
「そうみたいです。」
「あと38人かまだ先は長いな。東山と緒方は今日はどうした?」
「2人とも今行ってますよ。緒方さんは長野で、東山さんは神戸です。」
「おお、がんばるね。」
「原口さんは今日はどこか行かないんですか?」
「いやな、今日の夕方腰の病院に予約取ってたんでな、それまでここの近くに誰かいないかと思ったんだけどな。」
「ああ、関東は一昨日緒方さんが行った千葉が最後なんで、今日はゆっくり休んでくださいよ。」
「じゃあ、そうさせて貰うわ。」と言ってディスプレイを見ていた原口さんはコップに刺さったストローをチューっとすすった。
***
朝起きて目を開けると見慣れた白い壁紙の天井だった。サッカーボール型のめざまし時計が7時半の場所に針が指していた。
10月2日月曜日、の日に目覚まし時計をセットした時間に起きれたのは偶然じゃなく、これから昔いた施設の仲間に会いにいく旅に出て行くためだった。
別に今の家族に不満が有る訳じゃなく、強いて言うなら少し嫌になるぐらい過保護なのと、友達と県外へ旅行したいときにやたら反対されるぐらいだ。
起き上がり椅子の上に置いてあるリュックの中を開き教科書やノートの一番奥にキャッシュカードと貯金通帳が入ってるか確認した後、部屋を出た。
一階の食卓に用意されている目玉焼きと食パンがある所の椅子に座り朝食を食べながらパックのまま置かれている牛乳をコップに注ぎ一口飲むと後ろから庭繋がるガラス戸がガラガラと開き、「ああ、祐太おはよ。今日お母さん早行くから、それ食べたら洗っといて。」とい言いながら空の洗濯かごを小脇に抱えスーツを着た母が入ってきた。
「うん、わかった。おとんは?」と言いながら、フォークで黄身を潰し、出てきた半熟の黄身と細かく割いた白身を混ぜたのをトーストに塗った。
おかんは「もうでてったわよ。」と言いながら洗面所の方へ歩いて行った。
「早ね。」と聞こえるように少し大きい声で言うと。
洗面所から大きな声で「そうなの、6時にいきなり起きて、忘れてたって言うからすぐに朝ご飯作ったの7時ぐらいに出てったよ。あっ、冷めてたらチンしてね」
「うん?いい。」と言いながらリモコンでテレビを付けた。
「それと、今日から衣替えだからえだから学校から冬服で学校行きなよ。」
「わかった。」と言うと玄関の方からバタンと扉が閉まる音がした。
少し後ろめたい気持ちになりながら今も繋がってるような気がする昔の仲間達の顔を思い出したのは今年に入って何度も見る夢が原因だった。
その夢は仲間が超能力を制御できずに暴走して倒れる夢だった。
その夢は妙にリアルで自分が仲間達と魂が入れ替わって超能力を使ってるような感覚になりその後には必ず何処か心の中から仲間との繋がりが消えて無くなったような不安な気持ちと体全体が怠くなるので、仲間が心配になり家族に黙って一人で県外に出ることにした。
貯金通帳には30万円近くあるため46人を訪ねてるのにどれだけ必要かは分からないけど何とかなるだろうと思っていた。
もともとの計画は学校へ行くふりをして家を出て何処かで私服に着替える予定だったが、母が先に家を出たのは都合がよかった。
朝食を食べ終わり食器を片付けテレビを切ると部屋でジーンズとチェックのシャツに着替え鏡で自分を見ると歳の割には身長も170あるし見た目も同年代にしては大人っぽく見えた。
そしてリュックを背負い部屋を出た時だった、リビングから電話のベルの音がし、急いで電話にでると何も聞こえてこなかった。
「・・・・」
「誰ですか?」受話器に話しかける。
「カット ルーキー カフェ 1121」と女性の自動音で読み上げられたと思ったらガチャっと音がした後通話が切れた音がプープープーと鳴りそれと同時に目の前が真っ白になった。
***
昨日緒方さんが運転する車で吐きそうになり、緒方さんが咄嗟に差し出したゴミ箱に吐きながら、長野駅前のホテルに行き、一泊し二日酔いで頭が痛い中、5時に起きて朝一番のワイドビューしなのに乗って名古屋に着いたのが9時17分、それから新幹線に乗って神戸に着いたのが11時9分、結局今日の目的の市原美香という女の子が住んでいる場所に着いたのは1時前だった。
10月に入ったのにここの天気は嫌なるほど暑く、いい天気だった。
目的の場所は起伏の激しい閑静な高級住宅街にある低層マンションで目的の女の子はここの3階に住んでいるはずだったけど、まだ学校から帰ってくる時間までは時間がありそうだったので近くに公園で、駅のキオスクで買っておいたおにぎりを食べようと、来る途中で見た公園に向かった。
公園に着くと端の方に藤棚がありその下に備え付けのベンチとテーブルがあった。
そこにはサボりなのか、セーラー服を着た女の子が両肘をついて俯きながら座っていた。
「ここ座っていい?」と確認するように問いかけると彼女は俯いたままどうぞとハリのない声で答えたので机の向かい側に腰をおろし、レジ袋からおにぎりを二つ取り出しながら彼女をチラッと見ると、顔色が悪く額には玉のような汗をかいていた。
「あなた大丈夫?」と聞くと、彼女はこちらを見ることなく俯いたままだったので彼女の後ろへ回り込み彼女の肩に触れた瞬間彼女の体が一瞬びくっと震えた後、頭を上げこちらに顔を向け険しい顔で「私です。」と言いながらた細い手で私の腕を力なく掴んだ。
「えっ?」
「お姉さんが探してる人。」といきなり言われた為状況がはっきりと呑み込めなかった。
「どう言うこと?」
「私はテレパシーが使えるから。」
「美香さん?じゃあなたが?」
「うんん、多分お姉さんが思ってるような事をやってるの私じゃ無い。」と彼女が調子が悪そうにしながら言った時、急に黒電話の着信音がしびっくりした後自分のスマホだと思い出し彼女の手を腕からゆっくり解いて自分のバックへ取りに行った。
スマホの画面には非通知と書かれていた為緒方さんのガラケーだと思い電話に出ると疲れ切ったような緒方さんの声が聞こえた。
「やばい、ひどい目にあった、こっちの奴が当たりっぽい。」
「えっ、どうしたんですか?」と言うと横から肩をポンポンと叩かれ、振り向くといつの間にか移動していた市川美香が調子悪そうに「祐太くんを助けてあげて。」と言ったのと同時にスマホからは緒方さんの声で。「野上祐太にやられた。」と声がしていた。
***
昨日の夜、ゲロゲロになった東山をホテルの部屋まで送り届けた後、自分の部屋に戻ってから寝て、次の日朝7時にホテルを出た後、次の対象の住所まで車で向かった。
30分ほどで着いた場所はど田舎の農村地で、周りを山に囲まれた長野県の集落には棚田と石垣で起伏の激しいところだった。
対象が住んでいる建物から少し離れた場所に車を止めその中から対象の野上祐太が出て来るのを待った。
朝食にと、昨日買っておいたシャケのとツナマヨのおにぎりを食べながら待っていると10分ほどしてから家から中年のスーツを着た女性が出てきてそのまま庭に止めてあった軽自動車に乗り込み何処かへ走って行った為来るのが遅すぎたかと心配したが、庭に出るためのガラス戸にテレビの光が反射していた為そのあとも少し待つことにした。それから少しして反射しているテレビの光が消えその後30分ほど待つと玄関から私服の少年がリュックの方側を肩にかけ玄関から出てきて自転車に乗って出て行った。
平日なのに制服じゃないことに違和感を感じたが、家から離れた人気があまりない場所で声をかけようとを後をつけた。
暫くすると稲が刈り取られた棚田の脇にある畦道に入ったところで、車の速度を早め、横に来たところでガラス窓を開け話しかけた。
「ねえきみ、ちょっと道を教えて欲しいんだけど。」と言うと少年こちらを向き、その顔はどことなく赤みがかり目がつり上がりこちらを敵視している様に見えた。
少年は急に自転車を止めたので私も少し進んだところ車を止め、少年に近寄って行った。
少年は自転車から降りて、そのままの場所にずっと立っていた。
怯えた野生の生き物のような視線をこちらに向けてくる彼に私は、叙々に近づいていき少年に話しかける。
「君、野上祐太くんだね?」
「何で名前を知ってる?」
「実は、僕は新聞記者だ。」と言うと、彼はおもむろに手を伸ばし私の腕に触れた瞬間、5年前に見た夢の中で、爆発に巻き込まれる場面がふっと現れた。
「そうか、・・あんたが緒方か。」と言いながら私の目をずっと見つめているといきなり私の、みぞおちに右手で掌底をくらわさてたと、思った瞬間その細い体格からは考えられない強い力で押し込まれ体が後方へ飛んでいき、畦道の端にあった、20センチ程の丸っこい岩に頭を打ち付けそのまま畔の横から少し落ちて止まった。
その後すぐにみぞおちの痛さと頭の痛さを感じたが、次第にうっすらと消えていき一緒に意識を失った。
***
「おぁ〜い、あんちゃ〜ん死んでっか〜。」と耳元で気の抜けた声大きな声が聞こえたの同時に頬をペシペシと叩く感触を感じ、パッと目を開けると皺くちゃで上顎の前歯が二本無い色黒の老人が顔を覗き込んでいたのでとうとう自分は死んだんのだと思い「爺さん、死神か?」と言ってしまった。
「バカ〜、せっかく助けてやったのに何が死神だ。」と言いながら、筋と皮しかないような痩せこけた体に、だらだらに伸びたランニングシャツを着た爺さんが麦わら帽で私を扇ぎながらしゃがんで顔を覗き込んでいた。
「爺さん、今何時だ?」
「どうだべな〜、いえー出たのが昼食ってからだったで、イチジぐらいじゃなかべ。」と言いながら爺さんは私の顔の上から顔をどかした。
「いちじ?」と訛りが激しくついぼそりと呟き、空を真正面に望みながらポケットの中からホープを一本取り出して口に加えたがポケットあるはずのライターが見つからなかった。
「爺さん火あるか?」
「ヒィ?そんならさっきそこいらで拾ったが、オメーさんのかい?」と渡されたライターで火をつけ、そのライターを、良く見ると私の緑色のライターだった。
「おい、あんちゃん、助けてやったんだから俺にもくれんか。」と言われたのでポケットからホープの箱を取り出しライターと一緒に爺さんの方に投げた。
「全部いいかい?」
「ああ、お礼だよ。」
「お礼だったら財布の中のもん何枚かくれてもいいんだぜ。」と言われ車の中に置いたままだと思い出す。」
「悪いけど今、手持ちがなんだ勘弁してくれ。」
「若いくせしてしけてるな。」と言いながら爺さんは肺いっぱいに煙を吸い込み、鼻と口から大量の煙を吐き出した。
「うるせえ。」
「あんちゃんここらへんのもんじゃねえな。ここで何してたんだい?」と言われ。
「俺なんでここにいるんだっけ。」と聞き返してしまった。
「オメー頭からチー出てるけど大丈夫か?」といわれ額を触ると。「もっと後ろ後ろ。」と言われ後頭部を触り傷口に触て痛みを感じた時、野上裕太のことを思い出し、噛み締めるように「あっやられた。」と呟くと。
「ほー。誰にやられた?」
「野上祐太って奴だ。」
「祐太って野上の家の里子か?」
「爺さん知ってるのか?」と言いながら起き上がった。
「そりゃ〜隣にすんどるでな。あいつは最近おかしいんじゃ。」
「おかしい?」
「時たま、その辺を裸足でふらふらしとると思って話しかるとな、すげー剣幕睨んでその後どっかに走ってくんじゃ、そんで別の日に話すと、そん時の事は全く覚えとらん。」
「いつ頃のことだった?」
「そうじゃのー、先月に一回あったかのー?」
「先月のいつ頃か覚えてるか?」
「もう覚えとらんなー。あ、そういや確かトミさんの葬式の帰りだったかな。」と言って履いているステテコのポケットからガラケーを取り出し、どこかへかけ始めた。
「あ、もしもし、みちこちゃん今いいかい?ああ、うんうん。あの〜、先月にトミちゃんの葬式あったろ?うんうん。ああそうそう、でそれっていつだったかな?ああ、いいよ待っとるで。」と電話に話しかけた後こちらに向かって「ちょっと待っとれよ、今調べとろるから。」と言った後再び受話器に耳を付け30秒ほどしてから「ああ、ああそうかわかった、ありがとな。愛してるよー。」と言った後マイクに向かってチュッと音をさせた後携帯を二つに折り畳んだ。
「みちこちゃんって誰よ?店の女の子かなんか?」
「バカ言え、わしの嫁じゃ。そんなことより折角聞いたのに聞かんでいいのか?」
「いや、ごめんごめん、そんでいつだった?」
「9月9日の夕方じゃ。」と言われ、八王子の事件があった火だったのを思い浮かべた。
「マジかよ。で時間とかわかるか?」
「どうだったかな〜、葬式の帰りだで、夕方だったと思うけどなー。」
「夕方か。・・・」と言った後ポケットの中に車のキーがない事に気づき「爺さんここら辺に車の鍵落ちてなかったかい?」と聞く。
「鍵?もしかして、あの車ってお前のか?」と爺さんがレンタカーを指差したので「借りてるレンタカーだ、けど。」と言って車の鍵を刺しっぱなしにしていたのを思い出したのでポケットに手を入れてスマホを探すがそれも無くなっていたので飛び起きて、車に向かうとハンドルの付け根には鍵が刺さっていて、助手席には財布とスマホが置いてあった。
そこでふと、エンジンを止めてなかったことを思い出しガソリンメーターを見ると針がエンプティーを指していた。
「どうだ、あったか?」と後ろから声がした。
「ジイさん携帯貸してくれ。JAFを呼ばないと。」
「高いぞ。」言いながら爺さんは携帯を渡してくれた。
***
新神戸駅の切符売り場で2人分の指定席の切符を買い、直近で出発する14時26分発の東京行きの新幹線に乗り込んだ。
車両の中はあまり乗客はおらず、私が座るシートの周りには誰もいなく2人がけのシートの窓際に顔色が悪い市原美香を座らせ、通路側に私が座った。
私たちが座ると同時に車両がゆっくりと動き始め、外を眺めると太陽が雲に覆われて少し暗くなっていた。
視線を市原美香に向けると彼女はまた体を丸め俯いていた。
「ねえ美香ちゃん、さっき貴方が言ったとうり東京に向かってるけどこれから何をするか説明をしてくれる。」と話すと彼女はむっくり体を起こしこちらを向くと。
「野上くんを助けて欲しいの。」と力無く話した。
「野上くんっていうのは長野にいる野上祐太くんの事?」
「長野にいるかは知らないけど。多分そう。」
「まって、まず貴方は何で私達の事を知ってるの?」
「最近、昔の友達何人かに会ってるでしょ。」
「えっ、他の皆んなと今も連絡してるの?」
「他の子はラインとかで連絡取り合ってるっぽいけど私はやってない。」と言ってる時に後ろの方から車内販売の声が聞こえたので一瞬そちらを見た後気分が悪そうな彼女の顔を見て「アイスクリームほいし?」と聞くと彼女はコクリと頷いた。
立体パズルのように綺麗に商品が詰め込まれたワゴンを押した販売員の女性が近くに来てアイスクリームを頼むと、「バニラと抹茶、あとピスタチオが有りますが如何いたしますか?」と聞かれたので、隣に「何がいい?」と聞くとボソリと「バニラ。」と答え、バニラとピスタチオを一つずつ頼んだ。
私と彼女は目の前のテーブルを出しプラスチックのスプーンで食べようとすると、アイスクリームの表面は傷が付くだけで全く中に入っていかなく逆にスプーンが折れそうになって私は彼女の方を見ると彼女も私の方を見ていた。
その状況がおかしくて「ちょっと置いてこっか。」と彼女にいうと彼女もコクリと頷いて、その顔はどことなく顔色が少し良くなった気がしたので疑問を聞くことにした。
「ねえ、貴方は何で私達が皆んなと会ってるって知ってたの?」
「よくはわかんないけど、多分私、昔いた施設の皆んなと繋がってるんだと思う。」
「じゃあ何さっき私が、貴方を探してるってわかったの?」
「それは、時々なんだけどなんかに触ったりするとブワーって頭の中に入って来るから。いつもじゃないけど。」と言いながら彼女はスプーンでバニラアイスの表面にばつ印を描きながらスプーンについた少しのアイスを舐めていた。
「入ってくる?」
「そう、映像見たいな写真見たいな、感触とか匂いとかもある気がする。」
「サイコメトリーみたいな?」
「なにそれ。」
「分かんなければ気にしないで、それより皆んなと繋がってるって如何いうこと?」
「ああ、そっちもなんとなくなんだけど、皆んなといつも繋がってる感じがするの。別に会話ができるわけじゃないんだけど。」
「それってテレパシー見たいな?」
「多分そう。」
「じゃあ野上くんを助けてって如何いうこと。」と聞くと彼女はアイスクリームを弄んでいたスプーンを止めた。
「野上くん最近変なの、時々凄い変な感じになって、時々他の子もおんなじ感じになっちゃう時があるし、そうなった子って野上くん以外は皆んなその後は繋がれなくなるの。」
「繋がれない?」
「うん今日も朝から感じないし。」
「でも何で東京なの?」
「何となくいる方向がわかるの。」
「じゃあその野上くんは何で東京に向かってるかわかる?」
「分かんない、でも何でかわからないけど他の子達も東京に向かってるみたい。それに何となくみんなのこと感じにくくなってる。」
「増えてるって如何いう事?」
「分かんない、でも野上くんが変になってから少しずつ増えてる気がする。私皆んなと繋がってるからかもしれないけど気持ち悪くなっちゃって。」
「あなたのその能力っていつからあったの?」
「あんまり覚えてないけど記憶がある時からみんなと一緒にいる感じはずっとあったと思う。」
「前の施設の時から?」
「多分そうだと思う。」と言ってるうちにいつの間にか車内案内が流れていたみたいで新幹線は新大阪に着いていて少ししてから車両の前後から大勢の観光客やビジネス客が入って来て車両は満席になったのでこの事についての会話を辞めた。
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