第5話学園に通う少女4
「今日からまたご一緒できますね、お姉さま!」
「一日休んだだけじゃない。でも、そんなに喜んでくれるなんて嬉しいわ。それにしてもレオナちゃんに聞いたわよ。私が休んでいる間全然体調が良くなかったんでしょ?やっぱり私と休んでた方がよかったんじゃないの?」
「いえ、お姉さまと登校できるだけで病気なんて吹っ飛んでしまいます。それに、病院にでも行ったとお父様の耳に入ってしまえば学校に通えなくなります。」
実質は、お姉様と登校できなくてテンショんが低くなってしまっていただけなのですが、ここでは口を紡ぐことに。
「そういえばリーナのお父様は、とてつもないほど過保護だったわね。」
「はい、魔法の勉強がしたいといってもダメだと言われましたし、ならば、護身術だけでもと言っても、ダメだと言われて隠れてやる羽目になりました。」
「一応隠れては、行っていたのね。でも、どうしてダメって言われたの?」
「なんでも、訓練中に怪我をしてはいけないからとかなんとかで、とにかくダメだと怒鳴られました。」
「本当に過保護ね?そう言えば、1年生からも実践授業があったわよね?それは許してもらえたの?」
触れられてはいけないとこを聞かれてしまった。
しかし、お姉様に嘘はつきたくないので真実を話す事に。
「いえ、そもそも話していません。お母さまには伝えてますが、話さない方がいいだろうと言われまして。」
「そうなの?それでも言わなきゃいけないでしょ。秋に寮対抗戦があるんだからバレるわよ。どうするつもりなの?」
「それは、お母さまが任せておけと言ってました。何でも来られないように、仕事にを大量に貯めておくと言ってました。」
「アイナ様、あなたって人は。娘のためとは言えそこまでしてはいけないでしょう。」
なんだかうなだれている様子。
でも、気持ち的には分からなくはなかった。
「まあ、お母さまが任せておけと言った以上は大丈夫ですよ。」
「これ以上聞けば聞くほど危険なことが待ってそうだわ。‥…そういえば、今日からよね?実践授業があるわよね?」
「はいそうですね。」
「あなたは魔法と、剣技どっちにしたの?」
「私は剣技ですね。魔法はどうにも力加減が難しくて邪魔になりそうなので。それに、剣は流石に王宮の中では扱う訳にはいきませんでしたので触ることはできなかったんですよ。」
「そうなの?なら、しっかりと頑張るのよ!」
さっきまではうなだれていたけれど、応援はしてくれる模様だった。
流石お姉さま。心も寛大です。
「と、そろそろお別れね。」
「私はもう少し一緒にいたかったのですが。」
「大丈夫。ちゃんと下校の時に待ってあげるから。」
「いえ、お姉さまを待たせるわけにはいきません。」
「それぐらい元気があれば今日は、大丈夫そうね。でも、もし体調が悪くなったら絶対に言うのよ。隠したりしてはいけないわよ。これは命令だからね?わかった?」
「はい、大丈夫です。それでは、お別れです。」
それぞれの教室に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「リーナちゃんは、実践授業どちらに出られるのですか?」
「私は剣技ですね。レオナちゃんは?」
お姉様に引き続きレオナちゃんにも聞かれたので同じ用に答える。
そして、レオナちゃんのも質問して見た。
「私は魔法です。それにしても、意外です。てっきり、リーナちゃんも魔法の方かと思っていたので残念です。」
2人とも別の授業を選択したようだった。
「確かに残念ですね。しかし、どうにも魔法に加減が難しくて。」
「そうだったんですか。でも確かに、魔法の制御を間違えたら危ないですよね。私、昔、魔法がうまくなくて、お父様の髪が燃え尽きるところでした。」
「そうだったんですか。私も昔、隠れてて勉強しようと思って、ほんの少し炎魔法を撃ってみたら、間違えて、王宮のほうに飛んでいってしまい、危うく全焼しかけました。」
今でも思い出す。加減を間違えて全焼させかけた記憶。
「もしかして、10年ぐらい前にクーデターかと思われるほどの大事件だったやつですか!?あの事件の裏でそんなことが、って、私こんなこと聞いてよかったんですか。あとから、聞かれた以上消してやる、みたいなことになりませんよね。!?」
「大丈夫ですよ。そもそもお父様に伝えていませんから。でも、このことは他言無用でお願いします。もしお父様の耳に入り出ましたら・・・・。」
「は、入りでもしたら?」
今でもまだ私とはバレていないはずなので何のお咎めもない。
でも、もしも私だとバレた暁にはきっと恐ろしいことが待っている。
「私が怒られます!」
「そこは普通なんですね。」
「いえ、あんなのが普通なわけありません。私のコレクションを、大量に捨てられるのですよ!これまでにどれほどのコレクションが無くなったことやら。お姉さまの、お古の服に下着、お姉さまの使っていて譲り受けたコップや食器たち。思い出しただけで涙が。」
「なぜか最後の方はお姫様らしからないお言葉が聞こえましたが、私の聞き間違いだとしておきましょう。それで、そろそろ時間ですし途中まで一緒にいませんか?」
「ぜひお願いします。」
分かれるところまでいろんな話をして向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここまでですね。」
「はい!それじょあ、お互い頑張りましょう!」
そう言って別れた時だった。
「あれは、レイン王国のお姫様ではありませんか?」
「本当ですわ!しかし確かあちらは剣技の授業がある方向ですよね?」
「本当ですわ!もしかして、お姫様であろうものがまさか魔法が使えないだなんて。」
(あの人たちは誰に向かって話しているのでしょう?)
「レオナちゃん、授業頑張ってくださいね?」
「えっ、あっはい。」
そう言って今度こそ授業へと向かおうとした。
ただ、レオナちゃんは、ポカンとしていた。
「ちょっと、あなた私の話を何スルーしているの!」
しかし、気にせず、というか自分のことではないと思い歩きだす。
「二度も私の話をスルーするなんて許せませんわ。て、聞いているんですの?リーナ・アインベルト!?」
「え、私ですか?もしかして私に言ってたんですか?」
「は、あなた、本気で言ってますよ。」
「はい。さっきから遠くで話していたので他の方とかと思っておりまして。」
レオナちゃんが、さっきから慌てていたが今は気にしないでおく。
「あなたは、私をコケにしたいようですね。」
「何を言っていらっしゃるのですか。私は本当のことを言っただけなのですから。」
「分かりました。そんなにコケにしたいのであったら、決闘です。私と勝負をしなさい。剣技、魔法どちらでも使用ありのルールで私と戦いなさい。」
「ナーヤ、流石にそれは。」
「そうですわ。流石にそれは。」
他の2人に止められているが、頭に血が上っているようで、取り消すつもりがないらしい。
「さあ、放課後わたしと。」
「お断りさせていただきます。時間を無駄にしたくありませんので。」
「そうですわ。素直に私と戦えば・・・・、て、あなた今何と!?」
「ですから、お断りだと。時間の無駄ですから。」
「私との決闘が、無駄な時間だと!?あなたはどれまで私をかけに!?」
レオナちゃんが、今にも逃げ出しそうな感じでビクビクしていた。
「ちょっと、リーナちゃん、決闘ぐらい受けてあげてもいいんじゃない?」
「マリア会長どうしているんですか。」
「大声が聞こえたから、喧嘩でもしてるんじゃないかと思って、駆けつけてきたのよ。」
「そうですか、すみません。」
「でもいい話が聞けたわ。それで、リーナちゃん、決闘を受けてみては?」
「しかし、放課後は、お姉さまと帰るお約束をしているので、待たせるには・・・。」
「大丈夫。今からすればいいから。それに勝ったらサナちゃんに褒めてもらえるかも?」
「お姉さまに、・・褒めてもらえる・・かも?」
その時、私の頭の中では勝った後の妄想が、何度も繰り返されていた。
褒めてもらいながら頭を撫でてもらったり‥‥。
しかし、すぐさま頭の中で切り返し状況的な判断をする。
「し、しかし、今からやるとなると授業もありますし。」
「そこは大丈夫よ。私はこの学校の生徒会長だもの。それくらいの権限はあります。それに、あなたの実力は先生方も気になっているでしょうし。・・そうだは、今日の授業は、これまでにして、全校生徒が2人の決闘を見られるように頼んでみましょう!」
「そんなことできるんですか!?」
思っていたよりも学生会長とは立場が上位にあるらしい。
もしかしたら、この学園の規則すら変えられるほどかもしれない。
「そこは大丈夫だと思うの。過去に、授業の一端として決闘をさせていた時があったの。その時、全クラスの授業がなくなって応援にいってましたから。」
「そんなことがあったんですか。それなら、決闘を引き受けましょう。」
「最初からそうしていればいいんですのよ。」
こうして、決闘の準備が始まった。
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