第125話 攻略方法

『ナービ、鑑定で中身あるやつを見分けられない?』


『無理ですね』


どうやら、ナービの鑑定でもこの宝箱の中身は分からないようだ。


「透過…も難しいな」


俺の透過は1部分だけ限定的というのは難しい。上半身と下半身で分けるという大雑把なのはできるが、透過で宝箱をすり抜けて、すり抜けた先の手だけ透過を解除して中身の確認なんかできない。

いや、できたとしても1個1個確認していくには時間がかかる。そのため、1個1個を透過して中身を除くのも却下だな。



「ステータス」


俺はステータスを見ながら何かいい手段が無いかを考えた。


『絶対感知で感知できないかな?』


『やってはいますが、難しいでしょう』


ナービも色々試してくれているみたいだが、有効な手段はないみたいだ。



「【運】を測るんだから運頼みで頑張れよ〜」


「それを1にしたのはお前だろ」


スキルによるゴリ押しが今回は上手くいってないことで、俺もどきが上機嫌になっている。何かムカつくな…。



「あっ」


魔法による探知も試したけど無理で、本当に運頼みしかないのかと思っていたところ、あるスキルに目が止まった。そのスキルは最近出番が全く無かったから存在を忘れていた。


「よいしょっと…」


俺はしゃがんで地面に手を付けた。そして、そのスキルを発動した。


「探知系スキルには妨害があるから無駄だぞ」


「うるさい」


俺もどきが口を出してきたが、一蹴した。俺が使っているのは探知系スキルではないから、その妨害には引っかからないだろう。



『なるほど…私も手伝います』


『ありがとう』


俺のやっていることにナービも気が付いてくれて、手伝ってくれるそうだ。このスキルはこんな使い方をしたことがないし、そもそもあまり使い慣れてもいないので、ナービのサポートはかなり助かった。



「『…あった』」


「え゛…!?」


俺とナービは中身の入った宝箱を見つけたので、一直線にその宝箱まで向かった。


「よっ」


そして、俺は何の躊躇いもなくその宝箱を開けた。


「宝石ね」


中に入っていたのは拳大程の半透明の光り輝く宝石だった。


「これでクリアだな」


「…は?はっ!?ど、どうやって見つけたんだ!?魔法にも探知にも引っかからないようになってるんだぞ!」


俺が宝石を俺もどきに見せつけると、俺もどきは一瞬固まった。しかし、すぐに現実に戻ってきたのか文句を言い始めた。



「超音波を使ったんだよ」


「ちょ、超音波…」


俺は超音波で中身のある宝箱を見つけたのだ。俺が超音波を使ったのは剣を超音波カッターのようにしたくらいなので、こんな部屋中にある宝箱を調べるなんて大掛かりな使い方をしてこなかった。だから、探知として使うことに苦戦してしまった。



「というか、普通はどうやって見つけるんだよ?本当に3個ずつ試していくわけなのか?」


「……宝箱は開けなければリセットされない。だから叩いて中身を確認したりするのは問題ないんだよ。それをお前は…」


「なるほど」


一応それでもいいのか。ただ、箱は地面や壁や天井などに固定されているので、揺らすことは難しい。だから中身が何かを伝えられてもないのに、叩いて確認するというのは難しい気がする。だって、中身が紙とかの場合に叩いただけじゃ分からないだろ。


「それで、タイムは?」


「…48分だ」


つまり、制限時間よりも23時間12分早く終わったということだ。


「それで、ボーナスは何をどのくらいくれるのかな?」


「…1時間余ったらスキルを1つレベルアップする」


「つまり?」


「…スキルを23つレベルアップする」


これはかなりいいボーナスだ。スキルのゴリ押しで急いだ甲斐があったな。


「どのスキルをレベルアップしようかな…」


「待て!自由にスキルをレベルアップできる訳では無い!」


「は?」


ステータスを見ながら選ぼうとしたのに、止められた。


「…後付じゃないのか?」


「これは元からだ!」


じーっと俺もどきの顔を見ていたが本当のように思える。それと、やはりダンジョン攻略を始める前の俺の顔に気持ち悪いほどそっくりだ。



「それで、どれをレベルアップするんだ?」


「まず大前提として、レベルアップできるのはどのスキルも1回だけだ。そして、優先順位が1番高いのがレベルが1番低いものだ。その次に優先順位が高いのはスキルのランクが低いものだ。その次はスキルの使用頻度だ」


「なるほど…」


それなら良かった。スキルのランクが低いものからレベルMAXになるまでとか言われていたら普通にキレていたからな。



「よし、その条件でレベルアップしておいたぞ。ついでにステータスも元に戻しておいたぞ」


「そうか」


俺は早速変化したステータスを見てみた。




【名前】  斉藤 零

【種族】  覇王(龍族) 

【年齢】  19   

【レベル】 44 ★★★  

【ランキング】 1位


【HP】  96920/96920  

【MP】  46400/80400-36000


【攻撃】 14500+2200  

【防御】 11536+1400   

【魔攻】 14500+4000  

【魔防】 11536+1400   

【敏捷】 15860+400   

【運】  100       


【スキル】

・手加減Lv.MAX・指導Lv.MAX・騎乗Lv8

・吸血Lv.8・超音波Lv.MAX(1UP)・罠解除Lv.8

・偽装Lv.MAX・変装Lv.5(1UP)・連携Lv.MAX

・指揮Lv.4(1UP)・水中高速移動Lv.MAX

・水中呼吸Lv.MAX・無呼吸Lv.MAX・共通言語


【ユニークスキル】

・【ステータス】極大強化

・【隠しステータス】極大強化・ナビゲーション

・絶対感知Lv.9・神速崩壊Lv.6(1UP)

・神速多重思考Lv.8・全大耐性Lv.8

・超高速再生Lv.9・疾風迅雷Lv.8・修復Lv.8(1UP)

・神速飛行Lv.7(1UP)・性聖Lv.4(1UP)

・究極テイムLv.4(1UP)

・透明化Lv.5(1UP)・透過Lv.6(2UP)

・硬翼Lv.5(1UP)・空中水泳Lv.5(1UP)

・自我完全操作Lv.8

・天使召喚Lv.7(1UP)

【テンカ、テンナ、テンラ】

・強制進化(使用不可)・龍鱗Lv.5(1UP)


【エクストラスキル】

・覇王Lv.9・魔眼Lv.8(1UP)・武眼Lv.8

・龍眼Lv.6(1UP)・強欲Lv.8(1UP)

・傲慢Lv.5(1UP)・憤怒Lv.4(1UP)

・龍魔法Lv.5(1UP)・龍気Lv.4(1UP)

・白虎術Lv.4(1UP)・朱雀術Lv.4(1UP)

・玄武術Lv.4(1UP)


【称号】

・先駆者

・挑戦者

・一騎当千

・耐え忍ぶ者

・名付け親

・強欲

・傲慢

・憤怒

・新種

・種族の王

・龍種

・龍の親

・霊獣殺し

・四神流刃術

・四神流魔術

・四神流防術

・○○への通行許可書

・東のダンジョン完全クリア

・西のダンジョンクリア

・南のダンジョン完全クリア

・北のダンジョン完全クリア





「ん?あ、そうか」


スキルレベルが2つ上がっていたり、スキルレベルが上がった数が24個あるのはこの試練中にレベルアップした分もあるのか。



『…マスター、大変です』


「ん?何が?」


ナービが珍しく神妙な面持ちで話しかけてきた。


『一生スキルレベルが上がらないと思われていた性聖がレベルアップしています…』


「ほっとけ!」


何か緊急事態なのではないかと焦った気持ちを返して欲しい。


『最大レベルが4になって良かったですね』


「だから何でこれから使うことがない前提なんだよ!」


一応隠しステータスの魅力も上がっているため、容姿は誰よりもいいだろう。だから使おうと思えば使う機会くらいはあるはず…だ。


『使う機会を作れるといいですね』


「そ、そうだね…」


何かナービに同情されたしまった気がする…。



「……もういいか?」


「あ、いいぞ」


俺もどきが俺とナービの話が終わるまで待ってくれていたようだ。


「それじゃあこの試練は終わりだ。次に会えるとしたら最後の試練の時だな」


「ああ」


残り1つの試練。心·技·体の全ては終わった。次の試練の内容は予測はできないな。


「会える事を祈ってるぜ。じゃあ頑張れよ」


「またな」


そう言って俺はこの真っ暗な空間から追い出された。


「ん?」


最後の頑張れよって何だったんだ?しかも次に会えるとしたらって何か変だよな。



〈お兄!コボルトがもうすぐ動き出すよ!〉


俺もどきの発言のことを考えていると、頭の中で由紀の声が聞こえてきた。




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