第105話 2つ目の試練

「…おはよう」


「おはようございます。5時間ほど寝ていました」


今回はナービに起こされる前に起きることができた。


「じゃあクリスタルのところ行こうか」


「そうですね」


起きたばっかりだが、早速クリスタルのある場所に移動した。


「……やっぱり頑張れば壊せそうだよな」


「絶対に壊さないでください」


ぼそっと独り言として言ってみただけだが、やっぱりこのダンジョンのクリスタルは壊したらダメみたいだ。これ以上怒られる前にクリスタルに触れた。



『ピコーン!』

『南のダンジョンをクリアしました』

『【称号】南のダンジョンクリアを獲得しました』

『南のダンジョンの全てのレアボスを討伐しました。これより【南の試練】を開始します』


そのアナウンスを聞くと、俺は再び知らない場所にいた。今回も前回の試練と同様に黒いだけの空間だった。前回と同じという点で、ある意味知っている場所かもしれない。



「俺の事を無視して周りを確認するなよ」


「…もう二度と会いたくなかったよ」


俺の目の前には前の試練の時と同じように、ダンジョンが現れる以前の黒髪黒目の俺がいた。


「…前回みたいにお前の嘘には付き合わされないからな」


「あらら、あれはもうバレてるのね」


前回はこいつの戯言に振り回されて面倒な目にあった。


「じゃあまた死ね」


「ちょっと待て!まずは相変わらず話を聞けよっ!今回は俺を殺しても試練は終わらねぇーぞ!」


「あ?………ん?」


俺が殴りに行こうとしたら、慌てて止めてきた。

それと、殴りに行こうとした時に身体に何か違和感があるのに気付いた。



「お前も気付いただろうが、今のお前はスキルが全て使えない。だから今から使えるようにするスキルを5つだけ選べ」


「……」


「あ、前と一緒でカグロと同じ性能の武器はやるよ。ほれっ」


「………」


鎌状態のカグロ(仮)だけ渡されて、使えるスキルを5つ選べという謎な状況になってしまった。


「これから何をするんだ?」


試練の内容がまだ分かっていない。試練の内容によって選ぶスキルは変わってくるだろう。


「スキルを選んでから教えてやるぜ!」


「はあ…」


こいつが素直に教えてくれる訳がなかった。これからやることが分からないのに、スキルを選ばなければいけないのか…。


「じゃあ、まずナビゲーション」


「最初にそれか〜好いているね〜」


『ピコーン!』

『ナビゲーションが解放されました』


ナビゲーション、つまりナービを最初に使えるようにしてもらった。ナビゲーションというスキルは他のスキルと違って特殊なので、断れるかと思ったけど大丈夫だった。


「ちなみに今回の試練に関係あることしか助言はもらえないからな。例えば、俺を殺す方法とかは聞けないから注意しとけよ」


『…マスター。まずは状況の説明をお願いします』


ナービに今の状況を説明した。とは言っても、何をするか分からないけど武器だけ渡されてスキルを5つ選ばなければならないとしか説明はできなかった。



「マスターは私を選ばないとしたら5つのスキルはどれを選びましたか?」


状況を説明してまずナービからそう質問された。今はステータスを開けるみたいなので、ステータスを見ながらじっくり考えてみた。

あ、そういえばナービは心の中でではなく、普通に話しかけてきたな。



「…覇王と龍魔法と絶対感知と超高速再生と全大耐性の5つを選ぶかな」


無難だが、これが一番相性がいい気がする。攻守ともにバランスよく選べていると思う。さらに、使う場面が多かった上位5つを選んだつもりだ。


「……マスターが最初にナビゲーションを選んだのは正しい判断でした。本来はナビゲーションという直接的に戦闘力が増加しないスキルは選ばない方が良いスキルに当たります。しかし、マスターは必要のないスキルを3つも選んでいるので、ナビゲーション1つで済んだことを考えれば良い判断をしたでしょう」


どうやら俺が選んだスキルは間違いだったようだ。


「ナービなら5つ何を選ぶの?」


ナービだったら何を選ぶのか聞いてみた。


「私でしたら覇王と白虎術と朱雀術と超高速再生と神速多重思考の5つを選びます。

理由としては、白虎術と朱雀術はマスターが使える攻撃の中で1番強く応用が効く攻撃スキルです。それをより効率的に使うために覇王は必須でしょう。また、覇王なら選んで損をすることは無いでしょう。同じ理由で神速多重思考を選びました。これだけだと防御方面にかなり不安が残るので、超高速再生も選びました」


「………」


ナービの答えを聞いて感心してしまった。だけど何か悔しいので、ちょっと言い返してみた。


「龍魔法だって強力な魔法スキルだし、絶対感知と全大耐性だって防御的には必要じゃない…?」


「もちろん、選ぶ枠に余裕があったらそれらは選びたいです。

しかし、龍魔法は強力ですが、1度放ったらマスターの魔力に余裕はなくなってしまいます。本来、龍魔法はどうしようもないほどに追い込まれた時の一撃必殺として使うものです。だから今回のような状況の分からない時に龍魔法を1発放つ為に選ぶというのはもったいないでしょう。

また、絶対感知と全大耐性はマスターの言った通り、防御系に当たるので必要ありません。5つ選ばせたのに、そんな回避や防御しなければ即死してしまう攻撃は無いと予想できます。なら防御に固めてジリ貧になるよりも、攻撃寄りにスキルを選んでさっさと試練をクリアした方がいいと判断しました」


「………参りました」


最初からナービに張り合おうとしたのが間違っていたのだ。


「ナビゲーションを選んだからあと4つだけど何を選べばいいかな?」


「覇王と白虎術と朱雀術と超高速再生でいいと思います」


「じゃあその4つで」


「おっ…やっと会議は終わったか。その4つでいいんだな?了解したぜ」


特に身体に変化はなかったが、鎌を振って様子を確かめた。


「……まあ問題ないレベルかな」


【ステータス】極大強化がないから少し身体が鈍い気はするし、魔眼系も作用してないから景色もいつもより悪いがこれくらいなら許容範囲内だろう。



「それじゃあ試練を開始するぞ」


やつがそう言うと、目の前に巨大な六角形の黒い筒のようなものが現れた。


「今回の試練はシンプルだ。死ぬ前にこれを破壊しろ」


こうして、2つ目の南の試練が始まった。





【名前】  斉藤 零

【種族】  覇王(龍族) 

【年齢】  19   

【レベル】 44 ★★ 

【ランキング】 1位


【HP】   83400/83400 (6000DOWN)

【MP】   69300/69300 (32000UP)


【攻撃】  12880+2200  (400DOWN)

【防御】  9800+800   (400DOWN)

【魔攻】  12880+4000  (400DOWN)

【魔防】  9800+800   (400DOWN)

【敏捷】  13966+40   (400DOWN)

【運】   100       


【スキル】


【ユニークスキル】

・ナビゲーション・超高速再生Lv.9


【エクストラスキル】

・覇王Lv.9・白虎術Lv.3・朱雀術Lv.3


【称号】

・先駆者

・挑戦者

・一騎当千

・耐え忍ぶ者

・名付け親

・強欲

・傲慢

・憤怒

・新種

・種族の王

・龍種

・龍の親

・霊獣殺し

・四神流刃術

・四神流魔術

・○○への通行許可書

・東のダンジョン完全クリア

・西のダンジョンクリア

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