第72話 相談

「あーー…くそ……」


「そろそろ切り替えましょう」


自宅で夜ご飯を食べてベットの上に横になっていてもまだキングコボルトに負けた?ことの気持ちの整理がつかないでいる。


「負けてはいませんよ」


「負けたようなもんだろ……」


こっちが全力で戦っていたが向こうはまだ余裕がありそうでこちらの力を測っているようだった。



「多分まだいるよな?」


「いると思われます」


これはまだキングコボルトにステータス贈呈をする相手がいるかどうかを指している。今回は防御特化を連れていたところを見るとまだ攻撃特化やスピード特化など恐らくまだ数多くいると思われる。


「パパー……」


「あーよしよし」


コボルトとの戦闘中は常にリュキはずっと首に巻きついてただのマフラーに擬態していた。

これは俺が指示を出した訳ではなくて戦闘に入っても邪魔になると自分で判断してずっと首に巻きついていたみたいだ。しかし近くで見ていたので怖い気持ちと何も出来なくて情けない気持ちが両方あって今は甘えモード?になっている。


「対抗策なんかあるかな?」


「だからレベルを上げるぐらいしかありませんよ」


ずっと対抗策について話し合っていて思いついたのが手加減と毒のスキルだった。

しかし手加減は訓練用のスキルで相手に合わせて動き方を教えたりするためのスキルで相手が格上なのに手加減できると思っているのですか?と言われ、毒については神速再生ですぐ再生するので他の魔法と変わらないということだった。

それに次は配下全員でステータス贈呈をして10分以内に殺しくかかってくると予想されるのでそんな心配はいらないと思われるそうだ。


「はぁー……」








「現在現場に来ております!ここでは映像の通り大規模な戦闘があったようには見えないほどほぼいつも通りとなっています!」


ぼー…っとテレビを見ているがあの戦闘から3日ったのにニュースは同じようなものばっかりだった。

まずモンスターが地上に大規模に出て来るなんてことはダンジョン専門家達がまずありえないと言っていたのでそんなことはないと思われていたらしい。いやダンジョン専門家ってなに?

そしてそこで戦っていた明らかにマッシュよりも強いものは何者だ!というのも話題になっていた。あれはもしや1位なんではないだろうか?と今ネットを騒がせていた。


「明日も早いのでそろそろ寝ましょう」


「はーい……」


毎日朝早くから夜までずっとダンジョンにこもってレベル上げをしているがまだレベルが上がっていない。本当にこれでいいのか?とも疑問になりながらもそれしかすることがないんだよ…な……






ガチャ

ん…?寝てたのに部屋のドアを誰が開けた音で目が覚めてしまった。入ってきたのは…まぁもちろん由紀しか選択肢はないか…


「お兄?起きてる?」


当たり前のように布団に入ってきながらそう声をかけられた。起きるのがめんどくさいのと寝てたら何をするのかが気になったので放置することにした。


「お兄?本当に寝てるの…?」


「………」


「寝てるんだよね…?」


「………」


「……そっか…じゃあ…起きて♡」


「わぶっ!ぶぶっ!何をするだ!?」


「やっぱり寝てたよね?それに夜中だから静かにね」


こいつ!顔に当たり前のようにペットボトルに入った水をかけてきたぞ!同じ布団に入っているやつから水をかけられる日が来るとは思ってもみなかったぞ!


「寝ろっ!」


そして相手をするのも大変だし明日も朝早いので由紀に背を向けて濡れてはいるがそのまま寝ようとした。


「ねぇ…お兄?」


「ん?」


由紀が背中に抱きつきながらそう言ってきた。


「大丈夫…?」


「ふっ!大丈夫に決まってるだろ!」


「そっか…ねぇこっち向いて…?」


「ん、ん?」


耳元で囁くようにそんなことを言われてビクッ!となったが動揺を感じ取られないように平然と後ろを向いた。


「ばーんっ!」


「痛って!おい!何をするんだ!?」


振り向いた瞬間に目にデコピンをしてきやがった!思わず痛くはないが反射で痛っと言ってしまった。しかしさすがにこれには兄として怒ってもいい気がする。


「まだ寝てるみたいだから」


「いや!起きてるだろ!」


「いや!寝てるよ!!」


あまりに力強く感情を込めて言うので言おうとしていた文句が止まってしまった。


「ねぇ?今ニュースとかではモンスターが太刀打ちできずに逃げ出したってことになってるけど本当なの?」


「検索で調べればわかるぞ…」


「私は!お兄の口から直接聞きたいのっ!お兄はあれから余裕が無くなってる!追い詰められてる!」


「そんなことは…」


「あるの!!」


「………」


図星を付かれてしまって思わず返す言葉がすぐに出てこなくなってしまった。


「私は小さい頃からずっとお兄の側でお兄のことを見てたんだよ?お兄のことならお兄以上にわかる自信があるよ」


「………」


「ねぇ…何があったか、これからどうしたいか、どうなりたいのか話して?」


「………」


「私はお兄のかっこいいところもかっこ悪いところも全部まとめて好きなんだよ?だから私の前で無理してかっこつけなくていいんだよ?」


「………」


そう言って由紀は俺の頭を胸に抱き寄せて頭を撫で始めた。


「それに私はお兄の弱い部分も分かってあげたい。いや、わかりたい。だから何があったか話して?」


「……うん」


ちくしょう…どうやら俺の自我完全操作は仕事をサボっているようだ。

そこからあの日何があったか。結果としてほぼボロ負け状態でまだ勝つ見込みがないと事細かに話した。


「ねぇねぇお兄…ちょっと…」


「ん…?」


そう言いながら頭の後ろを軽くぽんぽんっと叩き頭を上げるように言ってくる。


「ばーんっ!」


「いてっ!てっおい!」


また急に目にデコピンをされてた。そしてまた再び頭を抱き寄せられた。


「なんで相談しないの?」


「いや…だっ」


「だってって言ったら監禁するよ?」


「……」


「はぁ…今度から何かあったら必ず相談するんだよ?」


「……」


「返事は?」


「は、はい…」


なし崩し的に了承してしまったがどうしても相談できない時は黙っていればバレな…


「もし相談せずに黙っていたら婚姻届を強制的に書いてもらうからね?」


「はい……」


どうやらどんなに小さいことでも必ず相談しなくてはいけなくなってしまったようだ。


「婚姻届を一緒に書きたいなら相談しなくてもいいからね♡」


「必ず相談します」


「ちぇっ……」


由紀の冗談のおかげで気持ちが結構軽くなった。

結果として相談したことによって解決策が出なかったけど相談してよかったと思える。


「なんで解決策が出ないで終わろうとしてるの?」


「え?あるの!!?」


まさかあるとは思わなかった。しかし思わせぶりで結局まだ思いついてないとか言いそうである。


「お兄はダンジョンで1つだけ来なかったモンスターがいるよね?」


「来なかった?」


来なかったモンスター?と言われてパッと思いつきはしないが全力で考えてみた。


「あ!50階層のレアボス!」


「そう!大正解!!」


確かに50階層だけレアボスが出なかった!


「まだ強くなれるのに行ってもあんまり意味無いけど、強くなるのに行き詰まった時に行くととてもいいことがあるんだよ」


「ありがとう!」


「今回は3日も無駄にしたね!」


「今度からはちゃんと相談します!」


そうしてそのまま話しながら寝てしまって朝に母から抱きしめ合いながら寝てるのを発見されて恥ずかしい思いをした。










【名前】  斉藤 零

【種族】  覇王(龍族) 

【年齢】  19   

【レベル】 8  ★★  

【ランキング】 1位


【HP】   80400/80400

【MP】   65800/65800


【攻撃】  10920+1000  

【防御】  8472+450   

【魔攻】  10920+1000  

【魔防】  8472+450   

【敏捷】  11992+40   

【運】   100       


【スキル】

・手加減Lv.MAX・指導Lv.MAX・騎乗Lv.3

・吸血Lv.8・超音波Lv.9・罠解除Lv.8

・偽装Lv.MAX・変装Lv.4・連携Lv.MAX

・指揮Lv.3・水中高速移動Lv.MAX

・水中呼吸Lv.MAX・無呼吸Lv.MAX

・共通言語


【ユニークスキル】

・【ステータス】極大強化

・【隠しステータス】極大強化・ナビゲーション

・絶対感知Lv.8・高速崩壊Lv.7

・神速多重思考Lv.6・全大耐性Lv.7

・超高速再生Lv.9

・疾風迅雷Lv.7・修復Lv.7・神速飛行Lv.6

・性聖Lv.3 ・究極テイムLv.3・透明化Lv.4

・透過Lv.4・硬翼Lv.4・空中水泳Lv.4

・自我完全操作Lv.・強制進化(使用不可)


【エクストラスキル】

・覇王Lv.8・魔眼Lv.7・武眼Lv.6・龍眼Lv.4

・強欲Lv.6・龍魔法Lv.3


【称号】

・先駆者

・挑戦者

・一騎当千

・耐え忍ぶ者

・名付け親

・強欲

・新種

・種族の王

・龍種

・龍の親

・○○への通行許可書

・東のダンジョンクリア

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