第48話 対戦

「着いたのじゃ!」


「お待ちしておりました」


「おぉ〜〜」


訓練場はサッカーコート程の大きさがあり、高さも30メートルほどあり、観客席のようなものも付いている。


「はぁー……」


ブラッドに怒られたのが気に食わなったのか面会の時に絡んできた奴が俺を睨んでいる。


「覇王様にお願いがあるのじゃ…」


「な、なに?」


他の魔族に聞こえないように耳の近くで小声で話しかけてきた。その瞬間周りの魔族から感じた殺気は気のせいであってほしい。


「覇王様がなめられてるのが苛つくのじゃ…」


「お、おう…」


かなりガチギレしていると声でわかってしまった。


「だからなめている奴らを叩きのめしてほしいのじゃ」


〈私もマスターがなめられているのを見ると苛つくので格の違いを見せつけてほしいです〉


「いいよ」


俺もこんないかにも三下というやつになめられのは腹が立つ。


「皆の者!!覇王様に決闘を挑んで勝てたものは全員階級を1つあげてやるのじゃ!何十人、何百人同時で構わないのじゃよ!!参加したいものは訓練場中央付近に来るのじゃ!参加しないものは観客席に行くのじゃ!」


そうブラッドが言うと絡んだ奴を筆頭に何人も訓練場の中央に移動している。


「さすがに部位欠損は困るのじゃが、骨の10や20本折ってもいいのじゃ!!」


お、おう…結構恨みが溜まっていたようだ。



「これで全員じゃな?」


結局200人ほど集まった。そのほとんどが若い者のようだ。ベテランそうな人達は集まった人達に哀れだと言いたそうな目を向けている。


「ルールとしては故意に殺す攻撃を禁止する!また、武器、魔法は自由とする!」


「族長様に質問があります!」


俺に絡んできたやつがブラッドに質問があるようだ。


「故意でなく、事故で死んでしまった場合はしょうがないですよね?」


「そうじゃ」


「ありがとうございます!」


にやにやしながらこちらを見ている。


〈事故ならいいらしいですよ!〉


〈事故でもダメだからね〉


〈そういえばわざわざ鑑定しなくていいよね?〉


〈??マスターは今の強さでゴブリンと会った時にわざわざ鑑定するのですか?〉


ナービにとってはこいつらはゴブリンと同じらしい。



「両者準備はよろしいですか?」


ブラッドが開始の合図をするようだ。

準備はできているので頷いておく。


「では!開「死ね!!」始!」


フライングをして魔法を放ってきた。ほぼ全員で。

逆にすごいチームワークだな。


「あ!まさかみんな魔法を放つと思わなかった!ごめんね!!殺す気はなかったよ!!」


そう言ってみんなで爆笑している。

ちなみにノーダメージとナービから聞いていたし、自分の魔眼でもノーダメージとわかったのでなんの防御もしないで直撃させてあげた。

十分に笑わせてから暴風魔法で砂煙を飛ばした。


「な!なんで生きてるんだ!」


「いや、ルール的には殺したらダメなんだから喜べよ」


殺そうとしたのを少しは隠せよ…


「族長様!依怙贔屓でこの者を守るのはやめてください!」


今度はブラッドのせいにしているし…


「この妾が神聖な決闘で依怙贔屓をしたと言いたいのか?」


「い、いえ…」


もうダメだなこいつ…

全力で覇気を使ったら全員意識を保てないだろうから意識は保てるようにナービに調整してもらい、加減して覇気を使った。


「ひっ!!」


全員覇気のせいで足が震えて動けなくなったところでわかりやすいようにゆっくり魔法を作っていく。


「あ…ぁ……」


「サイクロン」


威力は押えて手加減を使って絶対に誰も死なないように加減して暴風魔法を使った。

あと丁寧に絡んできた奴とその取り巻き数人は魔法を当てないようにした。


「ま、ま、魔法さ、さえ使わせなければ…」


たった数分で自分たち以外がいなくなっても少しは戦意が残っていたようだ。


「ぁぁ………」


今度は鎌を抜いて絡んだ奴がギリギリ耐えれる覇気を使った。

なのでもちろん取り巻きは気絶した。


「喧嘩売る相手を間違えてたと思うよ」


そう言って鎌を振りかぶり、首のギリギリで寸止めをした。


「ぁぁぁぁ………」


そう言って失神した。そして股間部分が濡れてきていた。


「勝者!覇王様!!」


そう言うと観客席にいた魔族たちが気絶した者を運んで行った。


『ピコーン!』

『手加減Lv.3が手加減Lv.5になりました』


「次は妾たちの番じゃ!」


おっと、どうやら今度は修行をつけなければいけないらしい。


「ブラッド様から聞きました。是非私たちにも名前をつけてほしいです」


そう言ってまた長たち6人が頭を下げてきた。

名前は決めていたためすぐつけることができた。



「どのように修行をつけてくれますか?」


〈どうすればいい?〉


〈族長と長たちを全員同時に相手をして戦い終わった時に反省を言えばいいと思います〉


「じゃあ、全員同時に俺にかかってきて終わったらどこがダメだったとか言う感じでいい?」


そしたら全員それで構わないとの事だった。

そして族長と長たちは本気用の武器と防具を取りに行った。


〈ちなみにマスターも下手をするとダメージを受けるかもしれないので気をつけてくださいね〉


〈え!?そうなの!?〉


そんなことを聞いていたら全員でかかってこいなんて言わなかった…言ってからやっぱり1人づつと言うのはダサいし……


〈マスターはしっかり連携を取れた相手と戦ったことがないのでいい機会ですね〉


〈まぁそうだけどさ…〉


さっきの奴らは連携を取っていたうちには入らないだろう。


〈それと今回は相手のステータスを見ないで戦いましょう〉


〈なんで!?〉


〈マスターは予期せぬ事態に判断が少し遅れる傾向があるのでそれの解消のためです〉


まぁ確かにどこぞの新種がいきなり竜魔法を使ったりしてきた時に判断が遅れたのは自覚していた。




「では両者準備はよろしいでしょうか?」


あれから少しして完全武装をした長達がやってきた。そして観客席には先程俺に負けた魔族たちもあちらこちらに包帯を巻きながらお葬式のような雰囲気を漂わせながら見ている。


「では!開始!」


「おりゃあ!!」


鬼人のニオンが開始の合図と同時に突っ込んで来た。

ニオンは棍棒のような武器を使っている。それを刃を無くした鎌で弾き返して脇を蹴って壁まで吹っ飛ばした。


「波っ!!」


今度は後ろから竜人のドランが殴りかかってきたので躱した。ちなみに魔族の顔は人間のようなのでモンスターとは全く種族として違うようで同列に扱うのは魔族にとって最大の侮辱とナービから教えてもらった。


「波っ!!!」


「くっ!!!」


再び殴ってきたのを躱して鎌で壁まで吹っ飛ばそうとしたが腕が急に竜の腕のようになり上半身を思いっきり殴られてしまった。


「やべ!」


吹っ飛ばされて着地しようとした地点に何やら血の跡のようなものがあったので急いで地面に鎌を刺して止まった。辺りを確認するとところどころに血の跡があった。


「俺を忘れるな!!」


またニオンが突っ込んで来た。しかし今度は一緒にドランも同じように突っ込んで来た。

だが、ドランの竜化のようなものを知っていれば対処はできるので今度は鎌で2人とも壁まで吹っ飛ばした。


「ウッドチェーン!!」

「ブラッドチェーン!!」


モクヨの樹木とブラッドの血で身体を拘束された。

その瞬間に空中で加速し続けていた鳥人のトウリが突っ込んで来た。

魔族って突っ込んで来るの好きだね。


「雷雪化」


部分魔法化が進化した魔法化を使った。

ただこのスキルは1秒でMPを500も使うので燃費が悪い。ただ雷雪化状態の時に俺に触れたのでトウリは当分は飛べないだろう。


「そこだっ!!」


雷雪化を解除した瞬間に魚人のカナンが俺の真上からトライデントで刺そうとしてきた。

いや、まずどうして魚人が空中にいるの?

避けて鎌で斬りかかったが、空中を泳ぐように移動して避けられた。あ、そうやって空中にいるのね。


こうしてヒットアンドアウェイをしてくる魔族たちを少しずつダメージを与えていったが霊人のレイカだけが見当たらない。どんな探知を使っても見つけることができない。

そしてダメージを与えても回復が異様に早いと思ったらトウリの魔法の炎を受けると回復しているしているようだ。なのでトウリから倒すことにした。


「どこ行ったの?」


「上だ!!」


時空魔法でトウリの上に転移して鎌で叩き落とした。しかしまだ気絶していないようなので気絶をさせに行く。


「っ!!!」


急に後ろに気配を感じたので振り返って鎌を振った。


「え……」


しかし後ろにいたレイカに鎌は当たらずにすり抜けた。そしてそのままおでこをつけて目を合わせてきた。


「ブラックアウト……」


その瞬間視界も探知している空間も闇に染まった。

一瞬あるいは数時間にも感じられるほど時間感覚が分からなくなった。そして闇が消えた時には全員から放たれた魔法が当たるまで1秒あるかないかという場面だった。








【名前】  斉藤 零

【種族】  覇王 

【年齢】  19   

【レベル】 1   ★

【ランキング】 1位


【HP】   24120/24120

【MP】   19000/19000


【攻撃】  2480+140   

【防御】  2044+100   

【魔攻】  2480+140   

【魔防】  2044+100   

【敏捷】  2698+40   

【運】   100       


【スキル】

・手加減Lv.5(2UP)・指導Lv.3・騎乗Lv.3

・吸血Lv.8・超音波Lv.9・罠精密感知Lv.5

・罠解除Lv.8・偽装Lv.MAX・変装Lv.4

・熱精密感知Lv.3・連携Lv.MAX・指揮Lv.3

・気配精密探知Lv.MAX・水中高速移動Lv.9

・水中呼吸Lv.MAX・無呼吸Lv.MAX

・危険精密察知Lv.MAX

【ユニークスキル】

・【ステータス】極大強化

・ナビゲーション・高速崩壊Lv.3

・神速多重思考Lv.3・全大耐性Lv.3

・超高速再生Lv.3・疾風迅雷Lv.3・竜魔法Lv.7

・修復Lv.6・神速飛行Lv.3・性聖Lv.3


【エクストラスキル】

・覇王Lv.6・魔眼Lv.3・武眼Lv.3・強欲Lv.5


【称号】

・先駆者

・挑戦者

・一騎当千

・耐え忍ぶ者

・名付け親

・強欲

・新種

・種族の王

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