第5話 完成

「…ください。…てください。起きてください」


頭の中に響いてくるナービの声で目を覚ました。

少ししか寝てないのにだいぶ休めたみたいで疲労感はもう残っていなかった。


「とりあえずこれからどうする?」


「まず少しずつモンスターと戦ってレベルを上げて階層を降りて行きましょう。近くに宝箱があったら伝えます」


ちなみに浅い階層ならそこまで広くないので次の階層に続く階段までの道はわかるそうだ。

このようにこれからの予定を話していた時だった。


『ただいま全てのダンジョンが完成しました』


と言う声が頭の中に響いてきた。


「では早速いきましょう」


ナービが早速案内してくれるので、それに従って歩いて行く。




「ここから少し先にゴブリンがいます」


数分でモンスターがいたようだ。ユニークゴブリンに殺されかけたため緊張しながらゴブリンが見える場所まで来た。


「あれ?なんか弱そうじゃない?」


「普通のゴブリンはそんなもんですよ。ですが油断しないように相手してください」


比べる相手がユニークゴブリンだからなのか、どこか弱々しいゴブリンがいた。しかし、ナービに言われたように油断しないように身体強化も使って一気にゴブリンに攻撃した。


「ハァッ!」


「グゲ!」


ゴブリンが振り返ったのとほぼ同じタイミングで剣で首を落とした。


「戦闘訓練にならないので身体強化は今は使わずに行きましょう」


確かにこれでは戦闘にはなっていなかった。しかし、初めて自分の力でモンスターを倒せてなんとも言えない高揚感に包まれていた。



「ユニークがまだ出ないとも限りませんので気を引き締めてください」


そうだった。まだ弱いゴブリンを倒せただけなんだと考え、ドロップした魔石をカバンに入れた。


「あれ?ゴブリンが持っていた棍棒は?」


そこでゴブリンが持っていた棍棒がないことに気がついた。


「あれはドロップしなければ手に入りません」


もしかしたらユニークゴブリンの剣がドロップしたのは運が良かったのかもしれない。

そしてまたナービの案内に従って歩き始めた。

 


「前方にゴブリンがいますが、今度は気付かれてから行動してください」


戦闘訓練のためにゴブリンとしっかり戦闘するそうだ。


「剣だけではなく蹴りや殴りを使ってください。そうしたら体術なども取得できます」


もし剣が壊れた時に何もできずに死ぬことがないように、体術もある程度できるようにならないとダメらしい。


「グゲゲ!」


どうやらこちらに気付いたようでゴブリンが走ってきた。そして棍棒を振り上げて殴ろうとしていたので剣で打ち返した。そんなこと予想していなかったのかゴブリンが仰け反った。


「ハッ!」


仰け反ったことで、がら空きになっている胸を思いっきり蹴り飛ばした。


「グガッ!」


ステータスの差の影響で思っていたよりもゴブリンが吹っ飛んでいった。


「ゲゲ…」


骨でも折れたのか起き上がらずにいるゴブリンの首を剣で刺して殺した。


『ピコーン!』

『レベルが上がりました』


どうやらレベルが上がったようだ。


「しっかり倒せているためこのままゴブリンを倒しつつ5階層に向かっていきましょう。」


ナービの案内に従ってまた歩き始め、時々現れるゴブリンを同じように数体倒していった。


『ピコーン!』

『レベルが上がりました』

『魔力感知Lv.3が魔力感知Lv.4になりました』

『剣術Lv.1が剣術Lv.2になりました』

『体術Lv.1を取得しました』


「魔力感知レベルこんな上がってたっけ?」


確か魔力感知は覚えたばかりでLv.1だった気がする。


「魔力感知は私がずっと発動していて、寝ている間も使っていたため上がりました」


寝ている間にもスキルを使っていてくれていたそうだ。というか、ナービは俺が寝ている間にスキルを勝手に使えるのね…。



「近くに宝箱があります」


まじか!近くに宝箱があるそうだ!できれば魔法のスキルの書なんかが欲しいと思いながらナービに案内してもらう。

着いてみたら行き止まりにポツンと宝箱が置いてある。


「罠とか仕掛けられたりしてない?」


よくある異世界のラノベとかで罠が発動してどこかにワープで飛ばされたりしたのをみたことがある気がする。


「この宝箱には罠は仕掛けられていません。罠が仕掛けられていましたら、発見時に伝えますので安心してください」


その言葉を聞いて安心したので、スキルの書を下さい!と思いながら宝箱を開けた。


「ビン?」


緑色の液体が入ったビンが3本入っていた。


「それはポーションですね」


宝箱の中身はポーションだった。スキルの書でないことに悲しんでいた。


「強奪のスキルを取ればスキルは多く手に入るため回復手段であるポーションが手に入ったのは良かったです」


どうやらナービ的には当たりのものだったみたいだ。

俺はポーションの鑑定結果をナービに聞いてみた。



【名前】HPポーション

【レア度】E

【品質】 E

【特殊効果】



という結果らしいちなみにこのポーションでHPは150ほど回復するらしい。

ポーションはカバンの中にしまっておき、またダンジョンを進んでいく。



『ピコーン!』

『レベルが上がりました』


またレベルが上がったようだ。そのタイミングでナービからも声がかかった。


「そろそろ5階層に続く階段が見えてきます。5回層からゴブリンは2匹以上同時に出てくることがあるので気をつけて行きましょう」


まだ単体でしか相手をしていないため少し緊張はするが、ナービの案内に従って5階層に足を踏み入れた。







【名前】  斉藤 零

【種族】  人間

【年齢】  18

【レベル】 13★ (3UP)

【ランキング】 1位


【HP】   820/820 (180UP)

【MP】   650/650 (150UP)


【攻撃】  170 (30UP)

【防御】  126 (24UP)

【魔攻】  170 (30UP)

【魔防】  126 (24UP)

【敏捷】  192 (33UP)

【運】   82


【スキル】

・剣術Lv.2(1UP)・投擲Lv.1・体術Lv.1(New)

・身体強化Lv.1・恐怖耐性Lv.2・魔力操作Lv.3

・魔力感知Lv.4(3UP)


【ユニークスキル】

・ナビゲーション


【称号】

・初エンカウント

・初ユニークエンカウント

・初スキルゲット

・初スキルレベルアップ

・初レベルアップ

・初モンスター討伐

・初ユニークモンスター討伐

・初ユニークスキルゲット


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