第4話 特訓2

「まず投げられる石をできるだけ多く集めてください」


そう言われたので、投げられそうな石を多く集めた。一応爆裂石みたいな石を警戒して集めたが、普通の石しかなかった。ちなみに剣は腰に携えられるベルトのような物も一緒にドロップしたので腰につけてある。


「ここからあの黒っぽくなっている壁目掛けて投げ続けてください。」


ナービにれ壁から15メートルくらいのところに案内されてそう指示を受けた。そして投げては拾い投げては拾いを繰り返していった。




〜約2時間後〜


『ピコーン!』

『投擲Lv.1を取得しました』


「あれ?今度は少し早かったな」


「それはそうでしょう。スキルの熟練度はモンスターとの戦闘時の方が上がりやすいので、ゴブリンに石を投げていた今回は取得が早かったのです」


もしかしたら俺には野球の才能に溢れていたのか!なんて思っていたのが少し恥ずかしい。



「そーいえば喉も乾かないし、お腹も空かないし、トイレも大丈夫なんだけど?」


ダンジョンに来てから何も飲まず食わずだったのにダンジョンにくる前と全く変化がない。


「ダンジョンの中では老廃物はたまらず全てが栄養となるため、特殊な環境でない場合で水分は1週間に1回、食事は2週間に1回、睡眠は3日に一回取れば大丈夫だと思われます」


なんとも都合が良くダンジョンはできているようだ。


「まだダンジョンが完成するまで時間があるため他のスキルを取得していきましょう」


まだこの状態で取得できるスキルはあるみたいだ。


「まずは楽な姿勢になって自分の心臓付近にある魔力を感じ取ってください」


今度は休憩もなくすぐに次のスキルを取得するようだ。楽な姿勢と言われたためあぐらをかいて言われた通りに感じ取ろうとしてみた。





〜約4時間後〜


「!なんかあった!」


やっと体の中に何かがあるのがわかった。ダンジョン内だからといってずっと体の中にあると言われた何かを探すのは苦行だった。


「ではそれを動かしてみてください。」


それなのにノータイムでなんのリアクションもなく次の指示が出されてしまった…。





〜約2時間後〜


『ピコーン!』

『魔力操作Lv.1を取得しました。』


「長かった……」


魔力操作ができるようになるのに合計で約6時間もかかってしまった。かなり精神的に疲れた…。


「いえ。これはかなり早い方です。普通は一日中やっていなければ習得できません」


称号のスキル取得速度UPが役に立ったようだ。このUPがどのくらい上昇するのかを聞いてみると、


「UPが1.5倍、微UPが1.25倍です」


とのことだった。そしてこれは重複するらしいので経験値は約2.3倍になるそうだ。チート万歳!


「次は魔力操作を使って魔力を全身に流してください」


早速次のメニューが言い渡されたためやってみる。





〜約1時間後〜


『ピコーン!』

『魔力操作Lv.1が魔力操作Lv.2になりました。』




〜さらに2時間後〜


『ピコーン!』

『魔力操作Lv.2が魔力操作Lv.3になりました。』


魔力操作がLv.3になってやっとスムーズに魔力を全身に流せるようになってきた。


『ピコーン!』

『身体強化Lv.1を取得しました。』


今回はだいぶ疲れた気がする。だが、スキルレベルも上がり新しいスキルも取得できたため成果にあったものが手に入っただろう。


「お疲れ様です。次は周りにも魔力が満ちているのでそれを探ってください」


鬼教官から更なる指令が出てしまった。スキルも覚えられて努力が実ってる実感があって、疲れていてもやる気はどんどん湧いてくるため言われた通りにやってみる。






〜約3時間後〜


『ピコーン!』

『魔力感知Lv.1を取得しました』


なんか周囲に自分の中にある魔力と似たものが漂っているのがわかってきたらスキルを取得できた。


「お疲れ様です。魔力系のスキルは便利なものが多く、取得する感覚が似ているので一気に覚えていただきました」


良かった。意味もなく休憩もなくやっているわけではなかったようだ。だとしても最初にそう言って欲しかった。


「ダンジョンが完成するまであと3時間ほどあるのでそれまではゆっくり休憩していきましょう」


思っていたよりも時間が経つのが早かったようだ。


「ダンジョンが発生して亡くなった人いるの?」


家族や友達が心配になって聞いてみた。


「いいえ。軽傷者は多くいますが、重傷者と死者はまだ出ていません」


まだ出ていないというのに違和感を感じはするがスルーしよう。


「ユニークゴブリンのステータスってどんな感じだったかわかる?」


「はい。こちらです」




【名前】  

【種族】  勇者ゴブリン(ユニーク)

【年齢】  0

【レベル】 1

【ランク】 C−


【HP】   850/850

【MP】   200/200


【攻撃】  180

【防御】  120

【魔攻】  70

【魔防】  100

【敏捷】  170

【運】   5


【スキル】

・剣術Lv.2・身体強化 Lv.2・性豪Lv.3


【ユニークスキル】


【称号】

・ユニークモンスター

〈効果〉

取得経験値UP





だいたいこれくらいということだった。ゴブリンの中の勇者ってことなのか?本当によく勝てたなと今でも思う。普通はダンジョンにしばらくいてから発見されるためもっとレベルが高くなっているらしい。


ちなみに普通のゴブリンはこれくらいだそうだ




【名前】 

【種族】  ゴブリン

【年齢】  0

【レベル】 1

【ランク】 E


【HP】   150/150

【MP】   20/20


【攻撃】  50

【防御】  30

【魔攻】  10

【魔防】  10

【敏捷】  30

【運】   5


【スキル】

・棒術Lv.1・性豪Lv.1


【ユニークスキル】


【称号】





モンスターのランクもFからSSS+まであり、Fランクは子供でも倒せて、Eは大人の人なら倒せるというレベルだそうだ。


「ダンジョンに拳銃とか持ってこれたら良いんだろうけどな〜」


無い物ねだりをしてしまう。拳銃などがあったら遠くから一方的にモンスターを倒せるのにと思ってしまう。


「それはうまくいきません。ダンジョン内では外から持ち込まれた武器の威力は激減します」


やはり世の中うまくできていないそうだ。ダンジョン内ではチェーンソーよりもゴブリンから奪った棍棒などの方がモンスターには威力が出るそうだ。


「火魔法とかの魔法スキルって強奪のスキルを取るまで手に入らないの?」


やっぱり魔法とかは使ってみたいためナービに聞いてみた。


「いいえ。ダンジョン内にある宝箱の中に魔法系のスキルの書は多く入っています」


ダンジョン内には多く宝箱があって、その中にスキルの書というのがあるそうだ。それを使うとスキルが手に入るものがあって、それで手に入れることもできるみたいだ。他にもポーションや武器なども入っているらしい。


「ナービって宝箱の場所とかわかるの?」


「はい。ある一定の距離まで近づくことができればわかります」


やはりナービはとても高性能みたいだ。


「カバンはあると便利なので、取りに行くことをお奨めします」


最初はナービは何を言っているのだ?と思ったが、大学帰りだったため、俺はカバンを持っていたはずだ。しかし、そのカバンはゴブリンから逃げる時に投げ捨ててしまっていた…。



「えっとー…どこにあるかわかりますか?」


「はぁ…案内します」


無我夢中で走っていたためどこにあるかわからなくなってしまったため、ナービに案内してもらい取って戻ってきた。


「まだダンジョン完成まで2時間以上あるため完成する10分前に起こしますので、今のうちに少しでも寝ておいてください」


ということなので少し寝させてもらうことにした。思っていたよりも疲れていたのか硬い地面にも関わらず、すぐに眠ることができた。










【名前】  斉藤 零

【種族】  人間

【年齢】  18

【レベル】 10★

【ランキング】 1位


【HP】   640/640

【MP】   500/500


【攻撃】  140

【防御】  102

【魔攻】  140

【魔防】  102

【敏捷】  159

【運】   82


【スキル】

・剣術Lv.1・投擲Lv.1(New)・恐怖耐性Lv.2

・身体強化Lv.1(New)・魔力操作Lv.3(New)

・魔力感知Lv.1(New)


【ユニークスキル】

・ナビゲーション


【称号】

・初エンカウント

・初ユニークエンカウント

・初スキルゲット

・初スキルレベルアップ

・初レベルアップ

・初モンスター討伐

・初ユニークモンスター討伐

・初ユニークスキルゲット

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