第3話 特訓1

「まずはあそこにある剣を使って剣術スキルを取得しましょう」


そう言うナービに従って剣のところに行った。


「これってもしかして魔石か?」


ちょうどピンポン球くらいの大きさの薄紫色の石が落ちていた。


「はい。モンスターを討伐すると必ず魔石を落とします」


そういうルールがあるようだ。これはあとで使えるかもしれないため、とりあえずズボンのポケットに入れておいた。


「この剣に鑑定ってできるか?」


よく見てみると少し良さそうな剣だったのでナービにそう聞いてみた。


「できます。鑑定結果がこちらです」



【名前】ユニークゴブリンソード 

【レア度】D

【切れ味】D+

【魔力伝導率】E

【耐久】200/200

【スキル】

【特殊効果】




この結果だけ見るとあまり良さそうには見えなかった。


「これってどのくらいの強さなの?」


「強いとは言えませんが、悪くはないでしょう。ちなみにわからないと思うので教えておくと、レア度と切れ味と魔力伝導率のランクはF−からSSS+まであります。」


思っていたよりもずっと高評価だったようだ。

相変わらず毒は吐かれたが、ランクまで丁寧に教えてくれた。


「この剣を振ってれば良いの?」


「はい。しかし、適当に振るのではなく、しっかり丁寧にモンスターが目の前にいると想像しながらやってください」


そういうことなので1番記憶に新しいゴブリンを想像してやってみることにした。





〜約1時間後〜


「フッ!フッ!け、結構振ってるけど!あんまり!集中力とか!きれないし!あんまり疲れもないけどなんで!か、わかる!?」


剣の素振りをしながらなので、ところどころ言葉が強くなりながらナービに気になったことを聞いてみた。


「それはステータスが上がったからです。レベルが上がる前のマスターのステータスがこちらです」



【名前】  斉藤 零

【種族】  人間

【年齢】  18

【レベル】 1

【ランキング】 3294501640位


【HP】   100/100

【MP】   50/50


【攻撃】  50

【防御】  30

【魔攻】  50

【魔防】  30

【敏捷】  60

【運】   82


【スキル】


【ユニークスキル】




ランキング順位が酷いことになっているのは触れないでおこう。


「運以外は!3倍以上上がっているから!疲れないわけ!なのか!」


「はい。そして運は生まれてからその値のまま変わりません。そして運は0〜100までしかなく、平均は40前後となっているため、マスターの運は比較的高いです」


おかしい…運は良いほうらしいがそれなのにダンジョンに1人だけ4階層まで落ちて、なおかつユニークモンスターに襲われる…本当に運は良いのか?


「モンスターに襲われた時に爆裂石が近くにあったのは運がいいと言えるでしょう」


「爆裂石?」


急にわからない単語が飛び出してきた。名前から想像してあまり近くにあったらよくなさそうだが…


「はい。爆裂石とは本来鉱石を掘るために壁を削るためなどに使う、強い衝撃を加えたら爆発する石です。普通はダンジョンで見つかることはほぼありません」


なんでそんなのが道端に落ちているんだよ…。

一応それに助けられたから運が良かったと言えるのだろうか…。





〜さらに2時間後〜


『ピコーン!』

『剣術Lv.1を取得しました』


「はぁ…やっと取得できたか…」


いくら疲れにくくなったとしても、流石に3時間休憩なしで剣を振り続けるのは辛かった。


「お疲れ様です。とりあえず少し休憩して次は投擲のスキルを取得できるように特訓しましょう」


休憩はくれるそうだが、少しって…結構この教官は厳しいようだ。


「ふぅ…あ!そういえばもう1つの★でスキルを取得してそれのスキルレベルを上げたほうがいいんじゃない?」


ここで★でナビゲーションのスキルを取得してから急にいろいろな情報がありすぎて忘れていたが★はもう一つあったのだ。


「いえ。それは後にしておきましょう」


完璧な案だとちょっとドヤ顔で言ったが普通にダメだったようだ。


「まず取得するとしたら、なにを取得しようとしますか?」


なにを取得すると聞かれたらまずユニークスキルを取るのは確定としてチート主人公が持ってる創造魔法とか強奪は欲しい。あと一方にしか通行しないような名前の人が使っているベクトル変化なんかも欲しい。


「やっぱりベクトル変化は欲しいかな〜」


あの能力があったらほとんどのモンスターは簡単に屠れるだろう。というかほぼ無敵だろう。


「はぁ……」


ナービからため息が聞こえたような気がした。


「ユニークスキルは確かに強いですが、デメリットもあります。まず剣聖などのスキルは勝手に戦闘の補助をしてくれますが現時点のマスターくらいのステータスでは補助に耐えきれずに身体中の骨などはぐちゃぐちゃになります」


普通にただの地雷スキルだった…。


「時空魔法や重力魔法なども現時点のマスターのMPでは攻撃魔法は使えません。ベクトル変化はレベルが低いと少しのベクトルを変えれるだけでほとんど意味がないです。あと、スキルで変えたいベクトルの計算式はでますが、計算は自分でやらなきゃいけないため全く使えません」


ベクトル変化はもっと地雷スキルだっただと!

ナビゲーションを一番先に取得して良かった…そうじゃなかったら絶対ベクトル変化は取得していただろう…。


「一応私の補助で計算はできますが…」


なんだと!ナービ様のお力があればベクトル変化で俺は世界をとれる!


「しかし、そのために現在の私ではほぼ全ての能力はベクトル変化のために使われますので、その間周囲の索敵、敵の鑑定、罠の発見、他のスキル補助はできませんがよろしいのでしょうか?」


だめでした。いくらナービ様と言えどもベクトル変化はきつく、その間はなにもできなくなっていますそうだ。


「そのため他の人のためにも自分のためにもスキル取得は待った方が良いでしょう」


「ん?他の人のため?あと自分のため?


「はい。誰かが★をキープしている状態では他の人は☆しか表示されず、☆ではスキルが取得できますが、ユニークスキルは取得できません。それにユニークスキルは1つしか存在しない為、誰かが取得すると取得できなくなります」


★のキープなどの話を詳しく聞いてみたらこんな感じだった。


1.★を誰かが持っている場合はレベルが5や10になっても★は出現しない。

2.★は早いもの順で1番にそのレベルに到達した人から順に配られる。

3.★をキープしたまま次の配布までいけばまた★を貰える。

4.★をキープしていた人が★を使い切ったら、☆をキープしている人の中で貰った時のレベルが高く、キープ時間が長かった人に渡される。


ということだった。俺が★をキープしていたら他の人たちは★があることすらわからずに☆でスキルを取得して使うことになるだろう、とのことだった。


「なので私的に取得したほうがいいユニークスキルを全て取得できるまで★を1つはキープしておきましょう」


「取得したほうがいいユニークスキルとは?」


「まずは強奪と時空魔法と重力魔法です」


ナービのことだから強そうなスキルではないと思っていたが、とても強そうなスキルだった。

しかし、攻撃魔法が使えないと言っていたが、時空魔法と重力魔法は取得していいのだろうか?


なぜそのスキルを取得したいか聞いてみると、強奪で殺したモンスターからスキルを取得できるため、時空魔法は階層の下に行くほどレアなアイテムなどが出るためそれをしまっておくため、重力魔法は軽くしたり、重くしたりと何かと便利になる場面が多いからだそうだ。


「優先度としては強奪、時空魔法、重力魔法の順です。★が2つになるまではスキルは取らないため今はノーマルスキルを取得しましょう」


そう言って次の特訓が始まった。







【名前】  斉藤 零

【種族】  人間

【年齢】  18

【レベル】 10★

【ランキング】 1位


【HP】   625/640

【MP】   500/500


【攻撃】  140

【防御】  102

【魔攻】  140

【魔防】  102

【敏捷】  159

【運】   82


【スキル】

・剣術Lv.1(New)・恐怖耐性Lv.2


【ユニークスキル】

・ナビゲーション


【称号】

・初エンカウント

・初ユニークエンカウント

・初スキルゲット

・初スキルレベルアップ

・初レベルアップ

・初モンスター討伐

・初ユニークモンスター討伐

・初ユニークスキルゲット

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