相心流棒術の思い出。(八)
『柳生神影流』のwikiの記事には(注1)、このように系譜が書かれています。
柳生但馬守宗矩
柳生十兵衛三厳
木村郷右衛門尉義邦
川端磯右ェ門頼光
川端権左ェ門頼義
川端信次郎正之
近久武一郎頼光
近久森太郎頼兼
近久鹿之蒸利光
久保源次郎利雄(久武館道場初代館長)(後略
この系譜の中の、木村郷右衛門の次からしばらく、川端姓の名前が続いています。
(同音異字かあ……)
前回で、『書上』に『天心流/天真流』の師範として書かれた『河端瀧右衛門』が「かわばた」であることに気づいた私は、もしかしてこの河端と川端もまた、『天真流/天心流』と同ようなものではないかいう可能性を考えてしまいます。
今からすれば、ちょっと無理がありますね。
同じく「かわばた」なのはいいとして、名前が違います。
「瀧右衛門」と「磯右衛門」とでは読みも字も違います。
(だけどしかし、もしかしたら……)
「瀧」と「磯」が行書では似ているのではないかとか、色々と考えたり調べたりしていたようです。
他にも「河端」と「川端」は氏族として近いのか等。
そうこうして『書上』を見返すと、また別のことに今更気づきました。
(――『柳生神影流』がない?)
そうなのです。
『新陰流』はあっても、『柳生神影流』も『柳生流』もない。
『新陰流』の師範たちの名前も「仁木由岐助」「大坂卯歓太」「佐久間多治助」「浦上市之丞」「河野権太夫」で、『柳生神影流』の系譜にかすりもしないし……。
これについて、相互さんから
「書き落としたのでは?」
と言われました。
確かに、松平定信の命令による調査とはいえ、完全なものであるとも思えず、その時の師範が系譜を継ぐ者であるとも限りません。
柳生但馬守宗矩の命令で派遣されたという伝承が本当なら、世間には知られてなかったのかもしれないですし。
私はこの手の話(注2)はあんまり信じてないですが、なんらかの事実が元であるという可能性も捨てきれないですし、とりあえずこのあたりはすぐには結論がでないことですし、思いついたことを可能性だけ色々とTwitterに書いていたようです。
あと今から確認すると、時系列的と記憶も結構怪しいようで、『天心流/天真流』の関係は、2017年からすでに疑うだけは疑っていたようです。
他にも『書上』を読んでいる家に、『貫心流』の師範の一人である「山本源兵衛」が、『相心流』の師範である「山本源兵衛」と同じ人物であるだろうことなどにも気づいたり……。
このあたりは、最初から注意深く読んでいればすぐ気づくことなので、気づいていない私がどうかしているといえばそれまでなのですが。
そうして2019年からしばらく、私は『天真流/天心流』と『柳生神影流』の関係などをあれこれと推論していました。
勿論、『相心流』についても推論はしていましたが、この頃の私は資料の収集に出歩くこともできず、家でネットにかじりついてあれこれ論じるだけが精一杯でした。
新しい燃料がなくては何もできず……出歩ける図書館をどうにか増やして、新たな郷土書を読むしかないか……と考えつつも、仕事はなくなって、著作の電子書籍の印税も目減りする一方で、私はほとほど何もできなくなっていました。
ところが翌年、2020年の4月になって、突然に超特大の燃料が打ち込まれてしまいます。
『徳島の剣道』(注3)が完全pdf化していたのです。
そして、そこには徳島県内の古流剣術情報が大量にかかれていたのでした。
注1
https://www.bing.com/ck/a?!&&p=80ee5b2b25539680JmltdHM9MTcwMjMzOTIwMCZpZ3VpZD0xZTMyYzI0Yi03NzEzLTZjODctMzM5OC1kMzIzNzZmOTZkOTEmaW5zaWQ9NTIxNQ&ptn=3&ver=2&hsh=3&fclid=1e32c24b-7713-6c87-3398-d32376f96d91&psq=%e6%9f%b3%e7%94%9f%e7%a5%9e%e5%bd%b1%e6%b5%81&u=a1aHR0cHM6Ly9qYS53aWtpcGVkaWEub3JnL3dpa2kvJUU2JTlGJUIzJUU3JTk0JTlGJUU3JUE1JTlFJUU1JUJEJUIxJUU2JUI1JTgx&ntb=1
注2
例えば流派の系譜とは別に、何処そこの霊山で天狗だか武神だかから啓示を受けたとか、中興の祖が誰それと試合して勝ったなどという物語が伝承されていることがあるが、その手の話はあまり真に受けるものではないと考えている。
注3
徳島剣道連盟https://www.tokusupo.net/tokushimaken_kendo_renmei/発行の機関誌。詳細は次回から。
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