最近時代小説書きたい熱が高まってきた。あと剣術史の事。

 奇水です。電撃文庫などで書いてました。

 今回は本当にタイトルどおりで、それ以上でも以下でもないです。



   ◆ ◆ ◆



 まあ元々、私は時代小説とか結構好きだったのでしたが。



   ◆ ◆ ◆



 私が中学の頃、90年に『スレイヤーズ!』が刊行され、奇しくもこの年に『ライトノベル』という言葉が生まれたのは周知の通りですが、実はこの頃に時代劇のブームもきておりました。

 正確にいつ頃に始まってたのかは知りませんけども、私と同世代の四十代半ばから後半にかけての人たちは、80年代から90年代前半にかけて、時代劇ドラマがやたらと放送されていたのを覚えていると思います。忘れているかもしれませんけど。

 そういう時期に私は小説家になろう、と志していたわけですが、当然のことながらそういう時代劇などに影響を受けました。

 というかまあ、武道とかの話が好きでしたので、必然、古流剣術やらがでてくる時代劇はよく見るようになったのですね。

 武士が使っていた時代では、当人たちが自分が使用しているのを古武道だとか古流だとか思っていたわけではないでしょうけど。

 いや。

 当時はブームに合わせて、時代小説も大量に刊行されてまして、私もそれを立ち読みなどしていましたが、その中には江戸時代を舞台にしていながらも、「古流」というような言葉がでてくることがありました。

 エッセイなどでも、たまに幕末の段階で古流と言われるものがあったように書かれています。

 これはどうも、幕末に竹刀剣術が流行り、それ以前の木刀を使用して、主に形ばかりの剣術を古流として区分けていたようです。

 これは後に知ったことですが、かなり雑というか、全然間違っていた区分だったのですが、江戸後期のある時期を区切りとして、それ以前の古い流派を「古流」としていた話はあるようです。


 閑話休題。


 まあそんなこんなで、時代小説を読んでたわけですが、その頃の私は高校生だったということもありますが、古武道のロマン……平たくいえば、競技ではなく、形の稽古などで強くなるというのに憧れていたというのもありますが、幕末の竹刀剣術というのはそのまま現代剣道の直接のルーツでもあると思うと、今ひとつロマンに欠けてて興味が持てなかったのですね。

 だから時代小説でも幕末ものには、あんまり手が出ませんでした。

『燃えよ剣』とかは、嗜み程度には読んでいたのですけども。

 私が一番好きなのは、やはりというか、なんというか、世界で一番有名な剣豪ソードマンである宮本武蔵でして、長年、武蔵を主人公にした話を考えていました。

 そうしてかきあげたのが『奇説二天記』で、これは電撃小説大賞に応募して、なんとか一次選考を突破したのですが、二次で落ちてしまい……それが拾い上げされるのですから、世の中解んないものですね。この作品はアルファポリスさんの歴史・時代小説大賞に出してみて、奨励賞でした。

 その後も武蔵を題材にしたものを書こうとしたり、デビュー作である『非公認魔法少女戦線』にマジカル二天一流なんか出したりして、ある程度、なんというか……武蔵もだいぶん書いたなという気分になってたりしました。

 現実には、一冊も時代小説は出してなかったんですけど。

 マジカル二天一流とか、ほぼほぼイロモノでしたけど。

 ここらは電撃文庫がなんでもありなレーベルといっても、時代ものはそんなに出していないというのがまずあって、私もライトノベル書きたいと考えていたからですが、段々と武蔵というか、時代小説について離れていってました。

 最近の作品が、手にしたものが今ひとつ合わなかったというのもありますが。

 そんなこんなで数年たち――


 近年になって、自分のなかで突然、幕末の竹刀剣術がブームになってきたのです。


 そこらの理由は、簡単にいうと興味ある題材に出会えたというのが大きいです。

 古武道について色々と調べていくうちに、かつての形、組太刀で強くなるというロマンこそ薄れてしまいましたが、現代武道に続いていく古武道諸流派の系譜に、また別種のロマンを見いだせるようになったというのがあります。

 例えば、現代柔道の起源にある起倒流柔術……それは柳生十兵衛に起源がある――みたいな、辿っていけば思いがけないことが見つかるというか、あるいは小説の主人公である剣豪も、案外と身近なものに繋がっていたりすると再発見するというか……

 こういうのも、歴史を調べていく醍醐味といえるのかもですね。

 私が竹刀剣術に大いに興味を持ったのは、私が好きだった戦国から江戸初期の剣豪たちの剣術流派と、今の剣道との繋がりを再確認できたからです。

 その繋がりがどういうものなのかについてはここでは語りませんが、そこらが地元の郷土史の調査をしているときに知って、随分と運命――というのは大げさですが、これはいつか自分の手で小説にしてみないといけない。

 そのようなことを考えたものです。

 使命感、というのも違いますが。

 そんなこんなで、書いたのが『常政子二刀剣談』https://kakuyomu.jp/works/16816927861295015117だったりします。

 剣術史に関心のある、本当にごく一部の方々には好評でした。

 まあ本当にごく一部だけですが。

 とりあえず書いてみて、ほどほどに手応えはあったわけで……今後も武蔵など好きな剣豪だけではなく、剣術史の要点であり、現代剣道に繋がる人物、事件を追っていき、なんらかの形にして発表していこうと思っています。


 とかそんな感じで決意を固めてから数ヶ月。

 時代小説レーベル関係の方と、ついにコンタクトが取れました。


「あー、最近は剣豪ものとかだめですね」

「…………」

「いや、あんまり売れてないんですよ」

「……どんなのが売れています?」

「それは――――」


 ……まあ、いつか書ける機会があるかもしれないですけど。

 

 道は遠い――かは、まだ解らないですけどね。

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