第141話 介護施設の理想と現実⑦
私は、介護サービス会社に交渉。実習生という形で介護施設に入り込む事になった。お年寄り達に話を聞くのが目的である
介護施設の 見守り室にて、男性と私はお年寄り達に話しを聞いていた際に、「あ、れ」と右方麻痺の男性が指差した先には監視カメラが
『う、うつっ、てる』
少し不自由な言葉にて『映ってる?』と。更に女性入居者が『 先月のはじめに、夜勤に施設の職員が入ったでしょ?』そう言われたのだ
「入りましたね」と答えた男性の思った事は
もし… 俺達 、介護サービスの職員が疑問に思っている事を女性が 話そうとされているのだったら…
私は、介護福祉士より聞いていた『夜勤は、内の会社の職員が二人で見ているの。看護は施設の看護師が入って』という疑問を投げ掛けると
男性「元々、俺が入った頃は内の職員と施設の職員に看護師の体制だったけど、向こうさんが業務内容の改善で夜勤体制を変更したんですよ。色々あって内の会社の職員は皆、何かしら体調を崩したりとギリギリな状態や人数で頑張っていた訳。その日夜勤予定の内の職員が体調悪くて入れなくて…施設の職員が入る事になったんだけど…」
そう答えが
私「なるほど…その日に何かが起きたって事?」
と返すと
「私ね、簡単にだけど日記を付けてるのよ」
そう、女性が仰られたのだ
(個人名前の部分は変更し掲載)
『7月○○日 雨 入居者皆落ち着かない。外の天気の様に不安定。夜勤に市の職員の〇〇が入った。サービス会社の○○さんが体調不良との事。○○ちゃん、○○ちゃんの顔を見なくなって半年近く…悲しい。これ以上サービス会社の職員さんが苦しめられない様に神に祈るばかり…急に夜勤に入る事になったのだろう。明らかに不機嫌。いつも以上に…一緒に組んでいる介護サービス会社の○○さんが可哀想だ…夜中○○さんの仮眠時間。一人で〇〇が見ている。入居者の一人が粗相をしたようだ『早く着替えなさいよ!』と怒鳴り散らす声が…手が不自由人なのだ…『いい加減にしてよ!入れやすい様に足を上げてってば!』その瞬間、ギャーって叫び声が…朝になり施設長が『ベッドから落ちられた様で』と説明した。心配で様子を見に部屋を訪ねると不自由な右手に数ヶ所つねられた様な痣があった…』
私と男性はしばらく声が出なかった
男性『ベッドから落ちた怪我には見えないって…俺達は話してたんだ。○○さんは仮眠中で見ていないし。施設長は『夜勤に入っていた向こうの看護師からも『ベッドから落ちた状態でいたから、二人でベッドに上げて処置した』って報告受けてます』ってさ…張本人の職員の説明を鵜呑みにしたんだろうね…』
苦しそうな表情ので男性は呟き。更に
『おかしい…って施設長にもその職員にも問い正したのに…やっぱりだ…』
と。その時クイックイッと入居者の男性が左隣の
幼馴染みの男性の右腕。制服の袖を引っ張ると
『だか、ら、あ、れ』と女性も『証拠を映してくれてるはずよ』そう言って監視カメラを指差されて…
それを伝えた際の当該女性の第一声が
「これを見せてどうしろと?」だった
私と、男性は監視カメラの事は伏せて、入居者の女性ね日記のみを、まず提示した
男性「この日の夜勤は、アナタでしたよね?」
認める等思ってはいなかったが…
「 冗談じゃないわよ!こんな憶測で嘘書かれて!たまったもんじゃないわよ!」
そう叫んだ当該女性
アナタはね、そう言うだろうけどね。もうね お年寄り達が怒ってるんだわ
男性はそう思ったと
《お年寄り達に心から謝罪して、心を込めて介護をして頂きたいです。施設の職員に望む事です》
少し前に送信されて来た女性と従姉の女性のメール
男性「○○主任… この日記の事は、(女性の父親が)判断されて施設長に話される事なので俺からは言いませんけど。この日記を必死に残された○○さん、勇気を出して俺達に色々な事を話して下さった○○さん。今も入院されている○○さん。そして他の年寄り達の思いもしっかり受け止めて下さい。お願いします」
主任「…分かりました」
男性「(当該女性)さん… アンタには何を話しても無駄だって分かりましたから…最後に一つだけ… アンタいい加減にしろ!ふざけんな! お年寄りの人権を無視して尊厳を傷付ける様な事しか出来ないなら…この仕事するんじゃない! ○○ちゃんと、○○ちゃんが純粋過ぎる程に真っ白な心でお年寄りに向き合っている事に、アンタは嫉妬したんだろう?人にとやかく言われるのが嫌いなアンタだから、俺に自分を否定されて頭に来たんなら、俺に嫌がらせをすればいいだろ!アンタのイライラを彼女達にぶつけんじゃねぇよ!ふざけんな! 何人ものお年寄りを傷付けて… ○○ちゃんが身体を壊す迄追い詰めてっ!○○ちゃんは命を失いかけたんだよっ!… 黙って様と思ったけど… 俺達はともかく…お年寄り達の怒りは半端じゃないって事とだけは伝えとくよ!」
一気にまくし立てた男性…涙が溢れそうになったのか、席を立ち、画面に映らない様に部屋の隅に向かって蹲った男性
その男性の背中を友人が黙って擦って。私も涙が溢れて止まらくなったのである…
そして
ここまで来て、ようやく事の重大さに気付いたらしい
当該女性の職員が青ざめていた
「○○さん…○○さん、施設の職員さん達。人には心があるんだ。○○さん、地球はアンタだけの為に回ってる訳じゃないんだ。自分の言う通りに物事が動くのが当たり前。そんな気持ちでいたらいつか…身を滅ぼすよ」
そう私は言っていた
怒りが収まらない私は、最後通告してあげても良かったんだけど…などと思いつつ、それは女性の父親の役目だから…と踏みと止まり
友人が幼馴染みの男性を、支える様にして退室。私も言いたい事は言ったし。と固まってる二人を残して 応接室を出退室した…
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