第62話 運命の人との再会
倫side
英士の勤める雑誌社 応接室
杉「 本日は、ご足労頂きましてありがとうございます。本来ならこちらか出向くべきですのに。申し訳ございません」
倫 「いえ。こちらからお願いした事ですので…」
倫「…」
杉「…」
山乃くんに
『上司の、杉 風音(すぎ.かざね)デスクが風歌ちゃんの件で源本さんの話を聞きたいそうです。合って頂く事は可能ですか?』
連絡をもらった時
俺はとても嬉しくて
心から感謝したんだ
応接室のはす向かいに座り、二人
何とも言えない緊張感の中でしばらく無言でいた
頂いた名刺を見つめ
間違いないと確信する
というよりも
倫「21年振りになるかな…杉…風音…さん」
間違いなく本人だ
杉「 悩みました。お会いするべきか否か。 個人的な理由よりも 、一人の人間としてお会いしなければと 思いました。風歌さんの身に起きた事を風化させない為にも」
倫「ありがとうございます。雑誌社に協力して頂けるのなら、こんな心強い事はありません。感謝いたします…」
俺も凄く緊張していた
けれど相手の半端ない緊張感を感じて
倫「風音… 社会的挨拶は終わり…俺を風歌の父親にしてくれてありがとう」
そう。 彼女は
風歌と私を出逢わせてくれた女性
かつて俺が愛した女性
いや…今も…
あの時、彼女は何も言わなかった…
嫌、言う事も許されなかった
風歌は未熟児で産まれた為直ぐ保育器に…
風音に風歌を抱かせてあげる事が出来なかった…
別れた後の事
俺は、俺自身が若く過ぎて
両親等、周囲の人達に
『風歌を俺が守るから』
と説得させる力が無かった
姉夫婦の子供として風歌を預けた事を
話していた
それを風音は遮ると
風音「月乃さんから手紙を頂きました」
倫「姉貴から?」
風音「私達幼なじみで、妹の様に可愛がってくれたから月乃さん…」
倫「姉貴何にも言わないから…」
俺と風音と姉貴は 仲の良い幼なじみだった…
風音「風歌…ちゃんの写真を。ずっと送ってくれていたのよ」
風歌が誕生した時
誰が風歌を面倒見るのか話し合いになった時に
真っ先に
『 私達夫婦の娘として育てます』
そう言ってくれた姉…
風歌の将来だけでなく
風音の事も考えてくれた姉…
そんな事も知らないで 今まで来た俺…
倫「 俺は愚かだ。 ずっと逢いたいと思いながら。なのに何にも行動を起こして来なかった… 本当にゴメン。風音」
風音「 貴方は風歌ちゃんを大切に、 愛して下さっています。そして今守る為に必死に戦っている。 私は、感謝しています。それに… 私の退院する時に主治医の先生に『娘を抱かせてくれませんか』ってお願いしたら抱かせて頂く事が出来たんです。その思い出と写真で今まで私は生きて来られたんです」
風音…
倫「 そう言ってくれて救われる…」
風音「 私が風歌ちゃんを娘と呼んで良いのか分からないけど… 愛しい我が子を傷付けられて、黙っている訳にはいかないんです。 協力させて下さい。お願いします」
倫「 とても心強いです。ありがとう」
父親として娘を苦しみから
未だに救い出してあげられない事が
情けなかった
そんな中
再び再会出来た人
運命を感じて
久し振りにに
胸が高鳴るのを感じていたんだ
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