錆びるナイフ

俺は投げ飛ばされて激痛で身動きが取れないまま倒れていたら、急にナイフが俺の溢れてくる血を吸収し始めた。


ナイフはある程度、俺の血を吸収すると錆び始め、ナイフが錆びていくと共に体の痛みが消えていった。


「痛みが‥消えた?」


そう俺が動揺しながら呟くと、口顔が俺に向かって突進してくる。


俺はとっさに落ちていた松明を拾い、口顔に向かって投げて言う。


「喰らえ、化け物!」


すると、松明に当たった口顔は炎に包まれて甲高い声で叫んでもがいている。


これをチャンスだと思った俺はナイフを口顔の口の中にある顔に突き刺すが、急に知らない記憶がなだれ込んでくる。


記憶が一瞬の内に頭の中に入ってきて、その記憶の持ち主が口顔のものだと分かった。


記憶を見て何故か口顔に情を持ってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになりつつも口顔に止めを刺して言う。


「…っ、悪く思うなよ」


口顔が息絶える時に、口顔の中にある顔が涙を流したのを見て罪悪感に襲われながらも、奥にいるかもしれないアユナを探すために足を進める。


「アユナ、どこにいるんだ! いるなら返事をしてくれ!」


そう俺が叫びながらアユナを探していると、アユナと容姿がそっくりな女性が檻に入っている事に気付き、俺は檻の中にいるアユナに言う。


「待ってろ、今助けるぞ!」


そう言って檻の鍵をナイフで壊そうとしたとき、檻の中にいるアユナが振り向き、それを見た俺は絶望の余り後ずさりして後ろの檻に寄りかかる。


なんと、檻の中にいたのはアユナではなく、全くの別人だったのだ。


「そん‥な‥嘘だろ? 嘘だと言ってくれよぉ!」


そう俺が発狂しながら言ったら、後ろの檻に入っていた数人の人達に体の至るところを掴まれる。


俺は気が動転して狂ったように、俺を掴もうとしてくる檻の中にいる人達をナイフで斬り付けながら言う。


「離せ、離せ! 離せぇ!」


複数の人をナイフで斬り付けたら、一気にいくつかの記憶がなだれ込んできて、記憶が幻覚のように現れ、俺は後ずさりしながら叫ぶように言う。


「何だよ‥何なんだよ! どうなってんだよ!」

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