地下に囚われていた化け物

奥の部屋には樽や木箱などがたくさん置かれており、部屋の奥には地下に続く階段があった。


地下か、ここにアユナが…。


そう思いながら階段を下りると、真っ直ぐに伸びた廊下には壁に松明が掛けられていた。


廊下を歩いていると時々、壁が檻になっている所があり、その中には痩せ細った裸の人間が監禁されているか、複数の人間の死体が逆さに吊るされていた。


それにしても長い廊下だな、アユナは見当たらないし、もっと奥の方にいるのか?


そう思っていたら、前方に先程俺から逃げた五人の男性が一つの檻の前で揉めているようで、その内の一人の男性が怒った口調で言う。


「おい馬鹿、止めろ! その檻には商品の異形が入っているんだぞ!」


「けど、あいつを倒すにはこれしか‥」


そう別の男性が言ったら、檻の扉が開いて中から出てきた何かが男性達を襲い始め、男性達の悲鳴が地下に響く。


「何だ?」


そう俺が呟いたら、三人の男性がこちらに向かって泣き叫びながら走って逃げて来た。


その内の一人の男性が何かに捕まり、その男性は必死に暴れて抵抗しながら叫んで言う。


「嫌だ、嫌だ、嫌だー!」


次の瞬間、男性は上半身を何かに食べられてしまったようで、ボリボリという音が地下に響く。


何かは男性の下半身も食べ終えると、四つん這いになって素早くこちらに向かって来て、泣き叫びながら走って逃げて来ている男性二人に追い付いた。


何かは先程までは遠くて見えなかったが、近くに来たことにより、何かの姿が見え俺は動揺しながら呟く。


「何だこいつ、こんな生き物見たことがないぞ」


何かは全裸の通常の人間の二倍の大きさで、肩幅より大きい頭には目や鼻がない代わりに大きな口がある。


また、口のなかには白目で鼻と口がある通常の大きさの人間の顔と腕が四本あった。

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