迷子の子供2

あれからしばらく街中で子供の姉を探し回っており、何故か子供は俺の服の袖を掴んで離さなかった。


見つからないな…早くしないと日が暮れる。


そう思っていたら子供が急に足を止め、俺に言ってくる。


「お腹空いた」


「すまないが、俺は金を持っていないから食べ物は買えない」


そう俺が言ったら子供は首からかけている小さなポーチを手に取って俺に見せながら言う。


「大丈夫、僕、お金持ってるから」


「そうか。なら、ここで待ってるから一人で買ってこれるか?」


「やだ、お兄ちゃんも一緒に来て」


そう子供に言われて俺は渋々子供について行く。


子供は近くにあった道端にあるリンゴを売っている露店へ歩いて行くと、ポーチからお金を店主に渡し、露店の店主がリンゴを差し出しながら言う。


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます」


子供はそう言って背伸びしながらリンゴを受け取った。




俺と子供は一旦公園に行き、公園にあった木製のベンチに腰を掛ける。


「いただきます」


子供はそう言ってからリンゴをかじり、リンゴが美味しかったのか子供の表情は少しだけ和らぎ、俺に言ってくる。


「お兄ちゃんも食べる?」


「いや、俺はいい」


「何で? 美味しいよ、僕の少し食べていいからさ」


そう子供は言いながら俺に食べかけのリンゴを差し出してくると、俺の腹が鳴る。


「いただきます」


そう俺は言って子供が差し出しているリンゴを少しかじると、子供は興味津々に俺に聞いてくる。


「どう?」


子供に分けてもらったリンゴは美味しく、俺はつい微笑みながら呟く。


「うまい」


「良かった」


そう子供は俺に会ってから初めて微笑みながら言ったら、ポニーテールの少女がこちらに向かって走りながら大きな声で言ってくる。


「マスフェス~!」


子供はポニーテールの少女に気付くと、微笑みながら言う。


「…ラフィンお姉ちゃん!」

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