叔父のノーレス

俺が目覚めてから一週間経ち、体は回復力して動かせるようになっていた。


俺は手足を動かしていると、ドンドンっとドアを叩く音がして男性の声が聞こえる。


「ノーレスだ。すまんが、また、金を貸してくれないか?」


するとアユナはビクッとし、浮かない顔をしながら男性に言う。


「は、はい…ちょっと待っててください」


ノーレスって誰だ? それに金を貸せって…。


そう疑問に思った俺はタンスを開けて何かを探しているアユナに聞いてみる。


「誰だ?」


「ノーレス叔父さんだよ」


「…何で金を貸すんだ?」


「ノーレス叔父さんにはお父さんとお母さんがお世話になってたから…」


そう俺とアユナが会話しているとノーレスが玄関のドアを勝手に開けて入ってきて、怒った口調で言ってくる。


「何をもたもたしているんだ。…何だ、あんじゃねえか」


ノーレスはそう言ったらテーブルの上にあった袋を手に取り、それを見たアユナが困惑した表情で言う。


「ノーレス叔父さん、それは生活費で…」


「うるせえ!」


そうノーレスは怒鳴ると玄関を出てどこかへ行ってしまった。


するとアユナはクローゼットから革でできている胸当てと、ボロボロの杖を取り出す。


「何をしているんだ?」


そう俺が言ったらアユナは胸当てを着け、苦笑いをしながら言ってくる。


「お金を稼ぎに依頼を受けにいくの」


金を稼ぎに行くのか…アユナには迷惑をかけたし、その恩返しに俺が代わりに稼ぐか。


そう思った俺はアユナに言う。


「なら、俺が代わりにやってくる」


「けど、お兄ちゃん、その怪我じゃ」


アユナは俺の腕を見て呟き、俺はアユナを安心させるために左腕を動かしながら言う。


「大丈夫だ、もう腕もこんなに動かせる」


……依頼って言ってたよな、何か良い道具は…。


そう思い俺は辺りを見渡すと大男を殺すのに使ったナイフを見つけた。


道具は、これで良いか…。


そう思い俺はナイフを手に取って玄関のドアを開けて外に出ると、アユナが心配そうに俺に言ってくる。


「無理はしないでね!」

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