久々の冒険者ギルド

馬車で街まで行き、途中からは馬車を降りて徒歩で冒険者ギルドへ向かっていた。


アリシヤいわく貴族の身分を隠して冒険者になりたいようだ。


しばらく歩き、俺が良く依頼を受けていた冒険者ギルドの前に着いた。


ここに来るのは久しぶりだな、裏切られて以来か。


久しぶりに来るせいか、なんだか緊張してきた…。


「嬢ちゃん、ここが冒険者ギルドだ」


俺はそう言うと冒険者ギルドのドアを両手で押して開ける。


冒険者ギルドの中は前と変わらずに、冒険者がたくさんいて飲み食いしている者もいた。


なんだ、いつも通りじゃないか。一体俺は何に緊張していたんだ…。


「わー! 凄いわね、マスフェス!」


アリシヤは初めてくる冒険者ギルドに興奮しており、はしゃぎながら俺に言った。


俺達が冒険者ギルドに入ってからやたらと視線を感じ、少しずつ冒険者ギルドの中がざわつき出す。


「おい、あれ剣豪のマスフェスじゃねえか?」


「そんな、この前に死んだってトレーダ様が言ってたろ」


「隣に入るのは誰なんだ?」


などと冒険者達が話していると、俺の近くで酒を飲んでいた女性が立ち上がると、いきなり俺の頬を力強く平手打ちしてきた。


「あんたのせいで、私の人生めちゃくちゃよ!」


俺はいきなり女性に平手打ちされたことに動揺していると、女性が誰なのか思い出す。


痛えじゃねえか…。こいつ! この前の偽物のラフィン姉さんだ。


「あら、あなた、この前のあばずれじゃない!」


アリシヤは大きな声で偽物のラフィン姉さんに言った。


アリシヤの声で俺達に無関心だった冒険者達も注目した。


「あ、後で覚えてなさいよ!」


偽物のラフィン姉さんは、おおくの冒険者達の注目を浴びていずらくなったのか、そう捨て台詞を吐いて冒険者ギルドを出ていった。

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