悪役令嬢は駄々をこねる!

「マスフェス! 私、冒険者になりたい!」


唐突にアリシヤが目を輝かせながら俺に言ってきた。


急にどうしたんだ? 冒険者になるなんて…。


そもそも冒険者は危険な仕事だってあるし、嬢ちゃんに何かあったら俺の首がとんじまう。


「嬢ちゃんにはまだ早いな、危険だしもう少し大人になってから…」


「やだ、やだ、やだぁ~! 冒険者になりたい~!」


アリシヤは冒険者になることを反対する俺の話を遮り、床にゴロゴロと転がって駄々をこね始める。


「けどな、冒険者は危険なことが…」


「危険でもいいから冒険者になりたい~」


またしても俺の話を遮り、駄々をこねている。


困ったなぁ、どうしてそんなに冒険者になりたいんだ?


そう俺が思っているとアリシヤは、駄々をこねるのを止めて俺の両手を掴んで、上目遣いで俺にお願いしてくる。


「マスフェス、お願い」


か、可愛すぎる! クソ、こんなのずるすぎる…。


俺はアリシヤの上目遣いに負けてしまい、冒険者になることを許可してしまう。


「分かった。ただ、依頼を受けるときは必ず俺か護衛がいないと駄目な」


「ありがとう、マスフェス!」


俺が冒険者になることを許可するとアリシヤは喜んで、俺に抱き付いてきた。


な、は、恥ずかしい!


俺はアリシヤ抱き付かれて、恥ずかしくなり頬を赤らめながらアリシヤに止めるように言う。


「な、や、抱き付くな!」


「な~に~、もしかしてマスフェス、恥ずかしいの?」


アリシヤは俺が恥ずかしがっていると分かると、ニヤニヤしながらさらに俺を抱き締めてきた。

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