肌の温もり

パーティーは閉会し、パーティー会場の後片付けを終えた頃には、日が暮れていた。俺は屋敷の敷地にある井戸から水を汲み上げて、軽く水で体を洗った。


はぁ、今日は中々濃い一日だったな。


そう思いながら俺は体についた水滴をタオルで拭き取り、用意していた服に着替えて、自分の部屋へと戻る。


俺は疲れていたため、自分の部屋に入ってすぐにベットに飛び込んだ。俺はベットに横になると直ぐに眠ってしまった。


暑いし、息苦しいな…。


夜中に俺は暑苦しくて目を開けると、俺の視界にラフィン姉さんの寝顔が映る。


「マスフェス~」


ラフィン姉さんはそう寝言を言うと俺を抱き締める。


最初は動揺していたが、ラフィン姉さんの温もりに触れて、俺は何故か安堵して涙を流す。


寂しかったのか…俺?


ここ数年、独りでいることが多かったため、人の温もりに触れたのは久しぶりだった。


俺はラフィン姉さんに抱き締められながら眠りに付いた。




「ラフィン~どこにいるの~? どこにいるのかしら…」


アリシヤはラフィンを探して屋敷内を探し回っていた。


屋敷内を探しても中々見つからず、アリシヤはラフィンが溺愛しているマスフェスの元にいるのでは?と考えたのか、アリシヤはマスフェスの部屋へと向かう。


「マスフェス、ちょと入るとわよ」


そう言うとアリシヤはドアを開け、部屋に入る。


アリシヤはベットにマスフェスとラフィンが一緒に寝ているのを見て、頬を赤らめながら言う。


「ちょ、ちょっと貴方達何してるの!」


アリシヤの声で熟睡していた俺とラフィン姉さんは目を覚ます。


こんなに熟睡できたのは久しぶりだな。


そう思いながら俺はアリシヤの顔を見るのだが、何故かアリシヤの頬は真っ赤で恥ずかしそうにしていた。


「姉弟だから普通よ…」


寝癖で髪がボサボサになっているラフィン姉さんは、手で口を隠してあくびをしながら言った。


「きょ、姉弟でも関係ないわ!」


アリシヤは向きになってラフィン姉さんに言った。


今日の朝にラフィン姉さんはベルレン公爵家の屋敷から出て、旅に出ることになっていた。


朝食を食べ終え、俺とアリシヤは外に出てこれから旅に出るラフィン姉さんを見送る。


「マスフェス、これをあげるわ」


そう言うとラフィン姉さんはバックから、ペンダントを取り出して俺に差し出してきた。


ラフィン姉さんが差し出してきたペンダントはラフィン姉さんがとても大事にしていた物だった。


「ラフィン姉さん、これ大事にしてたやつじゃ」


「いいのよ。じゃ、私はもう行くね。アリシヤ、マスフェスを頼むわよ」


ラフィン姉さんは俺がペンダントを受け取ると、去り際にニコッと微笑みながら旅に出ていった。


ラフィン姉さんが旅に出た後、俺はアリシヤに気になったことがあったので聞いてみる。


「嬢ちゃんはラフィン姉さんとどんな関係なのだ?」


「そうね、ラフィンとは親友のような関係ね」


そう答えるとアリシヤは屋敷の中へと入って行く。心なしかアリシヤの後ろ姿は寂しそうだった。

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