弟思いの剣聖

会場は一瞬静まり返ったが、我に戻ると皆はラフィン姉さんを讃え、拍手をする者もいた。


しばらくして、ベルレン公爵家の従者が会場に来て、ラフィン姉さんの名乗っていた女性を二人がかりで奥の部屋へ運んで行った。


ラフィン姉さんは落ちている剣を拾って鞘にしまうと、振り返って俺を抱き締めてきた。


「マスフェス、怖かった? 怪我はない?」


「いや、俺は大丈夫だけど。その…恥ずかしいから抱き締めるのは…やめてくれない?」


ラフィン姉さんは俺を物凄く心配していた。


ラフィン姉さんは昔から俺を抱き締める癖があり、抱き締められるのは慣れていたのだが、さすがに大勢の目の前で抱き締められるのは恥ずかしかった。


「マスフェスを苛める、あばずれは私がやっつけたから、安心して」


ラフィン姉さんは俺の言うことを聞かずに話を続けた。


見ての通り、ラフィン姉さんは俺のことを物凄く弱愛しており、俺のことになると本気になってしますのだ。


「ラフィン、マスフェスが困ってるわよ」


「は! ごめん、マスフェス。苦しかった?」


アリシヤがラフィン姉さんに言うと、ラフィン姉さんは驚き、俺を抱き締めるのをやめて俺を心配した。


「い、いや、苦しくなかったよ…」


俺がラフィン姉さんに言うと、ラフィン姉さんは安心した表情をした。


本当はラフィン姉さんの胸で窒息しかけて苦しかったけど、それを言うとラフィン姉さん落ち込んじゃうからな。


俺はそう思いながら、隣にいるアリシヤを見る。


アリシヤはラフィン姉さんと比べたらそこまでないから、抱き締められても大丈夫そうだな。


「マスフェス、あなた今、失礼なことを考えてなかったわよね?」


「い、いや、そんなことはないぞ…」


アリシヤは怒ったような表情でじと~っと俺を見つめてきて、俺は焦りながらアリシヤから目をそらして言った。


「まぁ、いいわ。私がはこれから育つんだから」


「胸がどうかしたの?」


アリシヤは自分の胸を見つめながら言っていると、ラフィン姉さんがアリシヤ言った。


アリシヤの視界には巨大な胸が映り込んでしまい、アリシヤは涙目になりながら呟いて頬を膨らませる。


「む、胸なんて邪魔になるだけだから、必要ないもん」

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